武田信玄生誕500年の記念イヤー武田家の映画『影武者』より40年、『天と地と』より30年。武田信玄生誕500年の記念イヤーである2021年。 その公開を記念して、山梨・TOHOシネマズ甲府で行われ、主演の寺田農、共演の柏原収史、左伴彩佳(AKB48)、保坂直希、青山金太郎、武田家考証の平山優氏、共同監督の宮下玄覇氏が登壇しました。 |
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登壇: 寺田農、柏原収史、左伴彩佳(AKB48)、保坂直希、青山金太郎、平山優、宮下玄覇映画「信虎」先行公開初日舞台挨拶が22日、山梨・TOHOシネマズ甲府で行われ、主演の寺田農、共演の柏原収史、左伴彩佳(AKB48)、保坂直希、青山金太郎、武田家考証の平山優氏、共同監督の宮下玄覇氏が登壇した。 戦国の名将・武田信玄の父であり、甲府を開府した信虎の晩年を描いた本作。信玄によって甲斐を追放され、駿河を経て京に住み、足利将軍の奉行衆となった信虎は、追放より30年の時が流れた元亀4年(1573年)、信玄が危篤に陥ったことを知り、再び武田家にて復権するため甲斐への帰国を試みるも、信濃において武田勝頼とその寵臣によって阻まれる。信虎は、信長との決戦にはやる勝頼の暴走を止められるのか。齢80の「虎」が、武田家存続のため最後の知略を巡らせる――。 信虎役を演じる寺田は、本作で36年ぶりの主演を務めた感想を求められると「撮影は2019年で、私はその年に喜寿、77歳になったばっかりだったんですね。それでこのお話をいただきまして、80歳の役をやれと。長生きはしてみるもんだなと、大変ありがたく、また楽しい撮影でしたね」と笑顔で話し、「400年前にできた古いお寺をお借りして、柱とか、床とか、それを見ているだけで素晴らしい。あとは音楽と音。刃の当たる音とか、甲冑の擦れる音とか、これはこの映画でしか感じられません」と見どころを紹介した。 甲府市出身で柳澤保明(吉保)役を演じる柏原は、高校3年まで甲府に住んでいたそうで「青春といえば甲府になってくるんです。僕は高校1年生の15歳でデビューして、高校3年間、特急あずさに乗って甲府での学業と並行しながら(都内に)通っていたので、いまだに甲府駅にいらっしゃる信玄公様(の銅像)を見ると胸がギュンとするというか、当時を思い出しますね」としみじみと語り、本作に出演しての感想については「僕の役はストーリーテラーという感じの出演です。とても難しいセリフがいっぱいあって、でもこの作品を通じて勉強になったことがたくさんあったので、改めて山梨県人としてこの作品に出られたことは光栄だなと思いました」と吐露した。 同じく山梨県出身で信虎の娘・お弌役を演じる左伴は「私自身、これが映画初出演だったのですごく緊張して、どんなメイクなんだろうって楽しみにしていました。メイクしていただき鏡を見たら、歯が真っ黒で眉毛がないというメイクで衝撃的だったんです!こういう貴重な機会をいただけたのもすごく嬉しいです」とコメントして会場の笑いを誘い、「着物を着たんですけど、所作の先生が手の動きとか立ち居振る舞いも指導してくださったので、そこにも注目して見ていただけたら嬉しいなと思います」と声を弾ませた。 甲斐市出身で古田左介(織部)役を演じる保坂は、撮影地となった甲斐市での思い出を聞かれると「高校のときに野球部で、冬はいつも新府城に走りに行くというメニューがあったんです。シンプルに階段を何往復もするという地獄のメニューで、そのときは本当に新府城が嫌いでした、今回、そんな新府城での撮影も行っていただいたり、故郷の風景がとても多く出ている映画になっております」と感慨深げに語り、「織田方で初めての時代劇に出るというのはビックリしました。僕の出番はちょっと面白いシーンになっていますので、ぜひ楽しんでいただけたらなと思っております」とにこりと微笑んだ。 鳴沢村出身で信虎の小者・小助役を演じる青山は、鳴沢村の思い出を尋ねられると「今日は鳴沢のほうから同級生と担任の先生が来てくれているんです。山梨でも“村”っていうのは今でも珍しくて、小学生の頃になぜか村役場に『村は恥ずかしいから町に変えてくれ』とみんなで村長さんにお願いに行って、村長さんから『村は村でいいんだよ』と優しくたしなめられて、記念写真を撮って帰ったという思い出がありますが、今となっては素敵な村のままでいてほしいなと思っております」とエピソードを明かし、自身の出演シーンでの注目ポイントについては「僕が蹴鞠をさせていただくシーンがあるので、平日の昼間からおじさんが蹴鞠を一生懸命練習した成果をよかったら見てください」とアピール。これに寺田は「地元出身でこういう機会があるのは素晴らしいなと思いますね。私は東京出身なんですが、東京の武将をやっても友だちなんか来てくれません」とぼやいて笑わせた。 また、織田信長が武田勝頼を晒さらし首にした際の考察が載っているクリアファイルがグッズ販売されているそうで、その文章を考えたという平山氏は「あの考察は完全なるフィクションで、あの当時はどういうさらし首だったのか、調べたんですけどわかりませんでした」と告白し、「なので、江戸時代のものを参考にして、4人の名前と年齢を書いて、普通だったら京都の三条河原でさらし首にしたので、史実に近いということであれば、京都所司代の村井貞勝の花押を捺すのが原則であろうと思ったんですけど、映画ですので見栄えよく、信長の天下布武の印を捺せばいいんじゃないかという風にして、あの形になりました」と打ち明けた。 そして、宮下監督は、なぜ武田信玄ではなく、信虎を主人公にした映画にしたのか尋ねられると「2018年にネタを探していたときに、2022年が信玄公の450回忌なので、信玄公の映画を作ろうとなりました。地元の方にうちのスタッフが相談しましたところ、来年(2019年)信虎公の銅像ができるし、開府500年だよというアドバイスをいただきまして、信虎が面白いねということで、信虎の映画になりました」と経緯を説明し、役者陣の演技については「平山先生が先日おっしゃっていたように、寺田農さんは信虎が乗り移っていると。私も現場でそう思いました。ほかのキャストの方も戦国時代は言葉や所作が難しいと思うんですけど、みなさん勉強されて、真面目に取り組んでいただいて、素晴らしい作品になったと思います。本当にありがとうございます」と感謝した。 そんな宮下監督の言葉に、寺田は「(甲府駅)北口にある信虎像というのはいいものですね。ちなみに、私にそっくりだというもので、(電車を)降りてからちょっと見てきたんです。 “こんなクソジジイみたいな顔じゃねえよ”と思いましたね(笑)」と茶目っ気たっぷりに笑い、最後に「甲府というお膝元で先行公開したのですから、みなさまはお帰りになったらすぐ、どなたにでもいいので電話してください。メールもしまくってください。これに甲府の将来はかかっています。信虎、信玄、勝頼が達成できなかった全国制覇を、(開府)500年後のこの映画でしたいと思います。ここから火がついて全国公開に向けて燎原の炎のようになっていくといいですね。『電話をしろし』、『メールをかけるじゃん』。お願いします」と若者言葉を交えて観客に訴えた。 |
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映画「信虎」11月12日(金)よりTOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ梅田ほかにて全国公開。 |
寺田 農/谷村美月・矢野聖人・荒井敦史/榎木孝明・永島敏行・渡辺裕之/
隆 大介・石垣佑磨・杉浦太陽・葛山信吾・嘉門タツオ/左伴彩佳(AKB48)・柏原収史
伊藤洋三郎・川野太郎・螢 雪次朗・安藤一夫・堀内正美・永倉大輔・井田國彦・橋本一郎・剛たつひと・
西川可奈子・鳥越壮真/北岡龍貴・外波山文明・水島涼太・大八木凱斗・井藤 瞬・森本のぶ・奥山眞佐子・小堀正博
監督:金子修介 共同監督・脚本:宮下玄覇 音楽:池辺晋一郎
製作総指揮・企画・プロデューサー:宮下玄覇 プロデューサー:西田宣善 協力プロデューサー:榎 望
撮影:上野彰吾 照明:赤津淳一 録音:原川慎平 美術・装飾:宮下玄覇・籠尾和人
VFXスーパーバイザー:オダイッセイ 衣裳:宮本まさ江 特殊メイク スーパーバイザー:江川悦子
編集:宮下玄覇・山本浩史 整音・ダビング:臼井 勝 音響効果:丹 雄二
武田家考証/字幕・ナレーション協力:平山 優 プロダクション統括:芳川 透
カラーグレーディング 広瀬亮一 スクリプター:奥井富美子 時代考証・キャスティング:宮下玄覇
演技事務:出射 均・早川喜貴・関根浩一 スチール:制野善彦 題字:森田彦七(『乱』揮毫・今井凌雪門下)
製作担当:丹羽邦夫・安達 守 助監督:村上秀晃 西山太郎 美術装飾担当 助監督:生駒 誠
製作:ミヤオビピクチャーズ
2021年/日本/日本語/カラー/ワイド/ステレオ/135分/
配給:彩プロ PG-12
©ミヤオビピクチャーズ