受賞結果は下記の通りです。
■「PFFアワード2020」受賞結果一覧■
第42回ぴあフィルムフェスティバルコンペティション部門
「PFFアワード2020」受賞結果!
グランプリ
副賞100万円
映画監督として最も期待したいつくり手に贈られます。
『へんしんっ!』監督:石田智哉
22歳東京都出身上映時間:93分
監督コメント:
映画を作ることでしか表せない、吐き出せないことがあることを作品を撮りながら発見していきました。
ダンスやアートのシーンは、体がほぐれていくところを込めたいと思い最後のシーンをつくりました。周りの人たちも自分が監督すること表現することに葛藤や不安がありましたが、撮影はとても楽しく、自分らしい作品にすることができたと思います。ありがとうございました。
▼最終審査員5名による審査総評 (敬称略)
大森立嗣(映画監督・俳優)
僕は映画をつくる時、他者という分かり合えないものに対しどうやって向き合うか、観客、スタッフ、俳優といった他者たちとどうやって向き合っているかということを映画づくりの原点にしていて、そういう観点で映画を観てしまうところがあります。今回の作品たちを観ていて「死」という一番大きな分からないものに関する映画が多かった気がしました。わからないもの、自分と違うものに対して映画をつくっている。17作品のレベルの高さを感じました。
齊藤 工(俳優・映画監督)
今回審査員として関われたことが本当に楽しかったです。映画の見方は一人だと一つの見方、角度で見てしまうのですが、他の4名の審査員の方と一緒に作品と向きあう中で、個人的にもとても貴重な体験をさせていただきました。
映画の見方には「一目惚れ」と「徐々に発酵していく」パターンがあって、恋愛のようですが(笑)、準グランプリの「屋根裏の巳已己」は一目惚れでしたが、他の作品では、自分の中でどんどん何かが発酵していく感覚になる作品がありました。
全体を通して、皆さんの作品は巧妙だと感じました。それはスマホで撮影できたり、技術の進化や柔軟性がそう感じさせるのですが、その巧妙さに隠れて、実は、その人の人間性や、個性が隠れがち、探さないと見つからないくらい薄まっているのでは、と感じることがありました。
PFFは受賞できなかった方にとっても、一つの大いなるきっかけになると思うので、皆さんに持ち帰ってほしいと思います。次の座標に向かえる、皆さんにとってのきっかけになるからです。
私事ですが、気づけばセクシー俳優と言われ、それを受け入れて、自分の中になかった地点を頂いて。でも、そこからどうしていくかを自分は考えるきっかけになったと思うのです。皆さんも今日のこのきっかけを大切に、今後もフィルムメーカーとしての時間を楽しんでほしいと思います。
樋口泰人(プロデューサー)
ものすごく新しい体験をしたという気持ちでいっぱいです。ここ10年くらい、「若い人が映画を観ない」「スマホでしか映画を観ない」という話を聞いていましたが、俺らも小さいころはテレビで映画を観て好きになったりしていたな、と思っていました。その中で、こうして全作品まとめて観ると「映画」の位置づけが、若い人たちの間で俺らの考えている映画とは大きく変化していることに気づきました。自分の足元をものすごくちゃんと見ている。自分の目の前の人とどう向き合うか、今ここで思っていることをどう捉えるかというところにカメラを向けて映画を撮っていることがしっかり伝わってくる。映画というものが遠くにあって走っていくのではなく、自分の足元から何かをすると自然に映画になっていく。そんな映画作りの新しいやり方を、若い人たちが自分たちの関係性の中で作り上げてきたという印象を受けました。皆さん今の作り方を曲げないで、自分の足元から、目の前の人と一緒に、映画を作り続けていってほしいです。
平松 麻(画家)
審査をさせて頂いた1ヶ月間は、絵を描いて、映画を見て、という毎日でした。作品や他の4名の審査員の方と向き合う時間はこれまで経験したことがない、幸せな時間でした。
私は画家として、いつも他者とは関わらず、自分の内的世界に矢印を向けて創作しているのですが、今回のように皆さんが他者に向き合ってある姿が美しいと本当に感じました。
映画は「人」そのもの、なんだなと強く思います。映画には、絵画にない光、動く人、音、そういう表現方法がたくさん詰まっている芸術表現は、映画以外にないのではないか?と、とても羨ましく思っています。
古厩智之(映画監督)
審査会でも話したのですが、今回は独りぼっちで作っている作品が多く、コミュニケーションのある作品が少ないなと感じました。
映画はコミュニケーションがないと成立しないと思っていて、人と人がいて、そこで何かが投げ交わされないと全然面白くないんです。でも同時に映画はどこか不健全で、一人の手遊びとか独りぼっちの世界が必ず深部にあって、どっちもどっちなんです。それだからお互い苦しい。映画とはそんなものなんだなというのを作品を観ながら改めて思い出したりしました。
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