この度, 美術ドキュメンタリー映画”京都「やまと絵師」物語”(英語題名:The Untold Story of a Samurai Painter in Kyoto)がロスアンゼルス日本映画祭2020にて最優秀映画賞(The Best Feature Film Award)を受賞しました。 https://www.jffla.org/ 今回15回目の開催であるこの映画祭では、長編映画が最終的に4本選出され、そのなかで、この映画が最優秀映画賞。 映画は、日本の伝統絵画様式である「やまと絵」をテーマに、幕末から明治初期にかけて「やまと絵」に人生のすべてをかけた3人の「やまと絵師」の作品と生きざまを描いています。製作・監督は、村上清治。 |
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村上監督の喜びコメント この栄えある賞をいただいたことで、日本においても、中々映画の題材として取り上げられる機会もなく、また、海外においてもほとんど知られていない「やまと絵師」の物語を、この映画を通して世界で見て頂く機会が俄然と拡がりました。3年の製作期間を経て完成させた作品で、前進座の優れた役者さんたち、そして若き作曲家の那須祐介さん、そして英語版ナレーターのマーク・カーペンティアさんと日本語 ナレーターの濱中博久さん、そして撮影に協力して頂いた方々の協力があってこそ、この賞の受賞が実現できたと思っております。今後も、日本の素晴らしい芸術の世界を、ドキュメンタリーやドラマの手法を通して映像化し、日本だけでなく世界で見て頂けるようにしていきたいと思っております。 |
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Youtube上にて受賞発表をご覧いただけます。 受賞場面は頭から22分29秒ぐらいから23分43秒あたりまで。 |
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美術ドキュメンタリー映画 京都「やまと絵師」
https://www.samuraipainter-cinema1.com/ 冒頭は、江戸末期に優れた京都の「やまと絵師」であった冷泉為恭が殺害されるというシーンから始まる。平安朝の雅な文化に憧れ心酔する為恭は、尊皇派とみられていた。しかし、平安時代の名だたる絵巻を保有する幕府側の屋敷に頻繁に出入りしていた。目的は平安絵巻を模写し自らの技量を高めるためであったが、尊皇派の情報を幕府側に漏らしていると疑われ、無残にも殺害されてしまう。 しかし、為恭が身命を賭して模写した絵巻は、時を超えて現代に伝わっている。 絵師としての「こころざし」は、凶刃にも絶えることはなかった。その絵巻は忠実な模写であり、何よりも、剥落した部分であっても有職故事に則り正確に再現されている。 この美術ドキュメンタリー映画は、冷泉為恭や、「やまと絵派」の祖である田中訥言、そしてサムライから絵師となった榊原文翠の作品の数々と、それぞれの絵師の「生きざま」を描いていく。 同時に、江戸末期に活躍した葛飾北斎や酒井抱一など浮世絵や琳派にも触れる。 物語は更に続く・・・。 幕末の日本絵画爛熟期を経て、明治維新の世となり、かつての「都」京都は次第と衰退していく。 京都絵師たちも苦境に立たされる。天皇が京都御所を去ったことで、公家たちからの発注も途絶え、経済的な打撃を受けた。御所を中心とした芸術文化も途絶えそうになる。 しかし京都市民は真っ向から、この問題にあたった。経済復興のための大規模プロジェクトを立ち上げ、例えば四回内国勧業博覧会の開催や平安神宮の創建など次から次へと事業を進めた。 文翠は青年期に、江戸随一の絵師である谷文晁に絵画を習った。しかし明治維新を期に京都に移住し、日本初の画学校で14年間日本画を教えた。 数多くの作品を残しながら広く世に知られていない文翠であるが、1893年に米国シカゴで開催された万国博覧会での作品展示や、平安京の創建者である天皇像を描いた「やまと絵師」であった。 日本伝統の「やまと絵」は、今、グローバルに広がり、米国出身の作家によっても華麗に花開いている。日本画家アラン・ウエスト氏の作品は日本のみならず海外でも広く高い評価を受けている。「やまと絵」は、時代を超えて、人々を魅了し続けている。 千年以上ものあいだ、人々の心を豊かに潤し彩ってきた。 |