この秋冬に連続して公開となる、今もなお絶大の人気を誇る2人のジャズトランペッターを描いた映画
『ブルーに生まれついて』 『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』 公開を記念して都内ジャズ喫茶のマスターを招き、<2016年を締めくくるJAZZ映画2選>として連続上映の特別試写会を行い、その後のトークショーにジャズトランぺッターの日野皓正氏、音楽評論家の柳樂光隆氏 が登壇しま した。 ジャズ喫茶のマスター達が大集結! ジャズトランぺッター、日野皓正が登場、 伝説のミュージシャン達との秘話が続々に! 試写付トークイベントのご報告 日程:11月13日 (日) |
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日野さん:僕は(映画みたいに)歯を折られたり、殴られるような喧嘩をしたことがないから、食べるために吹かざるをえないんですよ(笑)。 吹くことだけしかできない、そのためだけに生まれてきたんだよ。あとはゴルフとスキーもやるけど、それはトランペットのための筋力(トレ ーニング)みたいなものだから。 柳樂さんが吹けないと思ったことあるかを聞くと。 日野さん:それはしょっちゅうですよ。デイヴ・リーブマン(サックス、フルート奏者)のバンドに出ていた時、デイヴが『明日マイルスの病院に見 舞いに行くんだけど何か言いたいことないか?』って言うから『僕は上のくちびるがしょっちゅう水ぶくれが出来てしまうんだけど、どうしたら いいか聞いて』って言ったの。そしたらマイルスからは「下のくちびるをもっと使え」っていう返事だった。僕の奏法を見たことないのに!と 思っていたんだけど、最近 70 歳くらいで(そのことを)思い出して試したらすごくいいんだよ!やっぱりマイルスは俺のオヤジだよなーって 思ったね。正しい吹き方なんて学んだことがないから、中学3年生の時に新宿のキャバレーで呼ばれて吹きに行ったけど、いじめられ てさ、泣きながら帰ってたんだから!(笑)。 |
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ジャズ喫茶マスターからの質問
Q:音楽が変わっていくことについて 日野さん:マイルスは衣は違って見えるけど、吹いている中身は一緒なんだ よな。僕ら(プレイヤー)も悩むんですよ。観客が求めているものもあるけ ど、次の時代やスタイルをクリエイトしなきゃっていう気持ちがアーティスト にはあるから。たかがジャズだしされどジャズじゃない!って思うんだよね。 このことについては死ぬまで葛藤すると思うな。 Q:チェット・ベイカー、マイルス・デイヴィスとは!? 日野さん:俺たちからみたらチェットの人生はかわいそうじゃないですか。だからあんな音が出るんだよね。寂しい人だったけど、どんな環境の中でも 自分の歌を貫いて魂で演奏する人だった。マイルスについては、何やっ たってアートになっちゃう、新しい手法、音楽を生み出すあの芸術感覚はすごいよね。 予定時間を大幅に超えながらも、有名ジャズミュージシャン達とのエピソードや秘話が次々と繰り出され、日野節に引き込まれる 濃密なトークイベントとなりました。 |
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『ブルーに生まれついて』
東京国際映画祭2015 コンペティション部門 アメリカ・カナダ・イギリス合作映画/上映時間:97分 |
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『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』
2016 年ベルリン国際映画祭 正式出品 |