2019年のカンヌ国際映画祭で審査員賞に輝き、「コンペ最大のショック!」とセンセーションを巻き起こしたフランス映画『レ・ミゼラブル』が、2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国ロードショーとなります。
タイトルの“レ・ミゼラブル”とは、フランス語で<惨めな人々>という意味。 そんなラジ・リ監督がアカデミー賞授賞式直後となる今週、来日を果たしました! 本作にかねてから注目し、映画を「パリはおしゃれなんかじゃない。この映画が描く危険なパリに、ぞくぞくするような真実がある。」と絶賛する細田守監督が応援にかけつけ、2/17(月)にプレミアム試写会を実施いたしました。かたや自分の街に根差した製作スタイル、かたやアニメーションという形で “自分の物語”を映画にしてきた作家同士。ふたりが、様々な角度から本作の魅力を語りました。 |
|
ラジ・リ監督は、「私の最初の長編映画である『レ・ミゼラブル』を皆さんに紹介できることを、とても嬉しく思います」と感慨深げに挨拶。 世界各地で高く評価されている本作は、監督によると50か国ほどでの配給が決まってるといい、「昨年のカンヌ以降、2~30か国をプロモーションで回り、サウジアラビア、アメリカ、北アフリカなど色々なところに行きました。この映画を携えての世界ツアーももう少しで終わります」と充実の表情で答える。 ここで、本作にかねてから注目し、映画を「パリはおしゃれなんかじゃない。この映画が描く危険なパリに、ぞくぞくするような真実がある。」と絶賛する細田守監督が登場。 細田監督は、「僕たちの映画に共通して言えるのは、“子供”が大きなカギを握っているということだと思います。この映画では社会の変化について子供がどう感じているのかを描いていますが、社会的な映画の中でここまで描いている映画はそう多くはないと思います。そこが感動したポイントでもあったんです」と自分たちの作品の共通点に言及する。それに対してリ監督は、「この映画の舞台はモンフェルメイユという街で、自分もそこで育ってきた子供だったんです。こういう場所で育っていく子供達の未来はどんなものなんだろうという意味で、彼らの存在はとても大切です。ああいう社会の中で、最初の犠牲者になるのが子供たちなんです。だから、そんな子供達を全面にフィーチャーしたいと思いました」を狙いを語る。その街などに住み、演技経験が全くない子供達をキャスティングしたことについて、「一緒に演技の練習をしたりしました。その結果は本当に素晴らしいものです」と振り返る。細田監督は、「本当にその場所に生きている子供達ということが伝わってくるし、この映画で抱えている問題が彼らに降りかかっていくことになる訳だけど、彼らが大きくなった時に、その問題はいったいどうなってるのか…と考えさせるものでもあります。そういう意味も含めて、子供とか子役とかいうことではなく、ずっと世代を越えて繋がっていく問題に対して、僕らがどう考えなければならないのかを考えさせてくれる存在でもあるんです」と語る。 ふたりのもうひとつの共通点と言えるのが、リ監督はつい先日、細田監督は昨年のアカデミー賞に監督作がノミネートされ、授賞式に参加したこと。リ監督は、「カンヌやゴールデン・グローブ賞にも参加しました。でも、長編デビュー作でアカデミー賞に参加できるなんて、本当に恵まれたことだと思います。アカデミー賞にノミネートされるということは、色んな人に映画を観てもらえるチャンスを与えらているということなんです。この映画で描かれているような現実を多くの人に観てもらうことが映画を作った目的でもあります。映画が描くのはこの地区の現実であり、僕は証言者として作ったつもりです」と語る。 細田監督は、「この映画は、ドキュメンタリーのような一面もあると同時に色んな表情を持っていて、映画を観ながら『その男、凶暴につき』を思い出していました。そんなテイストもあるな、と」と映画が持つ多面的な表情を語る。リ監督は、「ストーリー自体はハードな部分もありますが、これからを担う若者達のエネルギー溢れる部分やコミカルな部分など、実際にあるものを伝えたかったんです」と語る。 リ監督とともに、映画に“市長”役で出演しているスティーヴ・ティアンチューも来日。「ラジ・リが前からこの映画を撮りたいとずっと思ってきたことを知っているから、この映画をラジと一緒に作れたことが嬉しいです。フランスではこういう映画を作ること自体がなかなか難しいことだから、こうして日本にまで紹介できるということは、映画にとって“大勝利”だと思っています」と挨拶した。 |
|
『レ・ミゼラブル』
公式サイト: 公式Twitter&Facebook: 【STORY】 |
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
監督・脚本:ラジ・リ
出演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ、ジャンヌ・バリバール
原題:Les Misérables/2019年/フランス/フランス語/104分/カラー/シネスコ/5.1ch ©SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS