映画情報どっとこむ ralph 「初期クローネンバーグを思わせる!」「ルイス・キャロル、グリム兄弟、アンデルセンの死体を掘り起こした」等、大きな反響を巻き起こした『エヴォリューション』が2016年11月の公開に先駆け、昨日27日(月)まで行われていた「フランス映画祭2016」にてジャパンプレミアがあり、あわせて監督のルシール・アザリロヴィックも来日し、上映後に舞台挨拶が行われました。
フランス映画祭_ルシール監督

日付:2016年6月27日
会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1)
登壇:ルシール・アザリロヴィック監督

映画情報どっとこむ ralph ルシール・アザリロヴィック監督は、2004年に公開され、カルト的な人気を博したガールズムービーの金字塔『エコール』の監督。

今回のフランス映画祭2016のために10年ぶりの来日。

美しくも妖しい少女の世界を描いた前作とかわり、外界から隔絶された孤島で生きる少年の不安定な心理を圧倒的な映像美で描いた今作は、2015年サン・セバスチャン国際映画祭やトロント国際映画祭で上映されるや大きな反響を巻き起こし、待望の日本上映となりました。

映画情報どっとこむ ralph エヴォリューション

上映後、ルシール・アザリロヴィック監督が作中に登場する赤いヒトデをモチーフにしたブローチを胸に登場し、舞台挨拶。

今作について、

ルシール監督:『エコール』よりも前から構想はあったので、ずいぶんと長いあいだ企画をあたためていた。一番最初にあったイメージは病院と少年、そして少年と母親の関係性を描くことです。『エヴォリューション』があったからこそ『エコール』があったとも言えます。また、デジタルで撮影した映画ですが、テクスチャー(触覚)にこだわり、あまり鮮明には撮りたくなかった。衣装なども”性的”ではない官能性を意識している。

と語った。客席からのこの作品が直接影響を受けている作品は?

という質問に対しては、

ルシール監督:とくに直接影響を受けた映画はないが、太陽が燦々と照っている田舎の村で怖いことが起こるという話は『ザ・チャイルド』(1976年に制作されたスペインのホラー映画)、あとはデヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』の影響はあるかもしれません。また、『エヴォリューション』は言葉の映画というよりはシュルレアリスティックな無意識を描いているので、ヤン・シュヴァンクマイエルの影響なども挙げられるかもしれません。

と答えた。また、「理屈ではなく、感じる映画だと思いました」という感想を受けて、

ルシール監督:たしかにそのとおりです。もし理屈があるとすれば、それはあくまで抽象的な意味であって、”夢”の理屈で構築されている作品です。私はこの映画が、感覚的、有機的、精神的な映画であって欲しい。

と発言。

エヴォリューション1

最後、「これまでのルシール監督の作品(『ミミ』や『エコール』)が一貫して子供の視線から描かれている理由は?」という質問に対しては、

ルシール監督:10歳から15歳くらいの子供は感受性が発達していて創造力が豊かです。まだ大人に従わなければならない時期だけれども、何か内に秘めた強い感情を持っている。わたしはそういう子供の気持ちというのを表現したかったのです。

と答えたルシール監督は、チャーミングな笑顔で一礼すると大きな拍手。

映画情報どっとこむ ralph 映画『エヴォリューション』

2016年11月 渋谷アップリンク、新宿シネマカリテほか全国順次公開

『エコール』の監督が贈る、最も美しい“悪夢”。

エヴォリューション_ティーザー_s少年と女性しかいない、人里離れた島に母親と暮らす10歳の二コラ。その島ではすべての少年が奇妙な医療行為の対象となっている。「なにかがおかしい」と異変に気付き始めた二コラは、夜半に出かける母親の後をつける。そこで母親がほかの女性たちと海辺でする「ある行為」を目撃し、秘密を探ろうとしたのが悪夢の始まりだった。“エヴォリューション(進化)”とは何なのか…?

ギャスパー・ノエの公私にわたるパートナーであり、森で暮らす少女たちを描いた『エコール』のルシール・アザリロヴィック監督が贈る、最も美しい“悪夢”。
映画祭で上映されるや否や「初期クローネンバーグを思わせる!」「ルイス・キャロル、グリム兄弟、アンデルセンの死体を掘り起こした」等大きな反響を巻き起こした。

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監督:ルシール・アザリロヴィック
出演:マックス・ブラバン、ロクサーヌ・デュラン、ジュリー=マリー・パルマンティエ ほか

2015年/フランス、スペイン、ベルギー/フランス語/81分/DCP/2.35/5.1ch
配給:アップリンク

2015年 トロント国際映画祭 正式出品
2015年 サン・セバスチャン国際映画祭 審査員特別賞・最優秀撮影賞受賞
2015年 ストックホルム国際映画祭 最優秀撮影賞
2015年 ナント・ユートピア国際SF映画祭 最優秀撮影賞

© LES FILMS DU WORSO • NOODLES PRODUCTION • VOLCANO FILMS • EVO FILMS A.I.E. • SCOPE PICTURES • LEFT FIELD VENTURES / DEPOT LEGAL 2015

監督曰く、デヴィッド・リンチ『イレイザーヘッド』の影響も!?”夢”の理屈で構成された作品

フランス映画祭2016 映画『エヴォリューション』舞台挨拶

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