実写三部作の大ファンを公言する神山健治監督は本作の話が舞い込んだ時、原作者のJ・R・R・トールキンが作り上げた世界観をいかにしてアニメーションに落としこむかをまず考えたという。実写3部作の脚本、『ローハンの戦い』の製作&脚本を手掛けたフィリッパ・ボウエンは原作の「指輪物語 追補編」に登場するヘルム王とヘルム峡谷のエピソードにずっと魅了されていたようで、シリーズを通してのキーポイントとなる本シーケンスの映像化にあたり、白羽の矢が立ったのが日本アニメーションの第一人者・神山監督であるのは必然なことであった旨を説明する。それを裏付けるように、彼がシリーズを通してのスタッフ陣からも絶大な信頼を置かれている様子が窺える現場の雰囲気も映し出され、さらには実写三部作の監督を務めたピーター・ジャクソンと神山監督の仲睦まじい姿も見受けられる。本作のアニメーションは日本の製作スタジオ「Studio Sola Entertainment」のトップクリエイターたちの手により全て手描きで作り上げられた。手描きというクラシカルな手法について神山監督は「手描きのアニメーションを一般の観客が観たときに、無意識に感じるすごさある」とこの製作方法がもつ特有性を説明。一方ボウエンは「『ロード・オブ・ザ・リング』すべてのファンに観てほしい。アニメーションだからこそあなたの想像を必ず越えていく」と、アニメーションと、あの〈中つ国〉の世界が見事に融合し作り上げられた、唯一無二の映画体験ができる本作に太鼓判を押している。