映画情報どっとこむ TJ 今週末4月23日(土)より岩波ホールにて公開される『緑はよみがえる』。

本作は、撮影当時83歳だったイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督が、父から伝えられた戦争の傷跡を若い世代へと伝えるために完成させた特別な映画です。

日本公開を前に、国際基督教大学平和研究所の本年度の第一回目のイベントとして、戦争の記憶を語る上映前トークと、上映後の学生意見交換会を行いました。

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日付:4月20日(水)
場所:国際基督教大学平和研究所
登壇:高橋文雄

映画情報どっとこむ TJ 今夏の「18歳選挙権」の施行、学生による緊急アクション「SEALDs」の活動への注目を踏まえ、<若い世代へ戦争を語り継ぐ>をテーマに開催された本イベントには、国際基督教大学の学生の他にも、他校の学生やSHIELDsのメンバーなどが参加。

上映前には、戦争の語り継ぎを行っている高橋文雄さんが登壇。

オルミ監督とほぼ同世代、1933年生まれで、少年ながらに、開戦から敗戦までの記憶は今もハッキリしているという高橋さんは、野坂昭如の『火垂るの墓』で有名な神戸生まれ。終戦の数カ月前に瀬戸内海の小島に祖母と姉と疎開、広島に原爆が落とされたことを知った祖母が、親戚を探しに広島へ行ったものの、誰もみつけることができず、戻ってから漏らした「まるで屠殺場のようだった」というたった一言を今でも強烈に覚えていると語り、「屠殺場」という言葉に参加者の学生たちもショックを受けていた。あまりにも辛い光景を見て、その後は二度と戦争を語らなかった祖母の記憶と、自分自身が戦場には行ったわけではないという理由から、昨年地元FM局に出演するまで、戦争のことをほとんど語ってこなかった高橋さんだが、安保改正法案の採決以来、安保法改正などにより日本が再び戦争への道を進むのではないかという懸念から、後世に戦争の記憶を語り継ぐことの大切さを認識したという。会場に集まった学生たちも「何も知らされないまま」若者が戦争に巻き込まれることを懸念する高椅さんの言葉に真剣に耳を傾けた。

映画情報どっとこむ TJ 緑はよみがえる
上映後には、学生たちとの意見交換会が活発に行われた。敵の姿を見せないのは何故か?という質問からはじまり、映画を観て何かを考えなければと思うものの今は砲撃のシーンが怖かったとしかいえないという率直な感想や、輝く木や動物が登場するシーンの意味、タイトルに込められた意味などをディスカッション。積極的な発言が続き、イベント終了後にも感想を語り合う学生の姿が多くみられた。

本国イタリアでは、第一次世界大戦開戦100週年にあたる2014年に公開され、高校生や大学生など多くの若者が観たという『緑はよみがえる』。名匠オルミが、現代にあらためて平和を問いかけ、戦争の記憶が薄れゆく中で、今こそ語り継いでいかなくてはならないと強く訴えかけたメッセージが、確実に日本の若い世代にも伝わったことを感じさせるイベントとなった。

映画情報どっとこむ TJ 映画『緑はよみがえる』 

緑はよみがえるポスター春がかならずめぐりくるように 人の世界もいつか美しくよみがえるのだろうか。
映画史に燦然と輝く名作『木靴の樹』エルマンノ・オルミ監督が、父から託された戦争の記憶を雪のイタリア山中に映し出しながら、いのちの尊さ、人間性の豊かさと、それを壊す戦争の愚かさを、観るものの心に静かに訴えかける。

舞台は第一次世界大戦中のイタリア・アルプス。イタリア軍兵士たちは雪山の塹壕に身をひそめていた。彼らの唯一の楽しみは、家族や恋人から送られてくる手紙のみ。

そんな時、まだ少年の面影を残す若い中尉がやってきた・・・。
          
4月23日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー!

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監督:エルマンノ・オルミ 
出演:クラウディオ・サンタマリア、アレッサンドロ・スペルドゥーティほか 
2014年/イタリア/76 分/1:1.85/5.1ch/DCP 原題 torneranno i prati 
後援:イタリア大使館 特別協力:イタリア文化会館
提供:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ/シネマクガフィン/朝日新聞社
配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ
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