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初日舞台挨拶

 
10月12日(土)に東京・シアター・イメージフォーラムにて映画『ピアニストを待ちながら』の初日舞台挨拶が開催。井之脇海、木竜麻生、大友一生、澁谷麻美、斉藤陽一郎、七里圭監督が登壇しました。
 
本作は、世界的建築家・隈研吾が手掛けた村上春樹ライブラリーで全編を撮影。出られない図書館を舞台に、目に見えないものに紐付けられた若者たちの物語を描く作品です。
ピアニストを待ちながら
 
初日舞台挨拶
日付:10月12日(土)
場所:東京・シアター・イメージフォーラム
登壇:井之脇海、木竜麻生、大友一生、澁谷麻美、斉藤陽一郎、七里圭監督

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キャスト&監督登壇

 
本編の上映後に行われたこの日の舞台挨拶。瞬介役の井之脇は「本当は余韻を楽しんでほしい映画なので、今、素の僕たちがいるのはなにか申し訳ない」と言いつつ、「割り切って色々お話できたらなと思うのでお付き合いください」とコメント。
 
澁谷は観客の表情を眺め「皆さん大丈夫ですか。迷子になったみたいな顔をしていませんか(笑)。不思議な映画に触れた直後で、こうやってご挨拶をするのも不思議な感じです」と本作への反応を楽しんでいた。
 
もともと村上春樹ファンであったという井之脇だが、出演オファーを受けた心境を問われると「村上さんもそうですが、まずは七里さんの作品に出られるということがうれしかったです」と告白。「大学生の頃、めちゃめちゃ映画館に通っていて、色々な監督のことを調べたりする中で、『七里さんという奇才がいるな』と思っていた」と自身の学生時代を振り返りつつ、「『七里さんの才能に村上さんの世界観が混ざるとどんな科学反応が起きるんだろう』『そこに飛び込むのが楽しみ』というのが最初の印象でした」と語った。
 
役作りについては「僕はその世界に迷い込む人の役なので」と前置きし、「地に足を着きすぎないように、でもなぜかドンとしている、みたいなところをやろうと思っていました」と告白。演奏の吹き替えを行わずに撮影したピアノのシーンにも触れ、「宇波拓さんという、もともと交流があった素敵な音楽家の方が曲を書いてくださって、かなり練習をしました。色んな作品でピアノを弾いてきましたけど、自分の生音を使っていただける機会はなかなかないので、今回はそれが叶ってとてもうれしいですし、僕にしか出せないシーンになったのかなと思っています」と喜びを口にした。
 
貴織役の木竜は、劇中のダンスシーンについて、「井之脇さんが本当にピアノを弾いていただいている音に合わせて練習をさせてもらいました。大友くんと一緒に試行錯誤しつつ、『疲れたぁ』と言いながら足腰を動かしてダンス練習をした」と練習期間を回顧。新体操の経験もある木竜は「『絶対にこう踊ってください』と形がしっかり決まっているわけではなく、大友くんは大友くんの踊り方、私は私の踊り方を尊重していただいていたので、自分が新体操をやっていた流れの延長で踊りをさせていただいていたのかなと思います」とも明かした。
 
一方、行人役の大友は、村上春樹ライブラリーでのダンスを「稽古場と距離感が違うから、何歩で進んで何歩で振り返って、と数字的なところでもダンスを作っていったところがあります。実は結構、緻密にダンスをしていました。朝まで踊り続けていました」と振り返った。
 
また、絵美を演じた澁谷は「七里さんは私を混乱させるのが上手な人だという印象がある」と吐露。「台本を読んでみて『すごく女性を感じさせる世界を持っている役だな』と思って、今までそういう役を演じたことがあまりなかったので、混乱した」と続け、「現場に入る前に七里さんにあるDVDをお借りして、その作品を見てまた混乱して(笑)。本当にすごく混乱させられた作品でしたけど、だんだんその掴みどころのなさみたいなものを楽しんでいけたような気もする」と打ち明けた。
 
そして斉藤は、自身が演じた出目について「考えれば考えるほど分からなくなってくる」と言い、「ずっと“ピアニスト”ってなんだろうとずっと考えていました。考えだしたらよく分からないし、監督に聞いても絶対教えてくれない」とぽつり。七里監督が「割と問われましたね」と頷きつつ、「分かっていないんですよ」とかわすと、斉藤は「『自分にとっての“ピアニスト”ってなんだろう』と皆さんが思って帰っていただければ一番いいのかなと思う」と観客に伝えた。
 
本作を手掛けることになった経緯を尋ねられた七里監督は「もともと村上春樹ライブラリー、国際文学館の開館記念のイメージ映像として建設工事の記録みたいなものを頼まれたんですが、ひょんなことで『どうせなら開館記念映画を撮りませんか』という話をいただいた」と回答。出演者については「ここにいらっしゃる皆さんがその世界を生きてくれた、そしてさまよってくれた痕跡のようなものが映画に結実したんだと思います。誰一人、違う俳優さんだったら全然違う映画だったと思います。この映画はここにいる5人だからこの映画になった」と力を込めた。
 
井之脇は今作を「この映画を作っている時も、そして今も尾を引いていますけど、社会的に色々なことが変わって、これからも何かが変わってしまうような中で、この世界とはなんなのか、目の前の人はなんなんだろう、本当にいるのかいないのか、そこにいなくても“不在”なんじゃないかとか。そういったことがふんだんに込められた映画」と表現。次に「僕は本当に純粋に好きな映画です。正直、僕も分かりきっていないし、分からないところもたくさんありますけど、それも笑いながら観てもらえたらいいなと思っています」「どの映画もそうですけど、この映画は特に映画館で観なきゃだめな映画だと思う」と呼びかけた。
 
最後には七里監督が「不思議な夢を見た後、目覚めてから『なんだったんだあれは』と思うことが皆さんもおありだと思うんですけど、そういう感じでこのヘンテコな映画を『あれはなんだったんだろう』と考えてくださったらうれしいです。そしてそういう映画があったということを広めていただけるとうれしいです」とメッセージ。加えて「分かりやすさばかりが価値のあるもののように圧がかかっている世の中なので、『分からない』ということを楽しむ余裕が必要なんじゃないかな。特に若い人たちを見ているとすごく真面目なので、もう少し気楽に行こう、と思います」とまとめた。

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『ピアニストを待ちながら』

 
10月12日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
 
公式HP:
@pianist
 
公式X:
https://x.com/pianistmovie
 
ガラスの向こうは明けない夜。自動ドアはいつでも開くが、どういうわけか外には出られない。どこにも行けない理不尽な状況で、居合わせた男女5人は、なぜか芝居の稽古に興じ始める。まるで、幽閉されたことに甘んずるかのように。そこにはいない誰か、不在の視線を意識しながら……。
 
このおかしな物語は、私たちが経験したコロナ禍や、今や当たり前になったオンライン、SNSでの非対面コミュニケーションの奇妙さを暗示している。20世紀の不条理は、すでにリアル。私たちは、いつも不在の相手につながれて、待たされて、くたびれている。サミュエル・ベケットの有名戯曲を思わせる題名に、その意図が込められている。

 
映画の舞台となるのは、世界的な建築家の隈研吾が手掛けた、村上春樹ライブラリー。村上文学をイメージした迷宮的空間で全編撮影されたことも、見どころの一つだ。 本作は、この村上春樹ライブラリー(早稲田大学国際文学館)の開館記念映画として製作された短編をもとに、約1時間の劇場公開(ディレクターズカット)版として完成された作品である。
 
主演は、若手実力派の井之脇海。『東京ソナタ』(08)の天才ピアノ少年、『ミュジコフィリア』(21)の現代音楽に目覚める学生を更新するように、本作でも吹替なしのピアノ演奏を披露している。共演には、『福田村事件』(23)『熱のあとに』(24)など話題作の出演が続く木竜麻生とともに、『カゾクデッサン』(20)『劇場版 美しい彼〜eternal』(23)の大友一生を抜擢。そして、『王国(あるいはその家について)』等で鮮烈な印象を残す澁谷麻美、故青山真治監督作品で常連のベテラン俳優、斉藤陽一郎がわきを固める。
 
監督は、今年デビュー20周年を迎える七里圭。劇場初作品の『のんきな姉さん』(04)で注目され、カルト的な人気を誇る『眠り姫』(07/サラウンドリマスター版16)や『DUBHOUSE』(12)、「音から作る映画」プロジェクト(14〜18)、『背 吉増剛造×空間現代』(22)など、常に先鋭的な作品を生み出してきた異才である。唯一無二のフィルモグラフィーを重ねる七里にとって、本作は久々の劇映画となる。
 
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』
『ピアニストを待ちながら』

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出演:井之脇海 木竜麻生 大友一生 澁谷麻美  斉藤陽一郎
 
監督・脚本:七里圭
プロデューサー:熊野雅恵 
撮影:渡邉寿岳 
照明:高橋哲也 
録音:松野泉 黄 永昌 音楽:宇波拓 
編集:宮島竜治 山田佑介 
制作・配給:合同会社インディペンデントフィルム 
2024年/日本/カラー/61分/ヨーロピアンビスタ/5.1ch /DCP
©合同会社インディペンデントフィルム/早稲田大学国際文学館
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