映画情報どっとこむ ralph この度、20代の等身大の恋愛の危うさと歯がゆさを描いた映画『わたし達はおとな』が2022年6月10日(金)に新宿武蔵野館ほかにて全国公開中です。本作は、『勝手にふるえてろ』(17/大九明子監督)、『寝ても覚めても』(18/濱口竜介監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『本気のしるし』(20/深田晃司監督)を手掛けてきたメ〜テレと、制作会社ダブが制作。新進女優と次世代監督がタッグを組み、「不器用に、でも一生懸命“今”を生きるヒロインたち」をそれぞれの視点で映画化するプロジェクト、“(not) HEROINE movies”=ノットヒロインムービーズの第一弾公開作品です。

6月19日(日)、同レーベルのコラボレーション企画として、先日より公開中の第1弾作品『わたし達はおとな』主演の木竜麻生と、9月公開の第2弾作品『よだかの片想い』主演の松井玲奈によるトークセッションが新宿武蔵野館にて開催されました!
ノットヒロインムービーズ

『わたし達はおとな』×『よだかの片想い』

ノットヒロインムービーズコラボイベント
日程:6月19日(日)
登壇:木竜麻生(『わたし達はおとな』主演)、松井玲奈(『よだかの片想い』主演)

映画情報どっとこむ ralph 木竜さんと松井さんは、映画『ゾッキ』に出演しているが、それぞれ出演した監督パートが異なっており、直接顔を合わせるのはこの日が初めてとなった。

「(not) HEROINE movies」というレーベルについて、松井さんは「いままでにない新しい切り口だなと思います。日常でみなさんが抱えている悩みや、ちょっとしたエピソードが常に物語になりうるんだなとこの企画に参加して強く感じました」と語り、ノットヒロインムービーズ木竜さんは「自分の作品を改めて見て、『よだかの片想い』を見させていただいて、見てからのほうが「(not) HEROINE movies」というレーベルが腑に落ちるところがありました」とうなずく。ノットヒロインムービーズ

舞台挨拶の序盤は『わたし達はおとな』についてのトークが展開。松井さんが映画を見終わったばかりの観客に「どうでしたか? ちょっと気持ちが重たい人は(笑)?」と尋ねると少なくない数の観客が挙手。松井さんは「この映画を見て気持ちがズンと落ち込む人は、思い当たる節があるんだなと思います(笑)。同じような事例があったという意味じゃなく、生きていれば他人と意見が違ったり、わかり合えていると思ってて、同じボートに乗っていると思ってたのに、オールの漕ぎ方が違っていて、グルグル回っちゃう時ってあるんだということを表している映画だなと思います。私も、すれ違いの経験があるから、グッと重いものがあって、3日間くらい、この映画のことを考えてました(苦笑)。そういう余韻が残る作品って素晴らしいと思います」と深みのある言葉で本作の“魅力”を言い表す。

木竜さんも挙手した人々を見やりつつ「(実際に観客に聞いたのは)初めてですね(笑)。(上映後のトークで)入ってくると、空気でいつも感じてて、回によって違うんです。『今日はなかなか重たいな…』とか(笑)。しっかりと意思として挙手いただけて嬉しかったです。いろんな意見があることは、豊かなことだと思うので嬉しいです」と笑顔を見せた。

松井さんは、木竜さんが演じた優実について「本当に自分の友達にいそうな女の子という印象でした。もしかしたら、言ってないだけで、大きなもの抱えてる人がいるんじゃないかと思いました。(優実が)友達といるシーンを見ながら『(隠していることを)いま言いなよ!』『いま言ったら楽になるよ!』とかお節介なおばさんの気持ちで見ていました(笑)。隠してるものあるからより魅力的に見えているのかな」と共感と魅力を口にする。ノットヒロインムービーズ

木竜さんは松井さんの言葉に「こんな贅沢な回がありますか(笑)?」と喜びつつ「私も、見ながら『この子たち、周りにいるわけじゃないのに知っている気がするんだよな』と思ってました」と同意する。

松井さんは、優実が直哉(藤原季節)とケンカしてトイレに籠るシーンが印象に残っているそうで「頭の中でリフレインしてます(笑)」と明かし「(直哉がトイレの)電気をパチパチするのは怖かったですか?どんな気分でしたか?」と質問。木竜さんは「大きな音だったり、ドアを叩く強い衝撃とか、そういうのが出ると、頭じゃなく(胸を指しながら)このへんで『どうしても力では叶わない』と感じるんだなと思いました。(優実が言う)『ドア壊れるから』とか、絶対にいま、そこじゃないんだけど(笑)、気持ちが高ぶってると、冷静に取り繕う言葉を吐いてしまうんだなと。電気パチパチするのは本当によくないと思います(笑)!」とそのシーンを振り返る。松井さんは「相手の顔が見えないと出ちゃう言葉ってあるんだなと思いました。見ていて胃が痛くなりました」とうなずいていた。

続いて、舞台挨拶後半は『よだかの片想い』についてのトークが展開。本作は、顔にあざを持ち、遊びや恋に消極的な大学院生のアイコ(松井さん)が映画監督の飛坂(中島歩)と出会い、惹かれていくさまを描くが、ひと足先に鑑賞した木竜さんは「まだ公開されてないので、言えないことが多いんですが…」と前置きした上で、「アイコと飛坂の出会っていくさま、近づいていくさまのリズム、距離の縮まり方がすごく早いわけでもなく、かといってもどかしいわけでもなく、心地よいんだけど次はどうなのかな? と思える近づき方なんですね。あとは、アイコがいろんなことを体感していくのを1本の映画で目撃できるので、ぜひ楽しみにしてください」と語る。

アイコが惹かれる飛坂という男については、木竜さんは「語弊があるかもしれないけど、『いいなぁ…』と思いました。お話しできないんですが、キュンとなるシーンがありました。それは中島さん自身が出している雰囲気、空気感がすごく合っているんだなと思うし、飄々としてそうで、でも『近づいたかな?』と感じるタイミングもあるし、一方で『つかめないな』と思うタイミングもある男性で、それは飛坂さんという男性の魅力なんだなと思います。敬語を抜くタイミングもうまいなと思いました。基本的に丁寧に話してて、近づいていく中で不意に敬語を抜いて、でもまた戻ったり…そういうの、うまいなぁって」と語ると、松井さんは「ズルい男なんですよ(笑)、飛坂という男は…」と苦笑交じりに嘆息。

木竜さんは「そのズルさに私はまんまとやられたなって思います(苦笑)。でも、とても魅力的な男性として描かれているなと思います」と納得した表情で語り、松井さんは「それは嬉しいです。見る方が、飛坂にキュンとしたり、素敵と思えないと、アイコの恋心に一緒に歩んでいけないと思うので。でも、ズルい男なんですよ…(苦笑)」と語った。

『よだか〜』の“ズルい”飛坂の話が出たタイミングで、改めて『わたし達はおとな』の優実の恋人・直哉については、どのような印象を持ったかを尋ねると、松井さんは「私は彼にズルさは感じなくて、本人が置かれている状況を考えると、いま責任を持つことが難しいということはイヤでも伝わってくるので。ただ、そこに対してどう誠意を見せるか?という部分では私の中の“お節介なおばさん”が出てきて『どうしてそういうこと言うの?』とか『思ってないのにいま言ったでしょ!』、『なんで手を取り合わないんだ? きみたちは!』という思いで見てました。両方に人としての“良いズルさ”を感じて、お互いに『どうしようもない』という部分を出し合っているなと。(直哉は)『俺は“今”が大事』だし、『父親が誰かわかんないけど、責任を持とうとしている』というカードを持っていて、優実は優実で『私がここ(お腹の中)に子どもを宿しているんだから』という身体的なカードがあって、そんなのは戦わせてもどうしようもない…。でも、そのどうしようもなさがぶつかり合ってるところが、物語として成立しちゃってる――映画って苦しいなと思ったし、それが良いものだなとも思って見ていました。お互いにズルさがありながら『ズルい』で片付けちゃダメだよなぁ…と」と直哉だけでなく、優実も含めた2人の関係性の問題点について熱弁。

木竜さんも、松井さんもこの「(not) HEROINE movies」レーベルで自身が主演した作品に特別な思いを抱いているようで、木竜さんは「脚本をいただいた段階で、いままでとは違う挑戦で、これまでと違う経験ができそうだと感じていましたし、撮影中もそれを感じました。自分にとってすごく大好きな作品になったし、自分が出た映画が大好きなものになるって、こんなに幸せなことはないなと感じています」と本作と出会った喜びを改めて口にする。

松井さんは、もともと『よだかの片想い』の原作者・島本理生のファンであり、自ら映像化を望んできて、それがついに実現したという経緯がある。「5~6年前から『映像化したいです』と言っていて、大好きな島本理生さんの小説のキャラクターを演じるというのは自分にとって夢だったので、その夢が叶った映画です。自分が一番好きな作品を映像化できて、それをこれからいろんな人に観てもらえると思うと嬉しい気持ちでいっぱいです」と作品への思いを語った。

舞台挨拶の最後に、松井さんには『わたし達はおとな』について、木竜さんには『よだかの片想い』についてメッセージをもらった。松井さんは「私は『わたし達はおとな』という作品が本当に好きで、これから、折に触れて思い出して見ることになる作品に出会えたことを幸せに思います。みなさんも映画を観て感じたことを家に帰りながら思い出して、もう一度、この作品を体感してもらえたら、この作品のファンとして嬉しいです!」と呼びかける。

木竜さんは「自分が好きな作品を映画化するというのは、他の作品とはまたひとつ違うベクトルで、大きなものを背負うものだと思うし、松井さんはそれを背負ったまま作品の中に立っていると思うので、みなさん、公開は9月ですがぜひ楽しみにしていただきたいですし、自由に映画を楽しむということをしていただけたらと思います」と語り、客席からは2人に向けて温かい拍手がわき起こった。

映画情報どっとこむ ralph

『わたし達はおとな』は公開中。
『よだかの片想い』は9月16日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開。

【(not) HEROINE moviesとは】 
『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』を手掛けたメ〜テレと、制作会社ダブがタッグを組み、“へたくそだけど私らしく生きる”、等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズであり、次世代を担う映画監督と俳優たちを組み合わせ、それぞれの感覚と才能を思う存分発揮できる場を生み出し、輩出するプロジェクトです。何ドンもされない。胸キュンもしない。恋とか愛とか生きるとか自意識とか、考えすぎてこんがらがって。それでももがいて生きている“ヒロイン”になりきれない“ヒロイン”たちの物語。

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【第一弾作品『わたし達はおとな』】
公開表記:全国公開中
配給:ラビットハウス
コピーライト:©2022「わたし達はおとな」製作委員会

【あらすじ】
大学でデザインの勉強をしている優実(木竜麻生)には、演劇サークルに所属する直哉(藤原季節)という恋人がいるが、ある日、自分が妊娠していることに気付く。悩みながらも優実は直哉に妊娠とある事実を告白する。直哉は将来自分の劇団を持ちたいと願っていた。現実を受け入れようとすればするほどふたりの想いや考えはがすれ違っていく・・・。

木竜麻生 藤原季節
菅野莉央 清水くるみ 森田想 / 桜田通 山崎紘菜
片岡礼子 石田ひかり 佐戸井けん太
鈴木勝大 山脇辰哉 上村侑 中山求一郎 諫早幸作 伊藤風喜 鳥谷 宏之  平原テツ

監督・脚本:加藤拓也 音楽:谷川正憲 製作:狩野隆也 松岡雄浩 宇田川寧 エグゼクティブプロデューサー:服部保彦 プロデューサー:松岡達矢 柴原祐一
撮影:中島唱太 照明:土山正人(JSL)録音:小野川浩幸 紫藤祐弥 美術:宮守由衣 装飾:桑田真志 編集:田巻源太 衣裳:加藤みゆき ヘアメイク:内城千栄子 助監督:土岐洋介 ラインプロデューサー:谷川詩織 製作幹事:メ~テレ 配給:ラビットハウス 宣伝:フィノー 製作プロダクション:ダブ
(not) HEROINE movies第一回作品 メ~テレ60周年 ©2022「わたし達はおとな」製作委員会 公式HP:https://notheroinemovies.com/

【第二弾作品『よだかの片想い』】
公開表記:2022年9月16日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:ラビットハウス
コピーライト:©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

【あらすじ】
物語の主人公は、理系女子大生の前田アイコ(松井玲奈)。彼女の顔の左側にはアザがある。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、友人の編集者・まりえ(織田梨沙)の紹介で、監督の飛坂逢太(中島歩)と会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めていくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への想いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる・・・。

原作:島本理生「よだかの片想い」(集英社文庫刊)
監督:安川有果
脚本:城定秀夫
出演:松井玲奈、中島歩
藤井美菜、織田梨沙、青木柚、手島実優、池田良、中澤梓佐
三宅弘城
企画協力:グリック、SPOTTEDPRODUCTIONS
制作プロダクション:ダブ
配給:ラビットハウス
©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

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