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2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災発生。 そして福島第一原発事故。日本人誰もが経験し、全世界が震撼した福島第一原発事故の関係者90人以上への取材をもとに綴られたジャーナリスト、門田隆将(かどたりゅうしょう)渾身のノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)原作の映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)が、3月6日(金)に全国公開。 その公開を記念して、ジャーナリスト・池上彰さんを迎えたトークイベントが行われました。 映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ) 池上彰トークイベント |
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イベントに登壇したジャーナリストの池上彰は、「海外のメディアは“Fukushima 50”と呼びましたが、実際に現場にいたのは69人でした。
さらにはその方たちだけでなく、数百人の人がずっと周辺にいた。当時は大変だったろうなと思いますが、実際に起きたことを一つ一つ観ることで、あの時に断片的に見ていたことを改めて確認できました」と映画の感想を語った。 そして、劇中でも50歳以上の作業員から現場に向かうという描写があったように、池上が実際に原発に行ったときも「現場のあの緊張感程ではないが、もう子育ての終わった年配の男たちだけで行こうとなりました」と当時を振り返る。 池上さんは、放射性物質は発生するときに熱をもち、その熱を冷やすためにどうしても水が必要だが、冷却のための水は低温で沸騰しないように循環されており、その循環にも電力が必要になる。その電力は(福島第一で作った電気ではなく)東北電力の電気を使用しており、東日本大震災ではその送電線がやられてしまったということ。(※福島第一原発で作られた電気は全て関東圏へ送られている) また、非常用の電源・自家発電装置があったが、この自家発電装置が地下に設置されていたことで、結果として水が地下に入り非常用電源が止まってしまったということ。また、その非常用電源は福島第一原発の所在地が標高が10mに位置しており、「まさか津波が高さ10mも来るわけない」という考えのもとで設計されたものだったこと。そして、電力がなくても、なんとしても冷やさなければいけない。海水注入をやれとなると、本店と官邸が出てくる。本当にやっていいのか、という歯がゆい話がおきたのだと、当時の出来事を解説した。 劇中で渡辺謙がいた、免震重要棟の緊急時対策室について、池上は、原発が建設された当時はその設備もなかったと語った。(免震重要棟は、大地震が来ても倒れないような建物であり、そして、非常事態が起きた場合、放射性物質がでるため、それに対応するための、一人一人をチェックしてなかに入れるというフィルターの仕組みが備わっている。東日本大震災の時には何とか間に合って存在していた。これがなかったらもっと大変なことになっていたのだと解説。 そして、「今もコロナウイルスの対応と向き合う人がいるように、そして、映画で描かれた“Fukushima 50”のように、本当に責任感をもって現場で戦っていらっしゃる方が大勢いる。今回の映画を観て、本当にあの人たちのおかげで、とりあえずの危機を免れたこと。あの人たちの努力に報いるためにも、これからのことを考えていかなければならない」と思いを語りました。 |
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映画『Fukushima 50』
公式HP: twitter: あらすじ |
出演:佐藤浩市 渡辺謙 吉岡秀隆 緒形直人 火野正平 平田満 萩原聖人 堀部圭亮 小倉久寛 和田正人 石井正則 三浦誠己 堀井新太
金井勇太 増田修一朗 須田邦裕 皆川猿時 前川泰之 Daniel Kahl 小野了 金山一彦 天野義久 金田明夫 小市慢太郎 伊藤正之 阿南健治
中村ゆり 田口トモロヲ 篠井英介 ダンカン 泉谷しげる 津嘉山正種 段田安則 吉岡里帆 斎藤工 富田靖子 佐野史郎 安田成美
監督:若松節朗
脚本:前川洋一 音楽:岩代太郎
原作:「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将(角川文庫刊)
製作:KADOKAWA 配給:松竹、KADOKAWA
© 2020『Fukushima 50』製作委員会