映画情報どっとこむ ralph

万田邦敏監督による愛憎サスペンス。

愛するほどに、それは奪われていく――

仲村トオル×杉野希妃×斎藤工×中村ゆり×藤原大祐が魅せる『愛のまなざしを』は、全国公開中。
2仲村トオル、中村ゆり 愛のまなざしを4斎藤工、杉野希妃 愛のまなざしを
毎年8月に開催される湯布院映画祭が、今年は新型コロナの影響で11月に延期となり、規模も縮小されて開催。
本作が、11月21日(日)に第46回湯布院映画祭に招待され、監督・脚本の万田邦敏と脚本の万田珠実が登壇。

万田邦敏監督が初めて映画祭というものに参加したのが、『ドレミファ娘の血は騒ぐ』の助監督・共同脚本として招待された35年前の湯布院映画祭。今回、新作『愛のまなざしを』で、ゆかりが深い湯布院映画祭に監督として凱旋する形となりました。

『愛のまなざしを』 湯布院映画祭_万田邦敏監督、万田珠実
『愛のまなざしを』@湯布院映画祭
日時: 11月21日(日) 
場所:ゆふいんラックホール
登壇:万田邦敏(監督・脚本)、万田珠実(脚本)

映画情報どっとこむ ralph 冒頭、脚本の万田珠実が「この映画はファム・ファタルの映画ではありません」と宣言。続いて万田邦敏監督も、「この映画は6年前に妻を亡くした精神科医が、妻の面影に囚われすぎることから起こる悲喜劇です」と紹介。
『愛のまなざしを』 湯布院映画祭_万田邦敏監督、万田珠実_スピーチ
主演の仲村トオルがインタビューで「珠実さんの心の奥底には底の見えない闇がある」と語っていることに関して、監督は、「闇ではないが、『UNloved』の脚本を読んだときは、一番身近に生活している人がこんなことを考えているのかと知って驚いた。つまるところ、私のことをどういう目で見ていたかということなので」と返答。珠実は「私はひねくれてますから」と自嘲気味に答えた。

司会の幸重善爾氏の「登場人物の誰もが、一筋縄ではいかない複雑さを持っている」との指摘に対して、珠実は、「私が書きたいのは矛盾する人間の感情や行動です」と加えた。

主人公・貴志を演じた仲村は当て書きだったとのことで、万田監督は、「患者に騙されるダメな精神科医でありながら、患者に寄り添ういい精神科医でもあるという難役を仲村さんに演じて欲しかった」と話し、「仲村さんの一途さが悲劇にも喜劇にも転ぶところが好き」と仲村の魅力を話した。

貴志の「寄り添う」という言葉にどのような意味を込めたのかという質問に、監督は、「寄り添いすぎたことから起こった悲劇」と、珠実は「皮肉な意味を込めた」と回答。『愛のまなざしを』 湯布院映画祭_万田珠実_スピーチ

綾子のベッドシーンがないことに関しては、監督は、「この映画に〈肉〉の問題を導入すると、テーマがずれる。この映画にセックスシーンは必要ないと判断した」と説明した。

珠実は、「撮影を見学していて、実は綾子は貴志の狂気に振り回されたんじゃないかと思えるようになり、また貴志も救ってあげたいと思い、ラストを大きく変更したくなった」と撮影中にラストシーンを変更した経緯を話した。

観客からは、「精神科医が患者に騙されるという設定は、あり得ないようでいて案外リアルなのかもしれない」、「貴志の心の傷故に、貴志は綾子の話を本当だと信じたかったのではないか」、「貴志が信じたいものを綾子が貴志に与えていたのではないか」、「貴志と綾子を取りまく他の人たち、息子の祐樹や中学生の患者、貴志の義理の両親などの存在がリアルに描かれていた」、「トンネルの画が怖かった」などの感想が続き、シンポジウムは大荒れすることなく、無事に終了した。

映画情報どっとこむ ralph 愛するほどに、それは奪われていく

『愛のまなざしを』

英題:Love Mooning

2021年11月12日(金)より全国劇場にて公開中

公式HP:
aimana-movie.com 


 妻を亡くしたことで、もう二度と誰も愛せないと思いつめ、生と死のあわいを彷徨うように生きる精神科医の前に現れたのは、彼を救済するかのような微笑みをたたえた女だった。堰を切ったかのように女に溺れていく男、愛を求め続けても誰からも返されることなく孤独の果てを彷徨ってきた女。二人はそれぞれの日常を捨て、激しく求めあう。しかし、女には別の顔が存在した…。男が信じた愛は、そこに確実に存在したのか。そしてそれは「愛」そのものであったのか――。
 これまでも強烈な自我を持つ女性を軸に、狂気ともいえる愛を描いてきた鬼才・万田邦敏監督が、カンヌ国際映画祭にてW受賞した『UNloved』、比類なき傑作『接吻』に続き、共同脚本・万田珠実と三度目のタッグを組んだ。「愛」の本質を見つめ、人間の性とエゴをあぶりだした愛憎サスペンスが誕生した。

憎しみは愛を征服する――

亡くなった妻に囚われ、夜ごと精神安定剤を服用する精神科医・貴志(仲村トオル)のもとに現れたのは、モラハラの恋人に連れられ患者としてやってきた綾子(杉野希妃)。恋人との関係に疲弊し、肉親の愛に飢えていた彼女は、貴志の寄り添った診察に救われたことで、彼に愛を求め始める。いっぽう妻(中村ゆり)の死に罪悪感をいだき、心を閉ざしてきた貴志は、綾子の救済者となることで、自らも救われ、その愛に溺れていく…。しかし、二人のはぐくむ愛は執着と嫉妬にまみれ始め、貴志の息子・祐樹(藤原大祐)や義父母との関係、そしてクリニックの診察にまで影響が及んでいく。そんな頃、義弟・茂(斎藤工)から綾子の過去について知らされ、さらに妻の秘密までも知ることとなり、貴志は激しく動揺するのだった。自身の人生がぶれぬよう、こらえてきた貴志のなかで大きく何かが崩れていく。失った愛をもう一度求めただけなのに、その渦の中には大きな魔物が存在し、やがて貴志の人生を乗っ取り始める。かたや綾子は、亡き妻にいまだ囚われる貴志にいらだち、二人の過去に激しい嫉妬をいだく。彼女は貴志と妻の愛を越え、極限の愛にたどりつくために、ある決断を下すのだった――。
『愛のまなざしを』ポスター

***********************************

仲村トオル 杉野希妃 斎藤工 中村ゆり 藤原大祐 万田祐介 松林うらら ベンガル 森口瑤子 片桐はいり監督:万田邦敏
脚本:万田珠実 万田邦敏 
企画・制作協力:和エンタテインメント
制作:キリシマ1945
配給:イオンエンターテイメント 朝日新聞社 
和エンタテインメント製作:「愛のまなざしを」製作委員会(ENBUゼミナール 朝日新聞社 和エンタテインメント ワンダーストラック イオンエンターテイメント はやぶさキャピタル)
2020年/日本/日本語/102分/HD/カラー/Vista/5.1ch/
(c) Love Mooning Film Partners
関連記事:




良かったらランキングUPにご協力ください。
  にほんブログ村 映画ブログ 映画情報へ    にほんブログ村 アニメブログ アニメ情報へ