1月24日(土)より公開となった鬼才ロウ・イエ監督作品
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『二重生活』

ロウ・イエ監督作品の大ファンを公言するミュージシャンの曽我部恵一氏が26日、渋谷アップリンクで行われたトークイベントに出席。「何か近いものを感じる」というロウ監督と、時折ユーモアを交えながら、愛について、音楽について、映画について、さらには現代中国の実態について、熱く語り合いました。

曽我部さん二重生活
日 時:2015年1月26日(月)
場 所:渋谷アップリンク
ゲスト:曽我部恵一(ミュージシャン)、ロウ・イエ監督

曽我部氏といえば、自身のアルバム『PINK』に収録されている『春の嵐』が、ロウ監督の2010年の作品『スプリング・フィーバー』に感銘を受けて作ったというほど筋金入りのファン。

曾我部さん:今回の映画のエンドロールに流れるあの曲、いいですよね。
ロウ監督:中国のインディーズバンド『沼泽乐队(Zhaoze/The Swamp)』の『惊惶』(fear)という曲です。私の映画と彼らの音楽は『アンダーグラウンド』という点で共鳴し合ってます。

とニヤリ。

肝心の映画について
曽我部さん:ロウ監督の作品は、毎回、深いところをグッとつかまされる。本作に関しては、恋愛や人生について、誰が幸せなのか、誰が良くて、誰が悪いのか、友人と議論になりましたね。この主人公は重婚に近い感じですが、決してダメなこととして描かれていない。むしろしょうがないことのように描かれてますよね。

と指摘すると、

ロウ監督:二重生活まで行かなくても、愛人や一夜だけの関係など、中国では普通に起きていることです。

と説明しました。

さらに、映画に出てくる遊び相手の女子大生シャオミンについて、

ロウ監督:彼女のような子たちを中国では『緑茶女』って言うんですよ。
曾我部さん:なんで『緑茶女』って言うんですか?
ロウ監督:見た目は清楚で飾り気がないが、裏では複数の男たちを喜ばせているから。一方、ヨンチャオのように、妻や愛人の力を利用して、自分は悠々自適に暮らしている男は『フェニックス男』と呼ばれています。

と、中国の今を語りました!

ロウ監督作品の最も特徴的なところは、社会的問題と愛憎劇が一体となって描かれているところにあり、曽我部氏さんも、そこが一番気になる様子。それに対し、

ロウ監督:社会的問題とラブストーリーは一つのこと、相互に反映し合っている。時代が違えば、愛のカタチも違ってくる。本作で言えば、ヨンチャオが本妻に、『君を愛している』と言うが、本心ではない。愛しているという言葉が変質してしまっているんですね、つまり、『愛』にも社会性があるということですよ。

と、持論を展開。すると

曽我部さん:「最近、中国の要人たちが若い女の子を囲っているとか、ニュースなどでよく見かけますが、政治家と愛人の話がロウ監督の手にかかると、どうなるんでしょう?
ロウ監督:政治家の性愛なんて興味ないですね。第一、面白くないでしょう?
と答えると、会場は爆笑に。そんなイベントの様子報告でした。

とある事件。被害者の女性と数時間前まで一緒にいた男は、二つの家庭を持っていた。
中国の鬼才ロウ・イエによる、予測不能の<メロドラマ・ミステリー>

優しい夫と可愛い娘。夫婦で共同経営する会社も好調で、なにも不自由のない満ち足りた生活を送る女ルージエ。愛人として息子と慎ましく生活しながらも、いつかは本妻に、と願う女サンチー。流されるまま二人の女性とそれぞれの家庭を作り、二つの家庭で生活する男ヨンチャオ。いびつながらも平穏に見えたそれぞれの日常は、ほんの少しの出来事でいとも簡単に崩壊し、その事件は起きた。3人の男女、事件を追う刑事、そして死んだ女。それぞれの思わくと事情が何層にも重なりあい、物語はスリリングに進んで行く。

映画『二重生活』は新宿K’s cinema、渋谷アップリンクほかで公開中です。

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/nijyuu/
公式Twitter:https://twitter.com/nijyuu_jp
公式Facebook:https://www.facebook.com/nijyuu

二重生活01

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登壇者プロフィール
曽我部恵一(ミュージシャン)
1971年生まれ。ミュージシャン。 1994年にサニーデイ・サービスとしてデビュー。2001年よりソロ活動を開始。2004年には自身のレーベル<ROSE RECORDS>を設立。 ジャンルや形式にとらわれることなく、唯一無二な歌を追求すべく活動を続けている。 2014年10月、サニーデイ・サービスの4年ぶりのNEWアルバム『Sunny』を発売。 最新作は、2014年12月リリースのソロアルバム『My Friend Keiichi』。 http://www.sokabekeiichi.com

ロウ・イエ監督
1965年劇団員の両親のもと、上海に生まれる。1985年北京電影学院映画学科監督科に入学。
『ふたりの人魚』(00)は中国国内で上映を禁止されながらも、ロッテルダム映画祭、TOKYO FILMeX2000でグランプリを獲得。1989年の天安門事件にまつわる出来事を扱った『天安門、恋人たち』(06)は、2006年カンヌ国際映画祭で上映された結果、5年間の映画製作・上映禁止処分となる。禁止処分の最中に、中国では未だタブー視されている同性愛を描いた『スプリング・フィーバー』が、第62回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。パリを舞台に、北京からやってきた教師と、タハール・ラヒム演じる建設工の恋愛を描いた『パリ、ただよう花』は第68回ヴェネツィア国際映画祭のヴェニス・デイズ、および第36回トロント国際映画祭ヴァンガード部門に正式出品された。

2011年に電影局の禁令が解け、中国本土に戻って撮影された本作『二重生活』は、第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式招待。ほか、第7回アジア映画大賞(アジアン・フィルム・アワード)で最優秀作品賞ほか3部門を受賞。中国現代文学の代表的作家でありロウ・イエと親しい友人でもあるピー・フェイウー(畢飛宇)の小説を原作にした『ブラインド・マッサージ(英題:Blind Massage/原題:推拿)』は第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞。日本では2014年9月にアジアフォーカス・福岡国際映画祭にて先行上映された。

監督・脚本:ロウ・イエ
脚本:メイ・フォン、ユ・ファン
撮影:ツォン・ジエン
編集:シモン・ジャケ
音楽:ペイマン・ヤズダニアン
出演:ハオ・レイ、チン・ハオ、チー・シー、ズー・フォン、ジョウ・イエワン、チャン・ファンユアン、チュー・イン
配給・宣伝:アップリンク
(2012年/中国、フランス/98分/1:1.85/DCP)
  
 

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