現在開催中のアニメーション・フェスティバル<GEORAMA2016>(ジオラマ2016)にあわせて、アメリカのインディペンデント・シーンで熱狂的な人気を博すアニメーション作家、ドン・ハーツフェルトが初来日し、イベント「ドン・ハーツフェルトの夕べ」が開催されました。 「ドン・ハーツフェルトの夕べ」 |
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GEORAMA2016 大盛況にて最高のオープニングスタート!
アカデミー賞ノミネートのドン・ハーツフェルト初来日! チケット全席完売となったGEORAMA2016オープニング特別企画「ドン・ハーツフェルトの夕べ」は、氏の代表作である『きっとすべて大丈夫』三部作のデジタル・リマスター版初上映、そして第88回米アカデミー賞の短編アニメーション部門ノミネート中の最新作『明日の世界』の東京解禁というメモリアルかつ贅沢なプログラム。 そして初来日となったドン・ハーツフェルト監督との約1時間に渡るQ&Aセッションが行われました。 Q&Aセッションでは、いきなり会場のあちこちから多くの手が上がり、限られた時間の中でも一つ一つの質問に丁寧に、そして時にユーモアを交えながら回答していくハーツフェルト監督の丁寧かつ真摯な姿勢、そして紡がれる言葉のひとつひとつに、会場から感嘆の声が漏れていました。 まず話題の中心になったのが、『明日の世界』に登場する天真爛漫な女の子、エミリー。実際に監督の4歳の姪っ子が声の出演をしているのですが、意図した通りのセリフはまったく話してくれなかったそうで……。そこで監督は、実際に姪っ子と遊ぶ中でこっそりとテープを回し、集めた膨大な音声の中から、使えるものを抜き出し、それをベースに脚本を書いていったという驚きの手法が明かされました。 |
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また、『明日の世界』は、ハーツフェルトのこれまでの代名詞だった鉛筆画のフィルム撮影から初めてデジタル制作へと移行した作品となりましたが、そのことについてハーツフェルトは、慣れないテクニックを使ったという意味で、「外国語で絵本を描くような」気持ちで挑んだと例えていました。「初心者」であるがゆえに、あえて「やってはいけない」ようなデジタル・ソフトの使い方にも挑戦。フィルム撮影のタブーを踏み越えながら誰も見たことがないような映像を作り上げた『きっとすべて大丈夫』三部作と、ほとんど同じような気持ちで挑んだことを明かしました。
自身のシンプルな棒線画についても質問が飛び出しました。写実的な絵を使わない理由については、「もともと映画学校に通っていたため、絵の勉強はしたことがない」ためだというハーツフェルト監督。しかしそれは「出来ないことを知ることは、とてもよいこと」で、また「シンプルで、観客に想像の余地を残す」ものを作りたいという監督の想いにも、この棒線画は見事に寄り添っています。複雑で写実的なグラフィックよりも、より自分のスタイルに合っている……また自分に出来る範囲で作品を考えていくことの大事さ、重要さを熱く説いていました。 |
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トークセッション後は、ハーツフェルト監督のサイン会も実施。会場限定販売となった『明日の世界』シングル・ブルーレイを片手に、会場下の階段まで長蛇の列が完成。並んだお客様は何と100人以上!!お一人お一人にお声かけしながら気さくに話しかけるハーツフェルト監督に、皆さま魅了されていたようでした。
なお、ドン・ハーツフェルト監督は、2月5日の座・高円寺での「ハウ・ユー・ゲット・ゼア」(19時頃から)にも登壇。こちらは何と、『おねがいなにかいって』、『アドベンチャー・タイム』ゲスト監督、『her/世界でひとつの彼女』CGシーンで知られるデイヴィッド・オライリーとの対談! デジタルリマスター版の初期作品もたっぷりと上映しますので、ぜひこちらもお越し下さい。残り僅かですが、『明日の世界』シングル・ブルーレイも販売予定です! 「明日の世界 ドン・ハーツフェルト作品集」 5月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー決定! GEORAMA2016 公式サイト:http://newdeer.net/georama/ |
監督:ドン・ハーツフェルト
原題:World of Tomorrow / 2015 / アメリカ / 16分
配給:ニューディアー
©Bitter Films