「タイトルから想像できる内容と実際の内容とで大きなズレのある作品」『ある殺人、落葉のころに』の三澤拓哉監督が、同作で主演の一人を務めた森優作とともに“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に初登場。番組MCは文筆家の折田侑駿が担当し、国際色豊かな製作チームによる企画のはじまりや、不可思議な物語の着想、また俳優陣の魅力についてもトークを展開してた。 |
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本作は、初監督作である前作『3泊4日、5時の鐘』がロッテルダム国際映画祭をはじめとする数多くの映画祭で評価を得た三澤監督のオリジナル作品。映画『十年』で香港映画シーンを席巻したウォン・フェイパンをプロデューサーに迎えて製作された。神奈川県の大磯を舞台とし、恩師の死をきっかけに露呈する幼馴染の4人の若者たちの不安や孤独感を大胆かつ繊細に描き出している。一般公開に先がけて、釜山国際映画祭でプレミア上映され、大阪アジアン映画祭でも好評を博した。
「非常にスリリングな79分間を体験しました」と、まず本作への感想を語る折田。 映画祭での観客の反応がどうだったのかについて問うと、「タイトルから想像できる内容と実際の内容とで大きなズレのある作品かと思います。劇中のいたるところに“謎”の要素を散りばめました。かなりの余白がある作品だと思います。だから観たお客さんによって、出てくる感想もだいぶ違いました」と三澤監督は返答。 そんな本作の企画は2016年の冬から動き出していたようだ。「いろいろあって、予定よりも撮影を1年延期することになりました。タイトルに『落葉』とあるので、その季節を待たなくちゃいけない(笑)。その延期期間中にウォン・フェイパンとよく会っていて、本作について話していたんです。そうしたところ、彼はキャスティングなど具体的なことにも興味を持ってくれました。そこで、彼がガッツリと関わってくれたらすごく面白い作品になるんじゃないかと思ったんです。それに延期したからこそ、新しい要素を加えて、“延期した意味があった”という状況で進みたかったんです」と振り返る。 茅ヶ崎を舞台に男女の恋模様を描いた前作とは打って変わって、本作はとてもミステリアス。「物語の端緒を掴もうとすると、ふいにすり抜けていくので、終始宙吊り状態にされる」と折田は自身の感想を語っている。そんな物語の着想は、「“言葉によるコミュニケーションがもはや不要になっていて、それぞれがコミュニティ内での役割をただ演じている”……物語の着想はいくつかありますが、このことを描きたかったというのがあります」と三澤監督。たしかに日常生活を送る上で、あちこちに見られるものかもしれない。 |
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■活弁シネマ倶楽部■
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『ある殺人、落葉(らくよう)のころに』2021年2月20日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開中。 https://oisofilm.com/ <<映画祭出品歴>> |
守屋光治 中崎 敏 森 優作 永嶋柊吾堀 夏子 小篠恵奈 盧 鎮業 成嶋瞳子 大河原恵 プロデューサー:黃飛鵬 三澤拓哉 脚本・監督:三澤拓哉 共同プロデューサー:森浩章 撮影監督:廖 天駿 照明 :西あずさ 助監督:市原大地 編集:三澤拓哉 黃 飛鵬 録音: 李 志峰 音楽:岩本エイジ 衣裳:神脇清人 ヘアメイク:藤垣結圭 配給:イハフィルムズ2019/日本・香港・韓国/ シネマスコープ/カラー/5.1ch/DCP/79min/日本語 英題:The Murders Of Oiso https://twitter.com/OisoFilm
©Takuya Misawa & Wong Fei Pang