映画情報どっとこむ ralph 現在公開中の『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』、そして4月18日(土)より公開となる『凱里ブルース』を手がけたビー・ガン監督。今回、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」では、同番組でMCを務める映画評論家・森直人、映画ジャーナリスト・徐昊辰、映画ライター・月永理絵の三者が揃い、ビー・ガン作品のその魅力と、今後の映画界での期待について語っています。
森直人×徐昊辰×月永理絵‗ビー・ガン監督について_活弁シネマ倶楽部 ‗

映画情報どっとこむ ralph まず森が、ビー・ガン監督が1989年生まれであること、そして、グザヴィエ・ドランや山戸結希監督と同年代であることに触れ、中国映画界における“第八世代”であることに言及し、各々が感想を述べるところから始まる。
ビー・ガン監督について_活弁シネマ倶楽部 ‗森直人×徐昊辰×月永理絵
『ロングデイズ…』と『凱里ブルース』の二作について月永は「(監督第一作目である)『凱里ブルース』は荒削りな作品でしたが、予算が集まり、技術が追いついてくると『ロングデイズ…』のようになるのかと。この二作を一緒に観られるのは、面白いポイントかなと思います」と語っている。中国出身の徐は、『凱里ブルース』を3年ほど前に観たのだという。そんな彼は「久しぶりに中国から“作家”の監督が出てきたという衝撃を受けた」と鑑賞当時の記憶を振り返る。続けて、「中国の映画業界は今すごく発展していて、こういう大物になれそうな監督の登場により、みんなが出資したいという流れになっていて。そして『ロングデイズ…』のようなかたちの作品が作られたのだなと」と、中国の映画市場に絡めて分析。さらに、ビー・ガン監督にインタビューを行った徐は、監督の人柄にも触れながら、『凱里ブルース』と『ロングデイズ…』の予算が大きく違うことも具体的に述べている。

一方の森は、「『ロングデイズ…』を先に観たのですが、イキった映画だなと(笑)。その後に『凱里ブルース』を観て、びっくりしました。これ傑作ですよね。『ロングデイズ…』は予算が増えたことによるものなのか、“不全感”があって。『凱里ブルース』は、ミニマムで低予算であるがゆえに、煌めきのようなものが強く映っている」と、笑いを誘いながら二作を評している。ビー・ガン作品への触れ方はそれぞれ違うようだが、三者三様に彼の才能には魅力を感じているようだ。

そして、ビー・ガン監督の現時点での最大の作家性であり魅力である、“ロングテイク(長回し)”についても当然ながら語っている。『凱里ブルース』は後半に40分のロングテイクが、『ロングデイズ…』は後半60分に及ぶロングテイクがあるうえに3D映像で展開。後者は、鑑賞の途中で観客が3Dメガネをかけなければならないという、特殊なギミックも施してある(※現在ほとんどの劇場では2D上映)。
これらについて月永は「デジタルの発展によって、ワンカットの作品が増えてきていますよね」と語り、3Dに関しては、「『凱里ブルース』にあったダイナミックさが無くなってしまった分、『ロングデイズ…』は“どう美しく観せていくか”に集中している気がして。同じワンカットとはいえ、好みは分かれそうですよね」と述べると、森も徐も同意な様子だ。
ビー・ガン監督について_活弁シネマ倶楽部
「“中国映画の現在”を聞いていると、“商業化”がすごく進んでいて。一方で“作家の映画”が手薄になってきているところに、久々に星みたいな人が現れた」と森が口にすると、「久々にジャ・ジャンクーになれそうな方が出てきたと、みんな期待を持っている」と徐が続ける。そのほか、中国の映画業界におけるアート映画への姿勢や、監督がもともとは詩人であったこと、さらには『1917 命をかけた伝令』をはじめとする“ロングテイク”が見どころの作品について大いに語り、「(ビー・ガン監督が)次の世代のジャ・ジャンクーになるのは間違いないのではないか 」と徐が述べ締めている。

映画情報どっとこむ ralph 活弁シネマ倶楽部

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映画情報どっとこむ ralph 『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』

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あらすじ
それは夢なのか、現実なのかーー形のない記憶という名の愛の残像を道標に、 忘れがたい女の面影を追う男。彼がたどり着いた場所とは……。 父親の死を機に、12年ぶりに故郷へ帰ってきた男。 彼はその地で、若くしてマフィアに殺害された幼馴染みや、 自分を捨てて養蜂家の男と駆け落ちした母親の記憶のかけらを拾い集めるように、 想い出の街を彷徨っていた。そして何より彼の心を惑わせたのが、 ある運命の女のイメージだった。その女は、自分の名前を香港の有名女優と同じ、ワン・チーウェンだと言った。男はその女の面影を追って、 現実と記憶と夢が交差する、ミステリアスな旅に出るーー。

監督:ビー・ガン
出演:タン・ウェイ、ホアン・ジェ、シルヴィア・チャン、リ・ホンチ、チェン・ヨンゾン

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