映画情報どっとこむ TJ ハート・ロッカーのキャスリン・ビグローが製作総指揮。

マシュー・ハイネマン監督・撮影のドキュメンタリー『カルテル・ランド』が5月7日から公開となります。

メキシコ麻薬戦争の最前線で自ら麻薬カルテルに立ち向かう自警団の姿を追い、正義と悪の境界が消滅していくさまを映した衝撃作で、本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされています。

先日、『ゆきゆきて、神軍』の原一男監督のトークイベント付き上映会の際に、記者の私も試写させていただきました。

カルテルランド_ポスターその内容は・・・

あまりに衝撃的で、あまりに良く出来過ぎていて、本当にこれはドキュメンタリー映画なのか!?と思うほど。

まるで、キャスリン・ビグローの映画のような緊迫感とストーリー。

ドキュメンタリーでも、編集でこんなになるのかと。

カメラもキャノンのC300ですし、多くの映画製作を志す学生さんに観ていただきたい作品でした。

ということで、どのように創られたのか気になったので、宣伝担当の方に無理を言って、ハイネマン監督のインタビューをいただきましたので、ご紹介したいと思います。

映画情報どっとこむ TJ ハイネマン監督へのインタビューです。

Q:映画をスタートさせるのにどれくらいかかりましたか?
カルテル・ランド
ハイネマン監督:まずタボールに連絡をして記事の中の主要キャラクターであるアメリカ国境の自警団員「ネイラー」を紹介してもらった。でもネイラーはメディアに対して慎重で、彼の信頼を獲得するのに何ヶ月もかかったよ。2013年の6月。アリゾナで撮影を始め、4ヶ月間の間に、2、3回アリゾナへ。最初は物語をアメリカ国外にまで広げようとはまったく思っていなかったけど、父がウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された「Autodefensas」の記事を送ってきてくれたんだ。「Autodefensas」は、メキシコのミチョアカン州を長く支配している麻薬カルテル、テンプル騎士団の暴力に対抗しようと立ち上がった市民たちだ。リサーチを進めると、「El Doctor」として知られ、「Autodefensa」ムーブメントのカリスマ的リーダーである町医者ドクター・ホセ・ミレレスについてのワシントン・ポストの記事にたどり着いた。
ネイラーとその仲間たちの信頼をえるまでの数ヶ月の間に、私はミレレスとAutodefensasを撮影しに、2週間メキシコを訪れた。いったんドクターの信頼を得るとは、その他の自警団員たちも全面的に協力してくれた。しかし、撮影対象と親密な関係を築き、この映画の語り口を実現できた理由は、9ヶ月を要した(各月に1、2週間の撮影)撮影期間のお陰だったと思う。私は戦争レポーターではなく、これまでに危険な状況での撮影を経験したこともない。でも、「カルテル・ランド」の制作過程において、自警団とカルテルの銃撃戦やメスラボ、拷問部屋など想像もしなかった場所で撮影をすることになりました。

Q:撮影チームの安全を守るためにどんな手順を取りましたか?

ハイネマン監督:過去に危険な状況での撮影経験がなかったので、メキシコへ行くまえにジャーナリストや映画監督たちと話をして、この地域に詳しい、素晴らしいローカルスタッフを紹介してもらいました。また、防弾チョッキを着て、可能なかぎり事前にセキュリティ上の注意事項を学びました。しかし結局のところ、事前に計画できるのは大きなところだけで、ほとんどの状況では現場での判断に委ねられます。「カルテル・ランド」では危険な場所にたくさん行きました。

ミチョアカンのストリートでは銃撃戦に巻き込まれ、ブレイキング・バッドのような、暗い砂漠の夜のメスラボなどです。最低限のスタッフだけを同行させ、目標は、絶えず変化するこの物語をリアルタイムで捉え、カメラも外から観察するだけでなく一緒に行動するということでした。ワイルドな冒険であり、非常に骨の折れる作品でした。最終的に完成した映画は、想像していたのとはまったく違うものでした。
カルテルランドS1

映画情報どっとこむ TJ Q:各国の映画への反応の違いはいかがでしたか?

ハイネマン監督:世界中の人々の反応にとても恐れ多く思いますし、感動しています。メキシコではニュースの見出しになるトピックですが、毎日見聞きし、あるいは映画やテレビで美化される暴力と腐敗について、核心のイメージを提供することで感情の揺さぶりを引き起こしたようです。コロンビアでは、カルテルと自警団の歴史があり、この映画は深く共鳴しました。アメリカでは、多くの反応を呼び起こしましたが、全く想像していないものもありました。多くの上映に、麻薬中毒者が現れ、泣きながら私に、これまで家族から何年も止められてきたが、なぜか自分の行いが暴力につながっているのを観ることは、とても深く、心の痛む経験だった、と言ってきたのです。

Q:映画制作について、今までもらった最高のアドバイスは?

ハイネマン監督:アルバート・メイスルズがかつてこう言いました。「当初計画した通りに物語が終わったとしたら、そこに至る道のりで人に耳を貸さなかったということだ。」これは人生にとっても、映画作りにとってもいいアドバイスだと思いますし、『カルテル・ランド』の製作中にほとんど毎日考えていたことです。

映画情報どっとこむ TJ Q:『カルテル・ランド』の撮影に使用した機材は?

ハイネマン監督:主にキャノンのC300で撮影しました。カメラを落としたりぶつけたり、銃弾を受けたり、砂嵐にまみれたり、土砂降りの雨に打たれたりしましたが、壊れませんでした。我々が置かれていた状況を考えると、小さい機材を使うしかありませんでした。本体とレンズ、Shoep社のガンマイクCMIT5、そしてDeity社のビューファインダーMira(明るい太陽光下での撮影ではマストでした)です。ドキュメンタリーにおいて、サウンドがいかに大事であるかを考えると、Schoepはキーになる機材でした。このおかげで最小で迅速な(録音マンなしで)、それでいてとても良い録音ができたのです。このマイクだけで大きな人混みでのシーンに対処できたことに本当に驚かされました。

Q:この映画を通じて伝えたいメッセージは?

ハイネマン監督:特にメキシコの麻薬戦争に関する報道はたくさんあります。新聞を開けば死体の写真が載っています。たくさんの暴力がTV番組や映画で美化されています。私の目標は、この問題をこういった見出しやポップカルチャーの枠組みから取り出し、リアルな人間の顔を付け足して、実際に起こっていること、どれだけの人々が現実に麻薬の暴力の影響を受け、それに対抗しようと立ち上がっているかを描き、市民が法を自分の手の中に入れた時何が起こるかを描くことです。

カルテルランド

映画情報どっとこむ TJ その衝撃の完成度にやられろ。

カルテル・ランド

シアター・イメージフォーラム他5/7(土)、緊迫の最前線に潜入せよ!

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監督・撮影:マシュー・ハイネマン
製作総指揮:キャスリン・ビグロー
『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』

2015/メキシコ・アメリカ/100分
原題:CARTEL LAND
配給:トランスフォーマー
© 2015 A&E Television Networks, LLC


   

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