7年ぶりに新作『BOLT』を手がけた林海象監督と、同作に出演している俳優の佐野史郎が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。MCは映画ライターの月永理絵が務め、本作だけでなく、1986年に劇場公開され、この度デジタルリマスター版が公開された『夢みるように眠りたい』にも話題は及んでいる。 映画『BOLT』は、『BOLT』『LIFE』『GOOD YEAR』という三つのエピソードで構成された作品。ある日、日本のとある場所で大地震が発生。その振動で原子力発電所のボルトがゆるんだことで、圧力制御タンクの配管から冷却水が漏れ始めてしまう。高放射能冷却水を止めるため、仲間たちとともにボルトを締めに向かう“男”の人生が、この未曾有の大惨事によって翻弄されていく様が描かれている。2015年から2017年にかけて製作され、この2020年の終わりに日の目を見ることとなった。主演は、林監督と何度もタッグを組んできた永瀬正敏。佐野、金山一彦、後藤ひろひと、大西信満、堀内正美、月船さららが脇を固めるほか、佐藤浩市が声の出演をしている。 |
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本作は、第三部にあたる『GOOD YEAR』が一番最初に撮影されたらしい。「当初は短編作品を作ろうと考えていました。現在のような全体の構想はありませんでした。そこから短編を作り続けていこうということで、『LIFE』『BOLT』という順に製作しました。撮った順に並べるのか、あるいは全体の構成としてどういうふうに見せたら良いのかとだいぶ悩みましたね。時間をかけて、みんなの意見を聞きながら、現在のかたちに至りました。もっとも新しいものが一番古いという、不思議な映画ですね」と語っている林監督。第一部『BOLT』に出演している佐野は、『GOOD YEAR』にも声で出演している。彼が「こういったかたちの作品になるとは思いませんでしたね」と現在の心境を告げると、「でもこうやって振り返ってみると、『GOOD YEAR』を作った時点で、頭の奥の奥の方では、長編化させる考えが生まれていたのかもしれませんね」と林監督は述べている。 第一部の『BOLT』は、現代美術家のヤノベケンジが香川・高松市美術館に創り上げた巨大セットで撮影された。近未来的なデザインの衣装から、タイマーなどの小道具に至るまで、ヤノベが手がけている。「美術館が開館している中での撮影だったので、お客さんが見ているわけです。面白かったですね」と林監督。「しかも監督の解説つきね(笑)」と佐野が続けると、「モニターを置いて、『こんな画になりますよ』だなんて解説しましたね」と監督がまた続ける。「演っている側からすると、我々も展示物の一つだという喜びがありました」と佐野が口にすると、月永は驚きの声を漏らしている。 林監督の長編デビュー作であり、佐野の映画初出演作にして初主演作である『夢みるように眠りたい』に関しては、「当時、脚本を読んだ時点でよく分からず、撮影中もよく分からず……初号試写で『ああ、こういうことなのか』という心持ちになったことを覚えています。その後、何度か観返してきましたが、観る度に印象が変わるんですよ。現在の環境下で観ると、また違いますね」と語っている佐野。林監督は、「自作の中でも、本作を一番多く観返していますね。この映画が、いまの佐野さんや僕を作ってくれたわけですから。感謝しています。それに、すごくうまくいっている作品だとも思います。あの頃やりたかったことが全部入っています」と述べている。 『BOLT』『夢みるように眠りたい』とあわせて、必見の収録回となっている。 |
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『BOLT』
あらすじ ・episode1.BOLT ・episode2.LIFE ・episode3.GOOD YEAR 監督:林海象 |