![]() |
タイ映画『プアン/友だちと呼ばせて』のバズ・プーンピリヤ監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に初登場。映画ライターの月永理絵が番組MCを担当し、本作の魅力の秘密に迫っている。![]() 本作は、若者たちのスリリングな“カンニング劇”をスタイリッシュに描き、本国タイで年間ランキング第1位の獲得をはじめ、アジア各国でタイ映画史上歴代興行収入第1位を奪取した『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のプーンピリヤ監督最新作だ。彗星のごとく映画界に現れた彼の才能に惚れたという、『恋する惑星』(1994年)や『花様年華』(2000年)のウォン・カーウァイ監督が製作総指揮を務め、またも世界中の映画ファンを唸らせる作品に仕上げている。 まずは月永が、ウォン・カーウァイのプロデュース作品であることについて質問するところからトークはスタート。「『バッド・ジーニアス』公開後に、ウォン・カーウァイ監督のスタッフからお電話をいただいて、『ウォン・カーウァイ監督が一緒にプロジェクトをやりたいとおっしゃっている』と伺いました。それで、私は香港に飛んでお話しをしたのですが、話し始めて10分以内にはもう引き受けると返事をしました」と答えるプーンピリヤ監督。思わぬところから話が舞い込んだらしい。若い頃からウォン・カーウァイ作品を観てきた監督は、「彼の映画を観ていて思うのは、観客に伝えるためにはストーリーを語ることだけが重要なのではなく、その気持ちを伝えることが大事だということです」とその魅力を語っている。 さらにトークは、二人の男がかつての恋人たちの元を訪れていくという物語の着想と、その中にあるミステリー要素についても触れ、本作の“撮影スタイル”にも言及。「前作とはまるで違う、すごく自由で、ウォン・カーウァイの初期作品にも似たような撮影スタイルだと感じたのですが、ミステリー調であったり緊張感が生まれてくるのは、『バッド・ジーニアス』と連続したスタイルだということなのでしょうか?」と月永が問うと、「そこは否定できないと思います」と監督は述べたうえで、「ウォン・カーウァイさんも監督なので、その撮り方に特徴的なスタイルがありますし、私にも特徴的なスタイルがある。なので、どちらかだけに比重をかけ過ぎるのではなくて、バランスを取ることが大事でした。二つの味を混ぜてシェイクした飲み物のような出来になっているのではないかと思います」と続ける。画面のすみずみまで徹底的に作り込んでいた前作との自由度の違いに関しては、「演技で登場人物の気持ちをより表していると思いますし、アートディレクションとか色とか、コスチュームも特徴的だと思います。なにより、俳優たちはすごく演技が上手なので、自分(自身)と繋がるような演技をしてくれました」と語るプーンピリヤ監督。彼としては、各俳優ごとに演じるキャラクターを脚本に記されている以上に引き出して欲しいという思いがあったようだ。俳優の演技に多くを委ねることもまた、前作とは異なる点だろう。 そのほか今回の収録では、監督の実体験を反映したものであることや、ウォン・カーウァイ作品との共通点などについても言及している。世界の映画シーンを俯瞰するためには、語らぬわけにはいかない存在となりつつあるバズ・プーンピリヤ監督。来日し、生の言葉を口にする姿が記録されているこの収録は大変貴重なものだろう。 |
![]() |
活弁シネマ倶楽部
活弁シネマ倶楽部 公式HP: 活弁シネマ倶楽部 公式ツイッター: |
![]() |
映画『プアン/友だちと呼ばせて』は、8月5日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国順次公開です。 HP: Twitter: facebook: STORY |
監督:バズ・プーンピリヤ『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
製作総指揮:ウォン・カーウァイ『花様年華』『恋する惑星』
脚本:バズ・プーンピリヤ、ノタポン・ブンプラコープ、ブァンソイ・アックソーンサワーン
出演:トー・タナポップ アイス・ナッタラット プローイ・ホーワン ヌン・シラパン ヴィオーレット・ウォーティア AND オークベープ・チュティモン
原題:One For The Road/タイ/2021 年/カラー/シネスコ/5.1ch デジタル/129 分
字幕翻訳:アンゼたかし
監修:高杉美和
配給:ギャガ ©2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.