宇賀那健一監督『渇いた鉢』公開初日舞台挨拶美

公開初日舞台挨拶

『異物-完全版-』『転がるビー玉』『魔法少年☆ワイルドバージン』『サラバ静寂』『黒い暴動』などを手掛けた宇賀那健一監督の新作長編映画『渇いた鉢』（洋題:The Empty Flowerpot）が2022年12月10日（土）より池袋シネマ・ロサほか順次全国劇場公開となりました。本作はロンフォードフィルムフェスティバルで観客賞を受賞しています。

この度、2022年12月10日（土）池袋シネマ・ロサにて、安部一希、三溝浩二、はぎのー、青島心、宇賀那健一監督が登壇して公開初日舞台挨拶が行われました。

『渇いた鉢』公開初日舞台挨拶
日付：2022年12月10日（土）
場所：池袋シネマ・ロサ
登壇：安部一希、三溝浩二、はぎのー、青島心、宇賀那健一監督
ＭＣ：東紗友美

宇賀那健一監督＆キャスト登壇

エピソードについて訊くと、現在の体重から15キロ落して臨んだという安倍は「暗い人物で、不幸な人生を送る役柄だったの全く会話がありませんでした」と話したのに対し、三溝も「僕も安倍さんと同じような設定だったので、ほとんど喋っていません。ただスタッフさんはすごく楽しそうでした（笑）」と恨み節も。また普段の生活ではペーパードライバーであるにも関わらず運転ができると言ってしまったことで、運転シーンが入ってしまったはぎのは「現場までの電車の中でセリフをびっちり叩き込んだのですが、撮影の時は運転に意識がいってしまって赤信号のたびにセリフが飛んで大変でした（笑）」と告白。また思春期の高校生役を演じた青島は「難しい年頃の女の子という設定だから、お父さんに対して冷たく接していたんです……」と、宇賀那監督の演出を忠実に守ったつもりも「あまりにもやりすぎたのか、それはちょっと冷たすぎると言われました（笑）」と話す。これに宇賀那監督は、「父親役の安部さんがあまりにもかわいそうだったから……（笑）」と感想をもらしつつ、自身の現場でのエピソードとして「今回は初めて人の脚本で臨んだことで演出に徹することができて、それがとても新鮮でした」と振り返った。

さらに物語に絡めて、手に入らなかったけど叶うなら手に入れたかった、過去の物事について訊かれ、三溝は「まだあきらめていませんが結婚です。まだ結婚とか家族というものの幸せを知らないので、いつか手に入れたいです！」と宣言。またこの業界に入っていなかったら保育士をなりたかったと語る青島は「保育士になっていたらずっと地元で暮らしていたと思います。でもそうなるとここに立つこともできなかったと思えば、今の方がいいのかな」と微妙な心境をぽろり。また特に手に入れられなかったものはなかったと思うという宇賀那監督は「あえてあげるなら海外挑戦を早めにしておきたかったです。でもこれは今からでもできることなので、これは叶わなかったことではないですけど」と、すでに未来に目を向けていた。

そして最後に、ひとりひとりが作品についてコメントをした。宇賀那監督は「この暗いご時世だからこそ、この作品に触れてほしいです。不条理なことに巻き込まれる作品で、そこに明確な答えはありません。それぞれが色々と考えさせられるような内容になっていると思いますし、僕らも覚悟をもって作らせていただきました。ぜひ一人でも多くの方にご覧になっていただきたいです」と語り、大きな拍手とともに舞台挨拶は幕を閉じた。

映画「渇いた鉢」

池袋シネマ・ロサ ほか順次全国劇場公開。

STORY：
暗い部屋で独り、パソコンの光に照らされ、浮かび上がる男の姿。
松村大地（安部一希）は無心に検索画面に言葉を打ち込み続けている・・・。
彼は3年前に、最も愛する家族を見知らぬ狂気によって突然奪われてしまっていた。
幼い娘を手にかけた犯人、いたずらに家族を責め立てて妻を追い詰めたマスコミや野次馬 への憎しみ。
何よりも 2 人を守れなかった自分に対する抱え切れない自責の念。
時と共に簡単に忘れられ、風化していく事件。 余りにも深い孤独の中、彼が今も生きる理由とは___。
松村大地はまたフラフラと街へ歩み出す。