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『千夜、一夜』公開記念舞台挨拶田中裕子を主演、久保田直監督最新作『千夜、一夜』がついに昨日10月7日(金)に公開日を迎えました。 この度、テアトル新宿にて公開記念舞台挨拶イベントを行い、田中裕子、尾野真千子、安藤政信、久保田直監督が登壇しました。 |
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田中裕子ら登壇まず初めに、主演の田中裕子から「諦めずに今日という日を迎えられたこと、スタッフの方々やキャストのみなさんに感謝しています」というあいさつがあり、本イベントが始まった。 MCから本作のキャスティングの経緯を聞かれると、久保田監督は「前作の『家路』(14)で田中さんに出演していただいた際に、撮影現場でのことのみならず、一人の人間としても教わることが多く、次回作でもまたご一緒したいとずっと思っていました。脚本の青木研次さんと本作の主人公の“待ち続ける女性”を思いついた時には、二人とも自然と頭に田中さんが浮かんでいました」と企画当時の様子を明かした。 このようなキャスティングの経緯もあり、本作の脚本は田中をあてがきしたものとなっている。突然姿を消した夫を30年にわたり待つ女性・登美子を演じた田中は、脚本を読んだ印象について「脚本の青木さんとは『いつか読書する日』(04)でご一緒したことがあり、セリフは多くないけれど、セリフとセリフの間にまるで“風”のようにいろんなことを感じられる印象があります」と語り、「でもその“風”のようなものをうまく演技で伝えるのがなかなか難しくて、今までもなかなかできなかったと思うし、今回もできなかったかなあって思っています」と自身の演技について謙遜気味に振り返り、笑みを浮かべた。 一方で、2年前に失踪した夫を探す女性・奈美を演じた尾野真千子は、「近年エンタメに特化した作品が多い中で、いい意味で地味な映画。本作は観た人も私たちも、何かを考えさせられる映画だと思っています。田中さんと前回共演したときに個人的にやり残したことがあり、本作で面と向かってしっかりとお芝居するシーンがあるので、ぜひ出演したいと思いました」と出演の経緯を明かした。 そんな尾野演じる奈美の夫・洋司を演じた安藤政信は、本作について「(事務所に所属せずフリーランスの)“役者としての所在地”を考えているところだったので、脚本を読んで、今の自分とリンクするところがあると感じました」と当時の心境を明かし、田中との共演について「田中さんと演技していると、まるで魔法にかかったように、全てを見透かされているような、動けなくなるような感覚になりました。思わず“旦那さん”というセリフを嚙んでしまったほど」と振り返ると、キャスト陣を含め会場中から笑いが起こった。 また、本作は現在開催中の釜山国際映画祭のニューカレンツ・コンペティション部門に正式出品されており、現地で上映後のQ&Aに登壇した久保田監督はその時の様子を「上映終了時間がかなり夜遅かったにも関わらず、多くの方が残ってくれました。Q&Aはものすごく手が挙がって、予定時間から大幅に延長するほどでした」と現地でも絶賛された様子を笑顔で振り返った。 本作の舞台である佐渡島で印象に残っていることについて、田中は「撮影終わりの帰り道、道で虫を採っている女の子がいるなあと思ってよく見たら、真千子ちゃんでした」と驚きのエピソードが明かされ、尾野が「虫じゃなくて、花を摘んでました」その様子をジェスチャーで表現する場面も。 さらに久保田監督と仕事をして現場で感じたことについて、安藤は「その場での空気感や一回のエネルギーを大切にするひとだなと思いました。テイクを何回も重ねるのでなく生の感覚を大事にされていましたね」と撮影時の様子を振り返り、監督とキャストの信頼関係の元で撮影が行われた様子が伺えた。 最後に久保田監督から「“待つこと”がテーマの映画ですが、新型コロナ感染拡大に伴い撮影が一時中断になることもあり、8年かかって完成を“待ち続けた映画”です。それがあったからこそ、より奥の深い映画に仕上がっていますので、多くの方に感じ取っていただきたいです」 |
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『千夜、一夜』10月7日(金)テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開 |
田中裕子
尾野真千子 安藤政信 / ダンカン
白石加代子 長内美那子 田島令子
山中崇 阿部進之介 田中要次 平泉成 小倉久寛
監督・編集:久保田直
脚本:青木研次
音楽:清水靖晃
製作:映画『千夜、一夜』製作委員会
特別製作協力:(株)シャイン、(株)サンテクノ
協賛:サンフロンティア不動産(株)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会 制作プロダクション:ソリッドジャム
配給:ビターズ・エンド
2022年/日本/カラー/ビスタ/DCP/5.1ch/126分
(C)2022映画『千夜、一夜』製作委員会