第89回アカデミー賞、作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門受賞し、オスカーの栄光を手にした『ムーンライト』。
更にアカデミー賞の歴史の中でLGBTをテーマにした作品として初めて作品賞を受賞した作品となり、まさに「映画史の歴史を変えた作品」といえます。 本作では、主人公・シャロンの成長を描いていますが・・・ 少年期、青年期、成人期と3つの成長過程で3人の俳優が演じています。 これは、10歳の少年期から様々な段階を経て30歳前半までのシャロンの成長を、1人の俳優が年を重ねていかずに描くという、バリー・ジェンキンス監督の大胆な決断から始まり、監督はもちろん、キャスティング・ディレクターであるヤシ・ラミレスを初めとした多くのスタッフによって、“全く同じ目を持つ”3人の奇跡のキャスティングとなりました。 キャスティング・ディレクターは、ヤシ・ラミレス。バリー・ジェンキンス監督と同じマイアミ出身で・・・ キャスティング・ディレクターになる前、未成年の官選弁護人になる勉強をしており、問題を抱えた子供たちのために力を貸していた。キャスティングに関して、バリー・ジェンキンス監督は、非常に困難で時間がかかったことを明かし、「僕らは、同じフィーリング、同じ雰囲気、同じ要素をもつ俳優を探そうと思った。」と語った。映画において目は、“観客のための窓”と捉え、同じ雰囲気を感じさせる目をもつ3人を探したという。 |
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★少年期(リトル): アレックス・ヒバート 監督は、マイアミ中をくまなく歩いて、出演者募集のチラシを貼ったり、学校や近隣を歩いて周り、この重大な役柄を演じられる少年を探し歩いた。 最終的に2人はヒバートを見つけ、他のスタッフに見せるために彼を撮影した。 ラミレスは彼をオーディションで見た時、すぐにその幼い目に映る物静かな好奇心と脆弱性に強く惹かれた。誰もが彼こそがふさわしいと確信を持ったのだった。 ★青年期(シャロン): ラミレスは全国を回り、オーディション・テープや顔写真を見たり、インターネットで高校の演劇プログラムを終了した生徒のビデオクリップを探し回った。 最終的に、ラミレスが最初にロサンゼルスで行った数多くのキャスティング・オーディションで見つけたうちの1人だったアッシュトンは、それまでにサンダースはインディペンデント映画に出演したことがあり、静けさと不屈の精神を持ち合わせた第2章のシャロンの重要な役どころには打ってつけだった。 ★成人期(ブラック): ルイジアナ出身の陸上競技界のスターであるトレヴァンテ・ローズは、もともとは第3章の大人になったケヴィン役のために呼ばれていた。しかし、筋肉隆々で男っぽいローズが、街に精通した大人の化身である“ブラック”ことシャロンの役柄に、より適していることに誰もが気づいたのだった。ラミレスは「キャスティング・ディレクターとして、入ってきてすぐ強烈に“これだ”と思うことはあまりないことないのに、ローズは特別だったわ」「彼の男らしい風貌に加えて、彼は観客がキャラクターに対して何か感じる弱さを持ち合わせていたの」と絶賛した。 |
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◎3人の主人公に共通する瞳
3人のシャロンは継ぎ目なく3つの章でつながっているが、ヒバート、サンダース、ローズの3人は監督の指示で、撮影中会うことはなかった。「私たちがラッキーだったのは、それぞれのパートに最もふさわしい俳優を見つけられたことよ」とラミレスは語る。「3人には3つの違った時期を一貫して流れる、内なる脆弱性という共通の特徴もあったのよ。それぞれの俳優はそれを目で表現できて、あのキャラクターの人生の完璧な映画を作るのを助けてくれたわ」と、振り返った。 物語・・・ 『ムーンライト』 3月31日(金)、TOHOシネマズシャンテ他にて全国公開です。 |
監督・脚本:バリー・ジェンキンス
エグゼクティブプロデューサー:ブラッド・ピット
キャスト:トレバヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホーランド、ジャネール・モネイ、アッシュトン・サンダース、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ/朝日新聞社
配給:ファントム・フィルム
2016/アメリカ/111分/シネマスコープ/5.1ch/R15+
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