ロウ・イエ監督作品『ブラインド・マッサージ』が、2017年1月14日(土)より、アップリンク渋谷、新宿K’s cinema ほかにて公開となりました!本作は、台湾のアカデミー賞、金馬奨で作品賞を含む6冠を受賞。ベルリン国際映画祭でも銀熊賞受賞し、世界中の映画祭が絶賛しています。 そして、その公開初日ミュージシャンの曽我部恵一さんが登壇してのイベントが行われました。曽我部さんは「ロウ・イエ監督の大傑作!美しさと愛を見つけるための盲目の物語。心から血が出るほど、痛い」と賞賛の言葉を寄せたほどロウ・イエ好き。楽曲制作でも影響を受けるほど敬愛してやまないというロウ・イエ作品の魅力について熱く語りました。 日時: 2017年1月14日(土) |
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曽我部さん:最初に『ブラインド・マッサージ』を観たときは朝の四時半くらいで、画面に向かって泣きましたね。雨の中、マッサージ院の窓の外にあるネオンサインや風景が滲んで流れていく静かで美しいシーンが印象的でした。ずっとロウ・イエ作品は観ていますが、なかでも今作は最高傑作と言っても過言ではないほどの大傑作だと思います。
と熱くスタート。その特有の世界観について 曽我部さん:ただ、いつも作品を観たあとはすぐに言葉が出てこなくて、時間をかけて感情を咀嚼していくようなところがある。でも、それは作品自体が具体的なものを求めていないから。言葉や形にならないものをどうにか掴もうとしているような映画だし、だから観たひとも同じように形にならないものを掴むのに、感情を整理する時間が必要なのかもしれませんね。 と指摘。 |
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また、ミュージシャンであることから音楽にも言及。
曽我部さん:今回もそうなのですが、いつも音楽が素晴らしいです。決してポピュラーなアーティストの曲を使っているわけではないのですが、作品に合った音楽を見つけてくるのが上手いんでしょうね。でも、映画の最後に詞のある曲が流れるのはいいなと思う反面、難しいこと。たとえば、すごくいい映画の最後に作品とはまったく関係のないポップ・ソングが流れたりすることがありますが、ロウ・イエ作品で流れている曲には『ここはこの曲じゃなくちゃいけないよな』と思えるような必然性があって嬉しくなります。 と監督の音楽のセンスにも惚れ込んでいる様子。 最後に自分の音楽活動とロウ・イエ監督の映画づくりの共通点について 曾我部さん:愛について描こうと思わなくても、結果的に愛がテーマになってしまう。なぜなら、みんなが共通して何かを欲しがっている――たとえば、心の安らぎやあたたかさ、必要なものや欠落しているものを探して生きていて、それを表現しようとすると『愛』という言葉になってしまう。そういう意味では、どんな歌もラブ・ソングだし、どんな映画もラブ・ソング。ロウ・イエ監督も映画を通じて“見えない何か”を掴まえようとしていると思うし、自分も音楽を通じて“見えない何か”に触れられたらいいなと思います。 と実感を込めて自身の感慨一入のご様子でした。 |
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己の“美”に嫌気がさした女、“美”に執着する男、欲望の中で己を失う男―― 盲人マッサージ院で巻き起こる人間模様を苛烈に描き、観る者の価値基準を大きく揺さぶる衝撃作。 『ブラインド・マッサージ』 現在アップリンク渋谷、新宿K’s cinema ほかにて公開中! 物語・・・ |
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曽我部恵一(そかべ・けいいち)プロフィール
1971年8月26日生まれ。香川県出身。 |
監督:ロウ・イエ
脚本:マー・インリー
撮影:ツォン・ジエン
原作:ビー・フェイユイ著『ブラインド・マッサージ』(飯塚容訳/白水社刊)
編集:コン・ジンレイ、ジュー・リン
出演:ホアン・シュエン、チン・ハオ、グオ・シャオトン、メイ・ティンほか
配給・宣伝:アップリンク
2014年/中国、フランス/115分/中国語/カラー/1:1.85/DCP/日本語字幕:樋口裕子