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第43回ぴあフィルムフェスティバル

コンペティション「PFFアワード2021」

9月11日に開幕した「第43回ぴあフィルムフェスティバル2021」。本日、映画祭のメインプログラムである自主映画のコンペティション「PFFアワード2021」の表彰式が、会場の国立映画アーカイブにて行われ、最終審査員等により、各賞が発表されました。489本の応募作品の中から一次審査、二次審査を経て18作品が入選し、本映画祭で各2回ずつ上映されました。

PFFアワード2021」 受賞結果一覧

PFF受賞監督+最終審査員

グランプリ:

『ばちらぬん』
監督:東盛あいか (23歳/沖縄県出身/上映時間:61分)
グランプリ】『ばちらぬん』東盛あいか監督『ばちらぬん』

準グランプリ:

『グッバイ!』
監督:中塚風花
【準グランプリ】『グッバイ!』中塚風花監督『グッバイ!』

審査員特別賞:
『Journey to the母性の目覚め』
監督:岡田詩歌 (25歳/東京都出身/上映時間:5分)
【審査員特別賞】『Journey to the 母性の目覚め』岡田詩歌監督 
『転回』
監督:岩﨑敢志(24歳/愛知県出身/上映時間:14分) 
【審査員特別賞】『転回』岩﨑敢志監督
『豚とふたりのコインランドリー』
監督:蘇鈺淳(26歳/台湾出身/上映時間:22分) 
【審査員特別賞】『豚とふたりのコインランドリー』蘇鈺淳監督

エンタテインメント賞(ホリプロ賞) :

『愛ちゃん物語♡』
監督:大野キャンディス真奈 (22歳/千葉県出身/上映時間:91分)
【エンタテインメント賞(ホリプロ賞)】『愛ちゃん物語♡』大野キャンディス真奈監督

映画ファン賞(ぴあニスト賞) :

『愛ちゃん物語♡』
監督:大野キャンディス真奈 (22歳/千葉県出身/上映時間:91分)

『グッバイ!』
監督:中塚風花 (20歳/滋賀県出身/上映時間:31分)

観客賞:

『ててて』 監督:加藤紗希 (31歳/愛知県出身/上映時間:78分)
【観客賞】『距ててて』加藤紗希監督
*各受賞者にはPFFスカラシップへの挑戦権が贈られます。

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明日25日(土)、国立映画アーカイブで受賞作品を一挙上映

25日(土)12時~ 『Journey to the 母性の目覚め』、『愛ちゃん物語♡』、『転回』、『グッバイ!』*途中休憩あり
16時~ 『距ててて』、『豚とふたりのコインランドリー』、『ばちらぬん』*途中休憩あり
入選監督+最終審査員入選監督+最終審査員

「PFFアワード2021」入選全18作品を10/31(土)まで限定配信中

【配信プラットフォーム】
◎DOKUSO映画館(国内最大級のインディーズ映画配信サイト)
https://filmfestival.dokuso.co.jp/festival/detail/99  
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▼グランプリ『ばちらぬん』

東盛あいか監督 受賞コメント

東盛あいか監督
『ばちらぬん』という言葉は、私の地元である日本の最西端の小さな島の言語で「忘れない」という意味があります。この映画のことを皆さんに呼んでもらうたびにとても嬉しく、「忘れない」という思いを少しずつ未来に運んでいけるのではと強く思いました。本来なら島でオールロケをして、全てフィクションで撮る予定でしたが、コロナの影響で変更せざるを得なくなりました。悩みましたが、「つながりたい」という思いが強く、映画なら実現できるのではないかと思いドキュメンタリー+ドラマという形に挑みました。『ばちらぬん』を一緒に作ってくれたみんな、島にいるみんなに早く受賞を伝えたいです。

プレゼンテーター:池松壮亮(俳優)

池松壮亮
1977年から続く歴史ある映画祭・PFFに心から敬意を表したいと思います。インディペンデントな映画、小さいけれど偉大な作品にも光を当ててくれて、たくさんの映画人やクリエイターと共に歴史の一旦を担うことができて光栄です。どの作品も素晴らしくて、それぞれの映画の、これまでの旅路を祝福したいと思います。
グランプリの「ばちらぬん」。素晴らしい映画に出会えた!と思っています。
人の記憶、血の記憶、土地の記憶、そういったことを観るものに感じさせてくれます。私たちは自分たちの短い人生に囚われがちだと思いますが、もっと長い精神の歴史の上を生きているということを、映画は当たり前のように分かっているようでした。
言葉にならないことを何とか映像で掴み取ろうとしている強い意志を感じ、そのようなこの映画の強い精神と技術的なバランスに、とても感銘を受けました。ありがとうございました。

『ばちらぬん』

与那国の持つ記憶や文化を、個人の経験に重ねた実験作
与那国に積み重ねられた歴史や文化と、今そこにいない監督自身の物語。大きな時間に個人の経験を重ねることで、そこにいた人々の人生も想像させる。フィクションやドキュメンタリーの枠を超えた、土地と人々の物語。
監督:東盛あいか HIGASHIMORI Aika
1997年生まれ、沖縄県出身。地元の与那国島には映画館もレンタルビデオ屋がなく、進学した石垣島の高校時代にレンタルDVDで映画を観始める。京都芸術大学で多方面から映画について学び、現在は俳優事務所に所属。   

▼準グランプリ 『グッパイ!』

中塚風花監督 受賞コメント

賞をとれるとは思っていなくて、嬉しいです。この映画に関わってくださったわたしの恩師、植松真人先生(ビジュアルアーツ専門学校/大阪)にとても感謝しています。この場をお借りてお礼を言わせてください。今後もいい作品を撮れるよう精進します。

『グッバイ!』 

今の私しか撮れない、手探りのセルフドキュメンタリー
一緒に暮らす母親、離れて暮らす父や兄姉との関係。就職や上京といっためまぐるしい変化の時期に、自らカメラを持って今見ている世界と向き合ってゆく。グッバイの先の未来へ向かってゆく彼女を応援したくなる! 
監督:中塚風花 NAKATSUKA Fuuka
2000年生まれ、滋賀県出身。ビジュアルアーツ専門学校 大阪に入学し、撮る側になったことで、改めて映画の魅力に気付く。同校の卒業制作として本作を制作。現在はテレビ番組のADとして、忙しい毎日を送っている。

プレゼンテーター:今泉力哉(映画監督)

自分はこの映画が本当に大好きで選ばせて頂きました。家族のドキュメンタリーなのですが、登場人物が本当に魅力的すぎて「人物を描くってこういうことか」と勉強になりました。撮影や音に対する意識、編集能力も高くてカットの終わり方、言葉の選び方、ナレーションの入れ方も効果的で面白い。何度も繰り返し観たほど魅力的な映画でした。

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▼最終審査員5名による審査総評

●高田 亮(脚本家)
昔、自主映画を作ったこともあり、PFFに応募もしましたが入選はしませんでした。今回多くの作品を拝見し解釈はそれぞれですが、映画は観た人のモノ、皆さんの作品たちも僕のモノにさせていただいてます。本当にいろいろな刺激をいただきありがとうございました。

●岨手由貴子(映画監督)
私も10年以上前にPFFに2度入選していて、一度目は賞を何ももらうことが出来ず、二度目は準グランプリを頂きましたが、受賞できなかった気持ちも受賞できた喜びも両方分かります。監督人生は続けてさえいればずっと続けることが出来ます。賞をもらった、もらえなかったに関わらず、皆さんにはぜひ次も続けて作って欲しいと思います。また、私が入選した頃はまだ少なかった女性監督が今年はすごく多く、今回の受賞監督がほぼ女性、という結果も、とても嬉しく思います。
審査会ではどの作品も魅力的なので白熱しましたが、処女作でしか作れない良い意味で野心的な作品に出会うことができ、何て楽しそうなんだろう!と羨ましく思うこともありました。皆さんの素晴らしい作品に出会わせて頂きありがとうございました。

●柴崎友香(作家)
私は高校の時映画部に入っていて、同じ部にPFFに入賞した先輩がいて「PFFはすごい」とさんざん聞かされていたので、今回このような機会を頂けてありがたいです。
その頃と違い、今は映画を撮ることが身近になって、色々できるようになったんだな、というのが素直な感想です。
どの作品も本当にレベルが高く、審査を忘れて楽しんで観ました。作品のタイプも色々あって、どういう基準で賞を決めたら良いか悩みましたが、その幅広さがPFFアワードの懐の深さ、今までたくさんの人に注目され長く続いている意味だなと思います。
映画と小説の違いは、映像か文字かという事よりも一人で作るか、たくさんの人と関わって自分以外の要素と折り合いをつけながら、話し合いながら作っていけるのが一番の違いだと思いました。
自分以外の人、天気、場所、思い通りにならない要素と関わりながら作っていく。そこでしか生まれないもの、だからこそ生まれてくるものがあるのが映画の面白さ。小説家としては大変そうだけど羨ましいな、という気持ちを持っています。

●今泉力哉(映画監督)
映画は自分だけじゃなく、スタッフに何か賞を持ち帰りたいという気持ちがありますが、489本の中から入選するってことは誰かの目にとまりこの場所に来たということ、その中で、好みや出会いもあり、選ばれなかった作品にもすごい作品もあった気もし、一本一本に差はなく生まれてきていると思います。
自分も五、六回応募して、入選できず、一時審査を通過したことを自信に悔しさをバネして映画を続けています。
入選や受賞することがゴールではないし、映画を続けていくかいかないかを自分で決めていい、映画以外のことに今回の受賞や悔しさを活かして生きていくことが大事だと思います。

●池松壮亮(俳優)
ここの作品についてたくさん語りたくなるのでここでは控えておきます。
とにかく素晴らしかった。映像に残そうとする、自分の内外にあるものを切り取ろうとする気迫にとても刺激を受けました。489本の応募作、今年選ばれた入選作、審査員として優劣を付けてしまいましたが、映画に対する愛情を共有している、という一点においては全く優劣はなく素晴らしいものばかりでした。
コロナ禍で大変な状況、不確かな時代にみんなが不安を抱え、私たちの未来はお先真っ暗だとも言われています。でも、そんなもん知るか!です。心の奥底の声に忠実に、自分と対峙する世の中に向き合って、自分自身のクリエイティビティを探究しながら、映画を共に分かちあっていけたら、僕自身も嬉しいなと思います。また皆さんと映画を共有できることを楽しみにしています。

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