2013年ロッテムダム国際映画祭観客賞を受賞。
同年モスクワ国際映画祭でも最優秀観客賞や批評家賞、2014年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭のコンペティション長編部門・最優秀作品賞に輝くなど、世界各国の映画祭で大絶賛された『孤独のススメ』が4月9日(土)に公開初日を迎え、新宿シネマカリテにて初日トークイベントを実施がおこなわれました。

「よりシンプルに自分らしく生きるヒント」が詰まった本作にちなみ、イベントにはミニマリストの佐々木典士さん、土橋正さんが登壇。ライフスタイルから人間関係のミニマル化まで話題の絶えないトークイベントとなりました。
『孤独のススメ』初日

映画「孤独のススメ」初日トークイベント
日時:2016年4月9日(土)
場所:新宿シネマカリテ

登壇:
・佐々木典士(ささき ふみお)編集者/中道ミニマリスト 学研『BOMB』編集部、INFASパブリケーションズ『STUDIO VOICE』編集部を経て、現在はワニブックス所属。
・土橋正(つちはし ただし)ステーショナリーディレクター/文具コンサルタント 文具の展示会「ISOT」の事務局を経て、土橋正事務所を設立。

この日、映画「孤独のススメ」初日トークイベントに登壇したのは、「僕たちに、もうモノは必要ない。」著者でミニマリストの佐々木典士と、「モノが少ないと、快適に働ける。」著者でステーショナリー ディレクターの土橋正。ともに数々のメディア出演やイベントに立ってきた二人だが、顔を合わせるのはこの日が初めて。

映画の感想を

佐々木さん:地味な映画をイメージしていたのですが、想像の5倍くらい面白くて…(笑)。自分がモノを減らしていって感じた解放感と主人公が自分らしさを取り戻す過程に通じるものがあって、ストーリーも手に汗握る展開と感動があって良い意味で裏切られました。

土橋さん:少し昔の日本映画のような余白が心地よく感じました。本当に自分のやりたいことは自分の心に問いかけるしかなくて、そのためにはしがらみや多すぎるモノといったノイズを減らすことで、自分の心の声が聞こえてくることを再認識できました。

極端にモノを減らした生活を送るミニマリストを志したきっかけについて、海外などでバックパックひとつで旅するように仕事をしている人のことを知り、その自由さや身軽さに憧れてモノを減らし始めたという佐々木さん。なんと、かつては掃除が苦手だったという過去も明かしながら、

佐々木さん:映画でもフレッドがしがらみから解放されてどんどん自由になっていきますが、まさにああいう感じで、不思議とやったことのないことや苦手だったことに積極的に取り組めるようになりました。常識から少し離れて自分の想うように動いてもいいかな、という心持ちになりました。

土橋さんは仕事柄、かつては文房具に囲まれて仕事をしていたそうで、

土橋さん:好きなものに囲まれて仕事をできるのは幸せだったのですが、あれもこれも使わなきゃと圧迫感を感じるようになってしまって。そこで一度仕事場をレンタルオフィスに移してみるたことで集中力が上がり、仕事場のミニマル化を追求するようになったんです。

と転機を語った。

ミニマリストまでいかずとも、シンプルで洗練された生活空間にあこがれる人たちは数多い。そんな「シンプルライフ初心者」へ明日から使える片付け術として、

佐々木さん:カバンの中とか玄関の一角、冷蔵庫の調味料など、一つのところから始めると他の所に波及していく気がします。最初は一極集中で簡単なところから始めて上手になっていけばいい。

とアドバイス。

土橋さん:自分が一日の内一番長くいる場所を掃除すること。

を提案。

つづいて話題は「モノ」から「人間関係」の整理整頓術へ及び、FacebookなどのSNSによる繋がりが良しとされる一方、特定の意見に同調し、尖った意見が言いづらくなっている現状に対し、二人はどんな心がけを行っているのだろうか。ミニマリズムを通して“適量”という肌感覚が身についている佐々木さん。

佐々木さん:人間関係もモノと同じで、増えるほどひとりひとりに使う時間も減ってしまう。少なくても深く付き合ったり、量よりも多様性に重きを置いて、自分に新たな刺激を与えてくれる人との交流を大事にしています。

土橋さん:そもそも自分の付き合える時間やパワーには制限があるから、その中でどう割り振るかを考えますね。また、お誘いを受けたら、直感で面白そうかどうか判断し、あらかじめ“休もう”と決めている時には予定を入れないようにしている」と独自の時間確保術を披露。モノから受ける影響を知り尽くした二人ならではの、ぶれない「人間関係のススメ」に、会場へ足を運んだ観客も注意深く聞き入っていた。

さらに、気になる二人のカバンの中身についても話題に上り、佐々木さんは満員電車でもぶつからない薄手のリュックを愛用中。

佐々木さん:部屋が片付いていると持ち物も必然的に片付きます。カバンが軽いと、一駅歩こうという気持ちにもなれますし。

と語ると、

土橋さん:カバンを小さくすると必然的にモノが減りますよね。

と反応し、カバンの中身をすべて把握できるほど減らしておくことで忘れ物もなくなった、と納得の一言。

最後に、愛着の持てるモノの選び方の極意を方経ってくれた

土橋さん:①ロングセラーであること、②専門メーカーが作ったものであることを挙げ、同じスケッチブックでも、留め具のリングの色があるだけでノイズに感じたり、逆に描いていると存在感がきえてしまうような『無』の状態になれるペンがあったり…

と、文房具の世界の奥深さを語った。また、モノを減らすことは自分と向き合うこと、と語った

佐々木さん:気に入っているモノ自体も減らすことになるので、その中で残ったモノが、今自分が興味のあることや自分の好みを教えてくれるんです。「減らすことが正義」と声高に言うつもりは全然なくて。少し行き詰っているな、と感じている人は簡単なところから、ゆるく始めてもらえれば。

と背中を押した。

本作同様、自分らしくシンプルに生きる考え方のヒントが詰まった、充実のトークイベントは幕を閉じた。

孤独のススメ

原題:Matterhorn

4月9日(土)、新宿シネマカリテほか全国順次公開中です。

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『孤独のススメ』3物語・・・
妻に先立たれ、一人静かに暮らす初老の男フレッド。信仰篤いオランダの田舎町で、毎週日曜日の礼拝以外は周囲との付き合いを避けて、ひっそりと生活をしていたある日、突然言葉も過去も持たない男テオが現れ、なぜかフレッドの家に居ついてしまう。やむなく始まった奇妙な共同生活だったが、そこに奇妙な友情が芽生え、次第にルールに縛られたフレッドの日常が鮮やかに色づいていくのだったが、保守的な田舎町に住む近隣は、彼らのことを問題視し、村から追い出そうとして・・・。

監督・脚本:ディーデリク・エビンゲ  
出演:トン・カス、ルネ・ファント・ホフ、ポーギー・フランセ、アリアネ・スフルーター

2013年/オランダ/86分/カラー/シネスコ
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム 
© 2013, The Netherlands. Column Film B.V. All rights reserved.
  

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