角川映画誕生から40年。「読んでから見るか、見てから読むか」をコピーにした書籍との連動や、当時はまだ珍しかったテレビを使っての宣伝といったメディアミックス展開を行ない世の中に一大旋風を巻き起こした【角川映画】。 1976年の第一弾、今や伝説となった巨匠・市川崑監督の『犬神家の一族』に始まり、昭和時代終了の1988年宮沢りえの映画デビュー作『ぼくらの七日間戦争』まで、パワー溢れる48作品を「角川映画祭」at 角川シネマ新宿にて一挙上映中。 映画祭開催を記念して『Wの悲劇』の三田佳子さんと澤井信一郎監督がゲスト登壇する舞台挨拶が行われました。 昨年女優生活55周年を迎えた三田佳子が語ったのは・・・。 「角川映画祭」 三田佳子 舞台挨拶 |
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大女優のオーラをまとって、大きな拍手の中、三田佳子さんと澤井信一郎監督が登壇。 MC:32年ぶりに観ていただきましたが。 澤井監督:嬉しいですね。作った興奮がよみがえってきます。 三田さん:今見たばかりなのに、32年もたっちゃって。申し訳ない気がします。32年もたって超満員!水野治夫さんだったら「映画っていいですね」って言ってるわね。 MC:公開時凄い大ヒットした作品。主演の薬師丸さんを女優に導く大女優役を演じられていますが。 三田さん:台本いただいた時に、大女優の役なんて嫌って思いました。監督の名前も知らないしと思って会ってみたら東映時代にお世話いただいた澤井ちゃん。で、出て欲しいと言われたので、アイドルのひろ子ちゃんだけど、アイドル映画じゃなくて、若い新人女優と大先輩の大女優が拮抗して戦う映画なら出るわと。やらせていただきました。 澤井監督:助監督の時に知り合って。 MC:三田さんの演技の演出は? 澤井監督:三田さんの役の性格が激しいのではなくて。演じることの業に取り込まれた女優に描きたかったんです。 女優の業をバックステージ物で作りたかったと監督。すると三田さんは、
と、久しぶりに見た本作の感想。この映画で大女優=三田佳子と認識したクドカンさんやマツコ・デラックスさんが絶賛しているのは有名な話。 三田さん:ホテルでひろ子ちゃんを引き留めるところは、なり切ってたので戦いでしたね。あざだらけでしたね。 澤井監督:長回しで4-5回テイク重ねたからね。当時はフィルムだったので、その長さでカット割りしてましたから。撮影監督の仙元さんの画が良かったよね。 と、撮影当時を振り返ります。 |
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MC:三田さんの凄い演技は多々ありますが、幹部たちが客席に集まってスキャンダルの渦中の主役をどうするか話しているところに三田さんが登場するところの演出は?
澤井監督:嘘を本島と演じ切らないといけないわけですから、真剣勝負。演技の業を出してもらうしかないので。最初は事務所みたいなところで劇団会議で想定してて、それでは、業も動きもでないので場所を変えたんです。 三田さん:ひどいでしょ。皆さんが座っているところに、蜷川幸雄さんはじめ、そうそうたる俳優さんたちが座ってるところに出てきて「あなたは女使わなったの!?わたしは使ったわよ」って。絶対絶命。死んでも上手くやるという勢いで演じました。そのあとに、蜷川さんがよってきて「いいね。もっとやれよ」って!褒め言葉だと思ってます。 澤井監督:蜷川さんは脚本の段階で決めてました。役者としてね。 三田さん:舞台部分は蜷川さんが演出してくれました。なので演出が2人いる二重構造なんですよね。映画の世界と舞台の世界で演技を分けてました。 澤井監督:演技の二重性も最初からの狙いでした。 |
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当時、大人気の絶頂期の薬師丸ひろ子で青春映画を撮るにあたって
澤井監督:相米君たちが10代の彼女でよい映画を撮ってましたのでね。20歳になった彼女は、当時、学業と女優で揺れていたで演技から逃れられないように追い込みました。三田佳子さんと拮抗できる女優にしたいと。 三田さん:そうね。かわいいけど芯のある子で頑張ってましたね。32年足せばね。彼女の原点がここですよね。 MC:最後のシーンは違うシーンの案もあったとか? 澤井監督:最初今の形で考えていたんですけど、公開がお正月映画だったので、最後だけハッピーエンドにしなくてはいけないかと書いたものも用意したんですけど。角川さんの方からハッピーエンドにしなくてよいと言われて元に戻したんです。当時の大手の映画ではできなかったので。角川映画でよかったです。 伝説的な今のラストになった理由も聞けた角川映画好きには大満足なイベントとなりました。 |
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『Wの悲劇』 大女優×新人女優の役をめぐる攻防-。三田佳子、薬師丸ひろ子の熱演!“女優”映画の傑作。 劇団の研究生である志津香は新作の準ヒロイン役に落選、端役となってしまうが、そんな矢先にある大スキャンダルが発生する・・・。 夏樹静子の原作を劇中劇に内包するという大胆にアレンジ。 世良公則、高木美保、蜷川幸雄などの豪華共演陣にも注目の作品。 監督:澤井信一郎 キャスト: 撮影:仙元誠三 1984年/カラー/109分 |
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「角川映画祭」7月30日(土)~9月2日(金) 角川シネマ新宿にて48作品一挙上映中! 角川映画祭公式HP ≪「角川映画祭」 トークイベント≫
・7/31(日)10:30『Wの悲劇』上映後
配給:KADOKAWA |