井上真央ら登壇『わたしのお母さん』公開記念舞台挨拶

公開記念舞台挨拶

11/1１に初日を迎えた映画『わたしのお母さん』の公開記念舞台挨拶を井上真央、阿部純子、杉田真一監督、mayo（岡本真夜）を迎えて11月12日に行いました。

日程：１１月１２日（土）
場所：ユーロスペース
登壇：井上真央、阿部純子、杉田真一監督、メインテーマ担当：mayo（岡本真夜）

井上真央ら登壇

本作を振りかえって
主演の井上真央は、「この映画は当初、『閉じ込めた吐息』というタイトルでした。脚本を読んで、いろんな感情が閉じ込めてられているなぁと感じました。映画には、日常の本当に些細なことに光を当てているので、主人公に寄り添って見て頂くと、皆さんの幼い頃の記憶やその時に閉じ込めていた感情を思い起こされるかもしれません。観た後に、いろんな意見、見方ができる映画になったと思います」と本作への想いを述べた。
主人公・夕子の妹を演じた阿部純子は、「私が演じた晶子は、お姉ちゃんの背中を見て学んでいるような、母親の少し変わったところも笑いながら受け流せる、姉とは正反対の存在です。完成した映画を観て、井上さん演じる姉が抱えていた想いに初めて気づくことが多かったです。それくらい、親子の関係について改めて考えさせられる映画でした」。
井上と阿部の姉妹を演出した杉田監督は、「お二人は撮影を重ねる度に「姉妹にしか見えない！」と思えるほど、誰が見ても違和感のない姉妹でした」と語り、また、脚本の段階から説明を削ぎ落としたことについて、「母娘のお互いの気持ち、期待と諦めがないまぜになったシーンや、台本でも「・・・」と言葉にならない想いを演じるシーンが多かったと思いますが、井上さんには削ぎ落した表現のなかでも観客に伝わる様に演じて頂きました」と井上の演技を絶賛した。

印象に残ったシーン
井上は、「母と妹と3人で旅行に行き、妹と温泉に一緒に入るシーンは楽しかったですよね。妹が頭まで浸かって一瞬消えるシーンがあるのですが、阿部さんが「浮いてきちゃう(笑)」と何度も挑戦していて。妹の天真爛漫さが良く出ていました。妹とのシーンは楽しすぎて(笑)、でもそういう役ではないので、楽しくなり過ぎないように気を付けていました」と語ると、阿部は、「真央さんが突っ込んでくださるので、私もふざけてしまいました(笑)。楽しかったですね」と撮影時を思い出し笑いあっていた。

本作のメインテーマ「memories」に込めた思い
本作のメインテーマを担当したmayoがお祝いに駆け付けてくれた。井上は、「mayoさんとは誕生日が一緒なんです。小さい頃から同じ誕生日の芸能人でmayoさんのお名前があって、こうして作品でもご一緒できるご縁がつながって、とても嬉しいです」。これに対してmayoは、「私もテレビなどで知って、勝手に親近感を持っていました」と嬉しそうに語り合った。楽曲「memories」の制作については、「本編の最後に流れる曲だと最初にお話を伺い、編集の前段階の本編映像を観させて頂きました。最後の主人公・夕子が涙を流すシーンを見て、あの一瞬の何秒かに主人公のもどかしい想いや葛藤、寂しさを感じたので、その気持ちにそっと寄り添って、その先の夕子の人生を温かく見守るようなメモリーができたら、という思いで、作らせて頂きました」
これに対して杉田監督は、「ラストシーンのあと、夕子が、どうやってあの道を歩いて帰るのかな、と考えたときに、細やかでもそっと支えになるようなメロディが、彼女の心の中で流れてくれたらいいなと思っていました。mayoさんの楽曲は、僕にとっても夕子にとっても大切な曲になり、これでやっと映画が終われる、「夕子もこの先、きっと大丈夫だろう」と思わせてくれる曲で嬉しかったです」。

最後にメッセージ
ｍayo　「映画も音楽も芸術というのは、作り手の想いは、皆さんに作品を観て聴いて頂いた後に、それぞれの人生の人間関係や悩みにちょっとでもパワーを与えることができたらと思います。この作品でもそう感じていただけたら嬉しいです」

阿部　「私がこの作品を観たときに印象的だったセリフが、「気楽にやればいいのよ、気楽っていっても難しいよね、親子って面倒だもんね」です。この映画を観て、家族じゃなくても誰かにもう一度寄り添ってみよう、と思ってもらうきっかけになればと思います」

井上　「昨日（11/11）無事に初日を迎えて、こうして皆さんに集まって頂き、ご挨拶できていることが、今年いちばんホッとして、嬉しいです。この映画は、親子の関係がこうあるべきだと提示している映画ではありません。色んなカタチがある、ということが皆さんに伝わって、何か自分の中で、親子の関係だけではなく、凝り固まったような考えが少し解放されるような瞬間があったら嬉しいです」

『わたしのお母さん』

渋谷・ユーロスペースほか、全国順次公開中

https://www.watahaha-movie.jp/

母との関係が苦しい娘×悪気なく娘を追いこんでしまう母
実力派俳優ふたりが体現する“親子のリアル”
主人公の夕子には、25歳にして日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞し、たしかな演技力が絶賛される井上真央。母の寛子役には、実力派俳優としてキャリアを重ねハリウッド進出も果たした石田えり。夕子の妹弟役には阿部純子、笠松将と注目の若手俳優が勢揃いしました。監督は、長編デビュー作『人の望みの喜びよ』（15）がベルリン国際映画祭ジェネレーション部門でスペシャルメンションを受賞し、人間ドラマを描く手腕が高く評価された杉田真一。家族だからこそ言葉にできない、複雑で繊細な心情を丁寧に紡ぎ、ひとりの女性が葛藤を乗り越えて前へと進む道のりを静かに見守ります。