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青山真治監督の追悼特集上映

北九州国際映画祭(KIFF2023)

令和5年12月13日〜17日に北九州市で初となる国際映画祭「北九州国際映画祭(KIFF2023)」の期間中、令和4年3月に逝去された青山真治監督の追悼特集上映「帰れ北九州へ――青山真治の魂と軌跡」を、青山監督の出身地である北九州市において、特別企画が14日(水)より開催されました。
北九州国際映画祭
北九州サーガ3部作とされる、劇場用映画デビュー作『Helpless』、カンヌを始め世界中で絶賛を浴びた『EUREKAユリイカ』、3部作の最終章『サッドヴァケイション』。さらには同名の芥川賞受賞作を原作とした『共喰い』、『東京公園』、最後の劇場公開作品となった『空に住む』までを上映。北九州の地で、かつて青山作品が上映された映画館のスクリーンで、もう一度青山真治作品と向き合う特集として企画されています。
昨年8月に火災で焼失した小倉昭和館が再建し、特集上映の初日である本日12月14日(木)『共喰い』がこけら落としととして上映スタート。小倉昭和館の新たなスタートを祝い、『共喰い』に出演した俳優・光石研、青山真治の妻である俳優・とよた真帆、『共喰い』のプロデューサー・甲斐真樹がイベントに登壇!
さらに、『空に住む』の上映では髙橋洋、斉藤陽一郎が登壇。J:COM北九州芸術劇場中劇場で行われた『サッドヴァケイション』では板谷由夏、斉藤陽一郎、甲斐真樹が登壇した。

青山真治監督の追悼特集上映

日付:12月14日(木)
場所:小倉昭和館
登壇:『共喰い』光石研、青山真治、とよた真帆、甲斐真樹

日付:12月14日(木)
場所:J:COM北九州芸術劇場
登壇:『空に住む』髙橋洋、斉藤陽一郎
『サッドヴァケイション』板谷由夏、斉藤陽一郎、甲斐真樹

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「帰れ北九州へ――青山真治の魂と軌跡」

『共喰い』

14日(水)より始まった青山真治監督追悼特集上映「帰れ北九州へ――青山真治の魂と軌跡」は『共喰い』からスタート。

小倉昭和館のこけら落としの舞台挨拶に光石研、とよた真帆、プロデューサーの甲斐真樹が登壇。⾶び入りで、斉藤陽一郎も参加した。光石は「僕は1994年に『Helpless』というお仕事をいただいた時に、台本が全部北九州弁で。監督が門司の人だと聞いて。
当時、ちょうど過渡期で藁をも掴む思いで、作品に参加させていただいたんですけど。そっから僕の運命は大きく変わりまして。
多分、あそこで『Helpless』に出会っていなかったら僕は俳優を続けてこれなかっただろうなと思う、それぐらいの作品です。だから青山さんとの出会いはものすごく大きくて。北九州で撮影だったし。北九州弁だったっていうことが大きいんですが、方言っていうのは所謂土の匂いがするっていうか。それも役作りを助けてくれたと思うんですけど。それ以上にその台本を書いてくれた青山さんに感謝しています。」と青山監督と北九州の関係性について明かした。
とよたは本特集上映のタイトルにも引用されることになった『共喰い』の最後に流れる「帰れソレントへ」の逸話を「亡くなられたお義母様が音楽の先生だったんですね。それで「帰れソレントへ」をよくピアノで弾いていて、お歌も歌われるような音楽の先生だったのでその想いを込めて青山が作ったんだなと思って。今、(思い出して)しみじみしました。」と明かした。
さらにプロデューサーの甲斐は『共喰い』撮影当時の青山監督に対して、「撮影が新門司で徒歩圏内で撮影ができたんですけど、青山真治絶好調!体調もいいし、撮影の演出も、テンポ感もキレも良くて。非常にいい現場でした。」と打ち明けた。キャスティングに関しても、「光石さんから『俺、あのお父さんにどうかね』」と自らの打診を受けたと話し、「いや、そのつもりで青山さんと話してますって。そらそうやろって!」とすでに青山監督と光石研で父親役が決まっていた裏話を語った。
司会の小倉昭和館・樋口館主は焼ける前の昭和館で座席数が多いのにも関わらず一番入った上映が原作者の⽥中慎弥が登壇した『共食い』だったと明かした。

『空に住む』

第2作品目は『空に住む』の上映。出演した髙橋洋と斉藤陽一郎が登壇。高橋は撮影時のエピソードとして、「出版社の編集長の役をしているんですけど。多部(未華子)さん演じる主人公がその社員で。彼女と最初に会うシーンがあるんですけど、そのシーンの次本番って時にフラ〜と(監督が)きて、『ここはなんかちょっと、なんかこう、恥ずかしいからちょっと誤魔化した感じでいこうかな』って言われたんですよ。でもその意味が全くわからなくて(笑)わからないんですけど『はい、わかりました!』と言って。わからないままやったんですけど、後から完成したものを見てわからないままやった奇妙な空気感とか距離感とか間合いみたいなものがすごくいい感じに僕は出ているなと思って。そういうディレクションが好きだなと思っていました。」と監督のチャーミングな一面を明かした。

青山組に最多で出演した斉藤は「青山さんとの関係は長いのもありましたけど、緊張はすごくするし。僕に対しての当たりが強かったところもあったので(笑)ただ、友達でもあったし。一番大好きな現場だったけど、一番緊張する現場でもあったという。ただその心地よさっていうか、仲間と、友達と一緒に映画を作るっていう感じの時間を過ごせていたので。その友達がもういないっていうのは寂しいなっていうのは感じますね」と突然の訃報に現在の想いを述懐した。

『サッドヴァケイション』

第3作品目は北九州サーガ3部作の最終章となる『サッドヴァケイション』の上映がメイン会場のJ:COM北九州芸術劇場中劇場で行われた。板谷由夏、斉藤陽一郎、甲斐真樹が登壇。板谷は「(『サッドヴァケイション』撮影)初日に、(青山監督に)呼ばれて。「何もすんな」って最初に言われたんですよ。何もすんなって結構、役者にとってはものすごい課題なんですよ。うわ〜って思って。その言葉がずっと20年近く今も、私の中でベースにあるんですよね。監督に言われた一言って。何もしないところまで行き着くっていうか、行き着きたいし。「板谷、何もすんな」ってあの一言の深さが、あの当時よりもだいぶわかってきたから、ますます、あ〜そういうこと仰ってたんだなっていう深みが出てきて。20代の時に青山監督からかけてもらった言葉が大きかったなと思いました。」としみじみと青山監督の偉大さを語った。

小倉昭和館には光石研直筆の手書きの特集上映の題字が飾られている。
青山真治監督の追悼特集上映

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