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奥田裕介監督・カトウシンスケ@活弁シネマ倶楽部

『誰かの花』の奥田裕介監督と主演のカトウシンスケが、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に揃って登場。文筆家の折田侑駿がトークMCを担当し、企画の成り立ちや、緻密な脚本、そして俳優・カトウシンスケの魅力などについて、大いに語り合っている。
活弁シネマ倶楽部『誰かの花』
本作は、横浜黄金町で営業を続ける老舗の映画館、「横浜シネマ・ジャック&ベティ」の30周年を記念をして企画・制作されたもの。『世界を変えなかった不確かな罪』(2017年)の奥田監督がオリジナル脚本を手がけ、ある一つの事故をめぐって揺らぐ、個人の正義や倫理観、そして“救い”までをも繊細に描き出している。記憶の薄れゆく父が、事故の加害者なのではないかと疑念を募らせ葛藤する主人公をカトウシンスケが演じ、物語をスリリングに牽引。待望の奥田監督の新作にして力作の看板を見事に背負った。そして、主人公の母親役に吉行和子、父親役に高橋長英が配されているほか、野村忠義、和田光沙、村上穂乃佳、篠原篤、太田琉星ら若手から大ベテランまでのプレイヤーが揃った座組となっている。

トークは、折田が感想を述べるところからスタート。「まず何より脚本が素晴らしいですよね。とても緻密で、最初から最後まで用意周到に仕掛けが施されていると思いました。中心にある一つの事件だけでなく、映画全編において、とてもスリリングな作り込み方をされていると思います」と語る。そんな本作の企画の成り立ちについて奥田監督は、「ジャック&ベティ30周年ということで、その数年前から支配人の梶原俊幸さんと、プロデューサーの飯塚冬酒さんとこの企画のお話しをしていました。ジャックさんでは僕の過去作を上映していただいていたり、僕自身が横浜生まれ横浜育ちという縁もあったんです。脚本に関しては、最初はお祭り的なものや、町おこし的なものを書かなきゃいけないのかなとも思ったのですが、僕に話がきている時点で、そういうわけじゃないなと」と語る。

さらに「オリジナルの脚本にこだわっていて、僕は脚本を書く際に、“違和感”というものを大事にしています。例えば、一つのニュースを見ていて抱いた違和感や、自分自身、あるいは友人知人に起こった何かに対する違和感であったり。そして、報道などで加害者を完全な悪として捉える構造に違和感を感じているときに、“被害者も加害者になり得る”ということに思い至ったんです。そんな折、認知症の叔父を介護しているときの経験が重なって、この物語が生まれました」と奥田監督は脚本への取りかかりと、物語の着想について続けている。

本作で主演を務めたカトウは、監督の希望であり、孝秋というキャラクターも当て書きしたものだという。「監督からお話がきて、『あと2、3日で脚本をお送りしますね』と言われてから、2、3週間は来なかったですね(笑)。でもやっぱり届いたものに目を通してみたら、ほとんど撮影稿に近い、きっちりとしたものに仕上がっていました。読んだ最初の印象としては、緻密でしたし、僕に対してある種のリスペクトを込めて連絡をしてくれた方が、2、3週間遅れてまで手がけたものなので、それでけの想いが込められている脚本だと思いました。物語ももちろんですが、文字一つをとっても、そう感じたんです」とカトウは撮影前のことを振り返っている。

そのほかこのトークでは、奥田監督ならではの作品づくり、現場づくり、監督から見たカトウシンスケという俳優の魅力など、深いところまで生の言葉で語られている。映画本編にあわせて必見の回だ。

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■活弁シネマ倶楽部■

活弁シネマ倶楽部 公式HP:
https://katsuben-cinema.com/

活弁シネマ倶楽部 公式ツイッター:
@katsuben_cinema

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『誰かの花』

カトウ横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画作品|誰かの花|奥田裕介監督|2021年公開予定
公式サイト:
http://g-film.net/somebody/

あらすじ
鉄工所で働く孝秋は、薄れゆく記憶の中で徘徊する父・忠義と、そんな父に振り回される母・マチのことが気がかりで、実家の団地を訪れる。しかし忠義は、数年前に死んだ孝秋の兄と区別がつかないのか、彼を見てもただぼんやりと頷くだけであった。
強風吹き荒れるある日、事故が起こる。団地のベランダから落ちた植木鉢が住民に直撃し、救急車やパトカーが駆けつける騒動となったのだ。父の安否を心配して慌てた孝秋であったが、忠義は何事もなかったかのように自宅にいた。だがベランダの窓は開き、忠義の手袋には土が……。一転して父への疑いを募らせていく孝秋。「誰かの花」をめぐり繰り広げられる偽りと真実の数々。それらが亡き兄の記憶と交差した時、孝秋が見つけたひとつの〈答え〉とは。
誰かの花_ポスター

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カトウシンスケ 吉行和子 高橋長英 和田光沙 村上穂乃佳 篠原篤 太田琉星
大石吾朗 テイ龍進 渡辺梓 加藤満 寉岡萌希 富岡英里子 堀春菜 笠松七海
脚本・監督:奥田裕介
撮影: 野口高遠 照明 : 高橋清隆 録音:高島良太 衣装:大友良介 ヘアメイク:ayadonald 大久保里奈
制作:佐直輝尚 助監督:松村慎也 小林尚希 高野悟志 音楽:伴正人 整音:東遼太郎
エクゼクティブプロデューサー:大石暢 加藤敦史 村岡高幸 梶原俊幸 プロデューサー:飯塚冬酒
製作:横浜シネマ・ジャック&ベティ 30 周年企画映画製作委員会 宣伝・配給:GACHINKO Film
2021 年 日本 115 分 5.1ch アメリカンビスタ
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