2月22日(金)に“映画を語る”番組「活弁シネマ倶楽部」第15回が放送されました。
ゲストには是枝裕和さん・西川美和さんが立ち上げた「分福」が送り出す、新進気鋭の広瀬菜々子(ひろせ・ななこ)監督が登場。 映画評論家でMCを務める森直人さんも終始興奮気味にコメントしつつ、鋭い観察眼で本作を分析しています。 |
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本番組は、毎回映画に携わるゲストを招き、制作の裏側や作り手のこだわりについてほぼノーカットでトークすることで、“映画を語る”楽しさを提供し、映画業界を新たな側面から盛り上げていくことをテーマにしている。
今回取り上げた『夜明け』は、地方の町で木工所を営む哲郎と、川で倒れていた見知らぬ少年の2人が徐々に親子のような絆を結んでいくが、過去のある事件をきっかけに2人の関係性が新たな展開を迎えていくヒューマンドラマ。数々の国際映画祭に引っ張りだこの話題作。 作品について、MC・森の的確な分析に広瀬監督が応える形でトークが展開され、作品の中で意識的に描いた部分とその真意や、意図せず生まれた表現の裏話などを、事細かに討論している。その中では、映画の核心にも触れており、広瀬監督が表現したかったことの1つとして、物語を通して人物の見え方が変わるという表現を挙げた。 広瀬監督:謎の危うい青年が普通の青年に、気の良いおっちゃんがだんだん怖いおじさんになったり。そういう見え方のクロスする部分をちょっと道具を使ったりとかでヒントを散りばめていった。 森さん:情報がちょっとずつ入っていって、こっち(観る側)も世界像の見え方が変化していっている。同時にこっち(登場人物自体)も変化している。それが、二重に生き物が動いている感じがあって、すごく面白かった。難しいことやってんなと思った。 と笑い混じりに話す。 また、物語の展開について、 森さん:ミステリーの匂いがするが、ミステリー的になるのも避けている感じがしますか。 と問い掛けると、
と編集の段階でサスペンスに見せる前提で構造を入れ替えたこともあったと明かした。しかし番組後半では映画の好みについて、 広瀬監督:ホラー嫌いなんですよ。 という掌返しでスタジオを笑わせた。 |
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番組内では、作品だけでなく広瀬自身の話も深掘りされており、監督デビューまでの道のりはもちろん、今後のビジョンをはじめ、是枝裕和さんと西川美和さんが立ち上げた分福に入るまでの経緯や、是枝さんとのエピソードも語られた。
広瀬監督:是枝監督の部屋って割とすごいんですよ。 と、自身が分福に入る際の面接で提出した作品のDVDが割れていたと語り、数々の名作を生み出している“師匠の部屋”の乱れを暴露。他にも、是枝さん、西川さんの現場での振る舞いなど、教え子目線ならではの貴重なエピソードを惜しみなく披露しています。
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「活弁シネマ倶楽部」は、 映画の制作陣がゲストに登場する貴重な番組であり、ネタバレの縛りもなく想いを吐き出せる場として制作側の支持が熱いそうだ。独自の目線で作品を選定し紹介しているため、まだまだ視聴者に知られていない作品やその内容について十分に語られていない作品にも出会えるチャンスかもしれない。WEB配信での特別番組だが、引き続き定期的に配信され、今後は生配信の可能性もあるとのことで、映画好きにとっては、必見の番組だ。 「活弁シネマ倶楽部」 |
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『夜明け』
公式HP: 是枝裕和、西川美和監督の愛弟子・広瀬奈々子 鮮烈のデビュー! その他人が、昨日を消してくれるはずだった。 地方の町で木工所を営む哲郎(小林薫)は、ある日川辺で倒れていた見知らぬ青年(柳楽優弥)を助ける。 「シンイチ」と名乗り、素性を語らない青年になぜか惹かれた哲郎は、彼を迎え入れ、職を与えて一緒に暮らし始める。この男は誰なのか?なぜこの町へ来たのか?何が目的なのか?周囲が疑いの目を向ける中、哲郎はシンイチをかばい、シンイチもまた哲郎を慕っていく。何かを埋め合うように、父と息子のような関係を築いていくふたり。 だがある夜の出来事をきっかけに、ふたりの人生は思わぬ方向へと走り出す。 |
出演:柳楽優弥
YOUNG DAIS 鈴木常吉 堀内敬子 芹川藍 高木美嘉
清水葉月 竹井亮介 飯田芳 岩崎う大(かもめんたる)
小林薫
監督・脚本:広瀬奈々子
製作:バンダイナムコアーツ、AOI Pro.、朝日新聞社
配給:マジックアワー
(C)2019「夜明け」製作委員会