『花束みたいな恋をした』の土井裕泰監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に初登場。MCの映画ライター・SYOを前に、自身の半生や、本作が“挑戦作”となったことなどを語っている。 本作は、東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った男女の、5年間を描いたラブストーリー。『東京ラブストーリ〜』『Mother』『最高の離婚』『Woman』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『カルテット』『anone』などなど、数多くの大ヒットドラマを手がけてきた脚本家・坂元裕二による最新作だ。土井監督は『カルテット』で坂元と組んで以来、映画では初タッグとなった。主演を務め、等身大の若者像を体現するのは菅田将暉と有村架純。そのほか、清原果耶、細田佳央太、オダギリジョー、岩松了、戸田恵子、小林薫ら若手からベテランまで、豪華なメンツが脇を固めている。 |
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トークは、監督の幼少期の思い出話に触れるかたちでスタート。広島出身の土井監督は、映画館が身近にある環境で育ったようだ。数多くの映画を観て過ごしたなか、いまだに記憶に残っているのが、『ディア・ハンター』を初めて劇場で観たときのことなのだという。「電車で観に行ったのですが、帰りは電車に乗る気になれず、歩いて帰りました。家に帰ってからは、『花束みたいな恋をした』の序盤の絹(有村架純)ちゃんのようでした」と、自作を引き合いに出して当時の記憶を振り返る。大学進学のために上京してからは、演劇にのめり込んでいたようだ。 そんな人生経験を経てきた監督に対してSYOは、「幼少期から、カルチャーへの感度がすごく高い方だったのだなと感じます。そういった点は、本作の麦(菅田将暉)くんと通じる部分があるように思うのですが、いかがでしょう?」と問いかけている。これに監督は「初めて台本を読んだときに、『この人たちのことが、とても分かる』と思いました。ただ、僕自身のノスタルジーなどを、あまり彼らに重ねない方がいいんじゃないかとも思いました。あくまで2015年から2020年を生きている若い男女の物語。僕は離れたところから見ている存在であればいいなと」と、初めてシナリオを読んだときのことを振り返る土井監督。 以前、本作について別のメディアにて土井監督にインタビューをしたというSYOは、監督の「これは挑戦作であり、問題作になる可能性がある」という言葉が印象に残っていたようだ。「当初は小規模での公開を想定していたので、坂元さんとは“普段テレビでできないようなことをやってみたい”という共通の考えがありました。ところが公開規模が大きくなり、こういったミニマルなタイプの作品は、結果として挑戦的なものになってしまったんです(笑)」と語る。 坂元が主演の二人に当て書きしている事実にSYOが触れると、「彼らは若手俳優の中でもトップランカーですよね。それでいて、誰ものごく身近なところにいそうな気がするというか……やっぱりそういう感覚を持ち続けられているということが、いまの時代のある種のスターなのだなと思わされます。彼らが表現したものが、その時代を体現しているのかなと。彼ら自身がそういう力を持っているので、僕自身の持つ何かを投影するべきではないと考えました。彼らがやること自体が、いまの時代に繋がっているのかなと思います」と土井監督は菅田と有村の魅力について述べている。 |
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■『花束みたいな恋をした』■あらすじ |
脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
出演:菅田将暉 有村架純
清原果耶 細田佳央太
韓英恵 中崎敏 小久保寿人 瀧内公美
森優作 古川琴音 篠原悠伸 八木アリサ
押井守 Awesome City Club PORIN
佐藤寛太 岡部たかし
オダギリジョー
戸田恵子 岩松了 小林薫
撮影:鎌苅洋一 照明:秋山恵二郎 美術:杉本 亮 装飾:茂木 豊
撮影効果:実原康之 録音:加藤大和 編集:穗垣順之助(J.S.E.)
音楽:大友良英 衣裳:立花文乃 ヘアメイク:豊川京子
スクリプター:加山くみ子 イラストレーション:朝野ペコ
VFXプロデューサー:赤羽智史 助監督:石井 純 製作担当:宮下直也
企画:孫 家邦 菊地美世志 那須田 淳 プロデューサー:有賀高俊 土井智生
製作:『花束みたいな恋をした』製作委員会
配給:東京テアトル、リトルモア
©️2021『花束みたいな恋をした』製作委員会