監督5名登壇
高良健吾監督
街のメッセンジャーが主人公の『CRANK-クランク-』の高良健吾監督は「普段は役者としてOKを出される側ですが、今回監督として現場に立つと、自分自身でしかなくて。自分にOKを出して、現場全体にOKを出す。それがとても新鮮でした」と監督デビューに手応え。撮影は2日間というタイトなスケジュールで行われたが「その撮影期間で成立する脚本を書くのが大変だったし、道路交通法の問題でやれることも限られて。道路での撮影は早朝から撮影しないといけないので難しかったです。道路がもっと自由に使えて撮れるのであれば…もう少しやりたいこともできたかな?」と苦難も多かったようだ。
玉木宏監督
ボクシングをテーマにした『COUNT 100(カウント ワンハンドレッド)』の玉木宏監督は「一つの映画を作るのにスタッフの皆さんがどれだけ準備をされているのか知っているようで知らなかった」と普段とは違うポジションで視野も広がった様子。林遣都を主演に抜擢した理由については「たまたま(林の妻)大島優子さんと話す機会があって『(林は)今、ボクシングをやっているよ』という、良いことを聞いて」とマル秘エピソードを明かして笑わせながら「林君はかつてボクシングの作品もやっていたし、ボクシングを継続してやっているのであれば初めての人よりはそこまで準備もかからずにできるだろうと…。また今回は特殊な話なので彼の顔が端正でありながらロボットっぽさもある顔、というのも狙いとしてありました」と抜擢の意図を解説した。
土屋太鳳監督
有村架純との共演作『Prelude~プレリュード~』の土屋太鳳監督は、監督と紹介されると「まさか自分が監督として舞台挨拶ができるとは…。人生何が起こるのかわからないと実感しています」と満面のスマイル。映画監督として一から物語をクリエイトしたが「自分の心の中にあるものを形にする作業は素晴らしい仕事で、支えてくださったすべての方々に感謝しています」と謝辞を述べた。
また土屋は有村との出会いについて「多忙を極めていた20歳の頃に共通のメイクさんを介して架純ちゃんから『ちゃんと笑っている?辛かったら無理しないでね』とお手紙が来て、そこから辛いときに連絡をしてお話を聞いてくれたりして…」と明かし「今回ご一緒することができて幸せでした」としみじみ。監督としての苦労点を聞かれると「撮影期間も2日と短くて、現場でも『4日間くらいほしい!』とふざけながら言っていました。…もっとお時間をいただいて楽しみたかった」とポロっとこぼして、その内容に深くうなずく玉木からは「本音が…」と突っ込まれていた。
中川大志監督
友人たちとの一夜の出来事を描く『いつまで』の中川大志監督は、子役時代から撮影現場の機材やメイキングに興味があったといい、念願の監督デビューに「誰よりも楽しんでやろうという気持ちで臨みました!」と報告。俳優としては知ることの出来ないキャスティング会議にも初参加したが「会議では生々しい話があって…。自分もこうして名前が挙がり、そして名前が消えていくのかと胸がザワザワしました。普段見ることのない、いや見ちゃいけない聞いちゃいけないような色々な事情を…勉強になりました」と苦笑いだった。
野村萬斎監督
「ハムレット」と「山月記」をモチーフにした『虎の洞窟』の野村萬斎監督は「この並びにいるとまるで私が皆さんを監督したような気分になる」と場を盛り上げて「なんちゃって映画監督はとても楽しいものでした」と充実した表情。普段生の舞台で勝負している萬斎は、映像編集というマジカルな技術に改めて感嘆し「生の舞台は嘘がつけないけれど、映像は嘘がつける。映画の編集マジックは凄い!」とニヤリ。本作を通して主演の窪田正孝には全幅の信頼を抱いており「三船敏郎を得た黒澤明のような思い上がる気持ちです!…ちょっと古いかなあ?」と饒舌になるほど完成作に自信を得ていた。
最後に・・・
高良監督は「人生はつまずこうがもう一度やれる。自分に対してOKを出せればいい。そんな気持ちをゆったりとした映画で描いてみました」、玉木監督は「自分と向き合うことの大切さ、今を一生懸命に生きてもらえればという気持ちを込めて作りました」、土屋監督は「どんな過去もどんな記憶も未来の栄養になってほしいと思います」、中川監督は「僕と同じ世代には共感してもらえると思うし、上の世代には懐かしい気持ちになってほしい。自分にとって忘れたくない瞬間を切り取れたと思います」、萬斎監督は「プロデューサーからの『アカデミー賞に行ける!』という言葉にほだされて作りましたが、誰にも真似できない個性的なビックリ映画になりました」とそれぞれ力強く自作をアピールしていた。
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