“映画を語る”番組「活弁シネマ倶楽部」第23回が配信開始され、話題作『ワイルドツアー』を紹介。
本作は、『きみの鳥はうたえる』で国際的な評価も高めた三宅唱監督が山口県の地元の中高生達と一緒に作り上げた作品であり、繊細かつリアリティに富んだ作品である。番組では、お馴染みのMC・森直人が三宅監督とともにトークを盛り上げた。 |
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『ワイルドツアー』は、山口情報芸術センター[通称:YCAM(ワイカム)]が実施する映画制作プロジェクト「YCAM Film Factory」の第4弾。中高生の男女が植物のDNAを解析するワークショップを通して、恋をして、青春し、成長する物語である。本作でメガホンをとったのは三宅唱。三宅監督が実際に山口県に8ヶ月間滞在して、映画に関するワークショップを開催。そこに参加した地元の中高生がそのまま出演し、撮影を通してリアルタイムで成長する姿が映し出されている。 番組冒頭、本作の制作背景からトークが始まり、地元の中高生を起用した経緯について説明した。三宅監督はMCの森と討論していく中で、YCAMの研究開発チーム・YCAMインターラボにいる人達を、多様な研究でその名を馳せた南方熊楠(みなかた・くまぐす)のようだと例えた。彼ら彼女らほとんどが非専門家であり、「誰でも(南方)熊楠になれちゃうみたいな。でもそれって映画の世界も一緒。ていうか、21世紀ってこういうことだったんだって初めて気づいた。」と語った。誰でも映画を撮ることができる時代である実感を改めて得た滞在期間だったと当時の心境を明かした。
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また、本作はドキュメンタリーとフィクションそれぞれの性格が複雑に入り混じっている。三宅監督は、演出がある部分と俳優のアドリブの部分は、真逆に思われていることが多いと話し、映画のジャンル分けについても「よくドキュメンタリーとフィクションって言葉で、“どっちなんだ?”って話になりますけど、多分それを分類することは、もうあまり意味が無いんじゃないかって思ってて、ざっくり『映画』って言えばいいじゃんと良く思ってはいる」とコメントした。 さらに、トークが脚本についての話になると、「最近考えが変わった」と笑い混じりに切り出し、「脚本、大事」と『ワイルドツアー』で脚本の捉え方の変化を語った。三宅監督は自らのこれまでを「他人の脚本をやったことが無くて、自分でも書く能力がなくて、でも現場で映画は作りたかったから“脚本がなくてもつくれる”って思ってたんです。ナメてた。」と振り返り、その転換点が『ワイルドツアー』にあったと明かしている。様々な環境と心境の変化があり、「今回、やっと“『劇』面白えわ”って思えるようになった」「暇さえあれば脚本を書いていたい」と語る三宅監督の次回作に期待感が高まる。 番組内では、国際映画祭の反応や、映画監督になるまで、今後の活動についてなど様々なトークテーマについて余すこと無く語り尽くした。
監督・脚本・撮影・編集:佐向大 プロフィール |
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■活弁シネマ倶楽部■ 「活弁シネマ倶楽部」は、映画の制作陣がゲストに登場する貴重な番組であり、ネタバレの縛りもなく想いを吐き出せる場として制作側の支持が熱いそうだ。独自の目線で作品を 選定し紹介しているため、まだまだ視聴者に知られていない作品やその内容について十分に語られていない作品にも出会えるチャンスかもしれない。 WEB 配信での特別番組だが、引き続き定期的に配信され、今後は生配信の可能性もあるとのことで、映画好きにとっては、必見の番組だ。 「活弁シネマ倶楽部」公式ツイッター: |
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『ワイルドツアー』
こちら あらすじ 出演:伊藤帆乃花、安光隆太郎、栗林大輔、伊藤己織、髙椋優気、増田結妃、桝田七海、渡邊芽惟、渋谷圭香、河村百音、川俣実穂、福田未空、横山南 ほか |