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監督:ホアン・ジーx大塚竜治

 
“中華圏のアカデミー賞”と称される第60回台北金馬獎(2023年11月開催)で日本資本映画と初の《最優秀作品賞》を受賞、《最優秀編集賞》との2冠に輝いた映画『石門(せきもん)』(2022)が絶賛上映中です。
石門
金馬獎≪最優秀作品賞≫受賞作『石門』が待望の日本公開を迎えて大きな反響を巻き起こしている。
“女性と性”に真摯に向き合う『石門』に続いて『卵と石』『フーリッシュ・バード』の日本初公開も決定した
 
ホアン・ジーと大塚竜治の両監督は、“女性と性”をテーマに、『卵と石』、『フーリッシュ・バード』、『石門』へと、独自のアプローチで映画を作り続けてきた。共同監督の最新作『石門』は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリン(ヤオ・ホングイ)を主人公に、現代を生きる多くの女性が直面する、簡単には超えることができない壁を描く作品だ。
 
いち早く作品を鑑賞した観客からは、「永遠にも感じる余白が余韻に変わる。女にしか解らない痛みと苦しみが自分の周りをぐるぐると廻ってる」「つらい出産がリアルによみがえってきてしまい泣いてしまった」など、妊娠をきっかけにさまざまな壁に直面するリンに共感する声が続出。「若い女性の視点から”生殖”が価値化される生々しさを冷徹な筆致で描き出す」「限りなくドキュメンタリーに近いリサーチや素材集め」など、入念なリサーチの上で主演のヤオ・ホングイの素の姿も取り入れ、今を生きる女性を映した主人公像を作り上げた両監督に対する高評価の声も。また、「渾身の演技に魅了される」「全員が自然な演技で素晴らしかった」など、独自の空気感で主人公を演じたヤオ・ホングイへのコメントも。そして、「女性の権利は勿論、現代中国の抱える問題が散りばめられていて相当に重い鑑賞後感」「現代中国の闇の深さと人間がいかに私利私欲の塊かを考えさせられる映画だった」など中国の今をリアルに感じながら、国を問わず現代女性が直面する普遍的な問題に思いを寄せる声も数多く投稿されている。
 
 

本編映像解禁


今回、絶賛上映の『石門』から本編映像が解禁となった。フライアテンダントを目指しているリンは、大学に通いながら英会話の勉強もしている。だが、多額の賠償金を要求されている母のために、寸暇を惜しんで仕事をしている。今回解禁された映像は、卵子を売ることを決意したリンが卵子提供ドナーの検査結果を聞かされる場面だ。リンは仲介人から呼び出しを受けて面接会場を訪れる。隣室では面接が行われており、依頼人が3人のドナーの学力を測るために数学の問題を出している。この国では優良な遺伝子を持つ卵子が求められているからだ。
リンを別室に呼び出した仲介人は、「あなたは妊娠1ヶ月よ。今決めたほうがいいわ。体のことを思えば早いうちがいい。負担が少ないから」と告げる。予期せぬ妊娠の知らせに黙しているリンは、「中絶から1カ月もたてばまたドナーに志願できるわ。困ったことがあればいつでも電話して。私たちにはいろいろコネがあるの。腕のいい婦人科医を紹介できる」という声にも頷くだけだ。そこに面接を終えた依頼人が現れ、「彼女もドナーなの?」と興味を示す。“シャオユー”という偽名で呼ばれたリンの容姿、年齢や客室業務を学んでいることを見定めた依頼人に、仲介人は「まだ排卵周期が不安定なので整えている最中です」と性急な判断はできないと告げる。帰りがけの依頼人は、「知っていると思うけど私の弟夫妻は海外に住んでいたから高い知能と優秀なDNAを求めている。容姿の良さだけじゃダメ。次の面接を手配してね」と、良い女性が見つかったらすぐに連絡してくれと念を押すのだった。
 

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監督紹介

 

ホアン・ジーProfile

1984年、中国湖南省生まれ。
北京電影学院(2003-2007)の文学科で脚本を学ぶ。大学時代、生まれ故郷である湖南省で撮影したドキュメンタリー『Underground』で監督デビュー。2010年に、短編『The Warmth of Orange Peel』の 脚本・監督を務め、ベルリン国際映画祭に出品する。 2012年、初長編『卵と石』でロッテルダム国際映画祭でグランプリにあたるタイガー・アワードを受賞し、2013年、アンドレイ・タルコフスキー国際映画祭グランプリを受賞した。
2017年、大塚竜治と共同監督した長編第 2 作『フーリッシュ・バード』が、ベルリン国際映画祭でジェネレーション14+部門で、国際審査員のスペシャルメンション(準グランプリ)を獲得した。2022年の最新長編第3作『石門』はベネチア国際映画祭ベニス・デイズ部門でワールドプレミアを行った。 近年では、 若手の映像作家を育成のためにワークショップの開設や、脚本指導などを行なっており、2023年の山形ドキュメンタリー道場5にメンターとして参加した。
 
 

大塚竜治Profile

1972年、東京生まれ。日本のテレビ番組でドキュメンタリー制作に従事した後、2005年に中国に移住。
社会問題をテーマにしたインディペンデント映画を制作する。ホアン・ジー監督の全作品、リウ・ジエ監督『再生の朝に-ある裁判官の選択-』(2009)、イン・リャン監督『自由行(A Family Tour)』(2018)、ガオ・ミン監督『回南天(Damp Season)』などの撮影監督も務めた。 2013年、ホアン・ジーと共同監督したドキュメンタリー作品『Trace』が香港国際映画祭でプレミア上映された。翌年には、初の単独監督作品『Beijing Ants』(2014)が Hot Docsで発表される。2015年、ベルリン国際映画祭(Berlinale Talents)に参加し、2017年の『フーリッシュ・バード』と2022年の『石門』を共同監督とプロデュースした。アジア各国からスタッフを集め、国境を超えた映画づくりを目指している。 2023年の山形ドキュメンタリー道場5にメンターとして参加した。
 

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『石門』

原題:石門
英題: Stonewalling
 
新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか絶賛上映中
 
『卵と石』『フーリッシュ・バード』
4月4日(金)よりアップリンク吉祥寺で公開。
 
公式HP:
https://stonewalling.jp/
 
公式X:
@usaginoie_film
 
 
あらすじ
2019年、中国湖南省の長沙市。単発の仕事で日々お金を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしている20歳のリン。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠一ヶ月であることを知る。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりにこの子供を提供することを思いつくのだが…。
 

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監督:ホアン・ジー 大塚竜治
出演:ヤオ・ホングイ リウ・ロン シャオ・ズーロン ホアン・シャオション リウ・ガン 
2022/日本/中国語/2時間28分/DCP
原題:石門
英題: Stonewalling
配給:ラビットハウス
©YGP-FILM 
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