各グランプリ・審査員賞発表
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各賞受賞メッセージ&審査員コメント 【短編コンペティション】 ★グランプリ 作品名:「美しき男たち」(Beautiful Men) 監督:ニコラス・ケッペン(Nicolas Keppens) 審査員コメント:丹念に作り込まれた撮影と構図が印象的な作品です。外見と内面の葛藤による緊張感を保ちながら、ステレオタイプに対してニュアンスに富んだ批判を盛り込んで、「男らしさ」をめぐる複雑さを激しく探求しています。その優れたストーリーテリングと見事な演出は、観客を魅了するだけでなく、男らしさとアイデンティティに関する議論にも有意義な視点を提供し、グランプリの受賞にふさわしいと考えました。 ※ニコラス・ケッペン監督ビデオメッセージ 今ベルギーは深夜です。今夜はとても暑くて眠れなくて、そこでインスタを開いたらちょうど配給会社からDMが来ていまして、それで今回の受賞を知りました。今他の同居人が寝ていてあまり大きな声を出せないのですが、受賞にとても驚き、とても嬉しい気持ちです。審査員の皆様、映画祭関係者の皆様、ご来場の皆様、本当にありがとうございます。次回はぜひ広島に伺いたいと思います。 ★「社会への眼差し」賞 作品名:「バタフライ」(Butterfly) 監督:フローレンス・ミアイユ(Florence Miailhe) 審査員コメント:美しく豊かな色彩、シンプルで鮮やかなアニメーション、誠実で繊細なナレーションが一体となって、深い愛に満ちた大作を作り上げています。 ※フローレンス・ミアイユ監督ビデオメッセージ 今、フランス南部のスタジオで撮影しています。この度は賞をいただきとても嬉しいです。この作品は、ユダヤ人であったがために強制収容所に送られてしまった水泳選手の物語で、今私たちの世界で起こっていることと強く関わっている作品だと思います。 ★「寓話の現在」賞 作品名:フシギなフラつき(Wander to Wonder) 監督:ニーナ・ガンツ(Nina Gantz) 審査員コメント:放棄と郷愁の感情を深く掘り下げている。この映画は、放棄とノスタルジアの感情を深く掘り下げ、これらのテーマを複雑で深みのあるレベルで表現している。一コマ一コマが丹念に作り込まれ、息をのむようなストップモーションの見事さを見せてくれる。忘れ去られ、老いていく3人のテレビ人形スターたちの物語は、ダーク・ユーモアに彩られた不気味な雰囲気の中で、クレジットが流れた後も長く残るほろ苦い余韻とともに、魅惑的な体験を生み出している。 ※受賞者来場なし ★「虚構世界」賞 作品名:熱帯の複眼(Compound Eyes of Tropical) 監督:ジャンシュウ・ジャン(Zhang Xu zhan) 審査員コメント:駒撮りとそのリズム、サウンドデザインも含めた素晴らしい映画体験。 素材の使い方に愛情を感じる。カメラの動かし方が素晴らしく、有機的な空間を常に操り、物語に貢献している。 ※受賞代理登壇:陳亮潔 / CHEN, LIANG-JIE(アニメーター)コメント:映画祭のみなさま、審査員のみなさま、作品に関わったスタッフのみなさま、本当にありがとうございます。 ※ジャンシュウ・ジャンビデオメッセージ 広島の観客の皆様本当にありがとうございます。今回は日本に来られず本当に残念ですが、代わりにアニメーターの陳亮潔が賞を受け取りに広島に来ています。また次回はぜひ広島の皆様にお会いしたいですし、ぜひ台湾に来てください。バイバイ! ★「光の詩」賞 作品名:東方の雨(The Eastern Rain) 監督:ミリー・イェンケン(Milly Yencken) 審査員コメント:実験を深め、成長しながら道を模索していく作品です。修辞的な形象、形式的、感情的な表現形式を驚くべき方法で発見している。この作品は、その絶妙なサウンドワーク、物質的なディスプレイ、変幻自在の映像構成で際立っている。記憶と夢の間で、この作品はふたつに分かれた自己を創り出し、風景と融合して再出発する。 受賞コメント:賞をいただきありがとうございます。上映を観たときには、こんなに繊細な作品と力強い監督たちの中で、自分が一番小さな草の葉のような気持ちになっていました。なので、受賞できるなんて信じられませんでした。「光の詩」などという名前の賞をいただけてとても感動しています。なぜなら、それが私がこの映画が目指すものだといつも願っていたからです。 【長編コンペティション】 ★グランプリ(観客投票)※審査員なし 作品名:シロッコと風の王国(SIROCCO AND THE KINGDOM OF THE WINDS) 監督:ブノワ・シュー(Benoit Chieux) ※受賞者来場なし 【環太平洋アジアユースコンペティション】 ★グランプリ 作品名:私は、私と、私が、私を、(me,me,me,me,) 監督:伊藤里菜(Ito Rina) 審査員コメント:ドキュメンタリー的にドライな虚無感で描かれる日常の中に、その水面化で塒を巻く感情が触覚的に対比される。誰もが持っている(はずの)身体と自意識の距離感が、映像的に呼び覚まされ、観る者に不思議な共感を生む。「…楽しい!」という言葉がこれほどまで複雑に・不穏に聞こえたことはない。 受賞コメント:受賞できるなんて思ってなくて。本当に嬉しいです。ずっと2年ぐらい作ってきたので、報われる気がします。ありがとうございます。 ★ムン・スジン賞 作品名:黴(Mold) 監督:シ・セッセイ(Shi Shengxue) 審査員コメント:私たち観客は、キャラクターの仕草や表情で行動を「感じる」ことができます。変化する質感を通して、感情が効率的に描かれていきます。この映画が示すのは、フレーム内のあらゆる面を無制限にデザインすることが可能なアニメーションとは、動き、色、質感、レイアウト、音などを通して感情を表現できるのが魅力であるということです。映像表現を通して観客に触覚を体験させる、とても面白い映画でした。 受賞コメント:特に今日は体調もよくなくて、熱が出てきて、頭が痛いとき急に自分の名前が呼ばれてびっくりしました。本当にありがとうございます。続けてアニメーションを作りたいです。ありがとうございます。 ★ステファン・オビエ賞 作品名:ゾウのかたち(Shape of the Elephant) 監督:サム・クワ(Sam Kuwa) 審査員コメント:希望、欲望、フラストレーションに満ちた、人生のとある瞬間についての映画です。 受賞コメント:2年前の広島アニメーションシーズンで、好きな監督ステファン・オビエさんに一票を、今年向こうから選ばれて、とても神妙な体験でした。素敵な作品を作った素敵な監督から素敵な賞をいただき、まだ勉強中の私のような作家にとって、大きな励みになります。ありがとうございます! ★山下宏洋賞 作品名:ポストヒューマン病棟(The Posthuman Hospital) 監督:ユニャ・キム(Junha Kim) 審査員コメント:本部門のノミネート作品には身体に関する表現が多かったが、この作品のアプローチには目を見開かされた。様々な症例を通して「ポストヒューマン」というコンセプトの限界点が提示されるようにも見えるが、その一方で“人間的であること”の輪郭がトレースされる。人間以後の世界に残るのは優しさ・皮肉・哀れみといった、意外に“人間らしい”感情なのかもしれない、と見終わって感じてしまった。 ※受賞代理登壇:チェ・ユジン(配給) ※ユニャ・キムビデオメッセージ まず、作品を見てくださいました観客の方々、審査員の方々、そしてフェスティバルのために一生懸命尽くしてくださいましたスタッフの方々、本当にありがとうございます。直接現地にてご挨拶したかったのですが、現在締め切り間近のプロジェクトがいくつかございまして、映像にて韓国からご挨拶させていただきました。素晴らしい知らせを聞き、とても嬉しいです。私が作業を通して行おうとしていた様々な視聴覚的な試みを良く捉えていただき、感謝しておりますし、嬉しいです。次の作品を企画中なのですが、今回も不思議な映画になるかと思います。また一生懸命頑張って、広島の皆さんにお会いできるよう、ベストを尽くしていきたいと思います。改めて本当にありがとうございます。皆さん、素敵な夜をお過ごしください。 【日本依頼作品コンペティション】 ★グランプリ 作品名:プチプチ・アニメ「春告げ魚と風来坊」(Tiny Tales: Haru-tsuge Fish and Fu-rai Boy) 監督:八代健志(Takeshi Yashiro) 審査員コメント:春の訪れをテーマにしたファンタジーのコマ撮り映像で、コマ撮りによって実際の時間の移ろいが感じられ、物語に引き込む力や自然の揺らぎがダイレクトに伝わってきます。セリフに頼らずに感覚で自然とのつながりを優しく思い起こさせる点が魅力的。 受賞コメント:とても嬉しいです。実は全部外でコマ撮りをした作品で、なかなか仕事としてやっていくときに人間が思ったように撮るのは難しいんですが、そんな中、時間をかけたり、あるいは状況に合わせて話を変えたり、やわらかい状況の中で作っていた毎日コーナーです。今日の午前中までこの番組のプロデューサーがいたんですけれども残念ながら帰ってしまったので、帰ってこの喜びを伝えたいと思っています。 ★川村真司賞 作品名:星宮とと+TEMPLIME「Mind Replacer」(HOSHIMIYA TOTO+TEMPLIME: Mind Replacer) 監督:大谷たらふ(Tarafu Otani) 審査員コメント:120秒弱という短い時間の中で 音と色とキャラクターが渾然一体となり、 かわいいときもちいいが凝縮された 何度も観たくなる素晴らしい映像でした。 受賞コメント:受賞できると思ってなかったのでびっくりしました。今回の作品は星宮ととさんとNBSNKさん、それからSOZEN OTSUBOさんとの4人の小さいチームで時間をかけて作ったので賞を取れて嬉しいです。特に音響を作っているSOZEN OTSUBOさんは前に出る人ではないので、ここで特に御礼を言いたいと思います。音響やエンジニアっていう仕事はアーティストの影に隠れてしまって見えないですけど、SOZENさんは仏教にルーツを持ちながら、音の空間というのを今までにない形で作る新しい世代の若いアーティストなので、本当に僕も刺激をもらいました。SOZENさんのスピリチュアルな要素とバーチャルシンガーの星宮ととさん、バーチャルとスピリチュアル、ちょっと離れているようででもどこかで輪になっているような、そんな世界観が作れたのはこの4人が揃っていたからだと思うので、世代も思想も超えて一緒に作った作品が受賞できてとても嬉しかったです。ありがとうございます。 ★出合小都美賞 作品名:Pass49e「白い悪魔」(Pass49e: White Devil) 監督:円戸サヤ(Saya Endo) 審査員コメント:余白を使った画面構成と尺感で、すっと物語の世界観に引き込まれました。揺らぐカーテン、揺らぐアニメーション。新しい表現の可能性を感じました 受賞コメント:とっても嬉しいです。この期間でいっぱい素晴らしいアニメーションを見て、就職しちゃったんですけどアニメーション作りたいなという熱意が湧いてきました。また受賞できるように毎日アニメーションのことを考えて作ります。 ★シシヤマザキ賞 作品名:刀雨「Be Gone」(Knivesrain: Be Gone) 監督:羅絲佳(Sijia Luo) 審査員コメント:私たちの目を人工知能に預けたら、万華鏡みたいなスコープで世界を見つめ始めた。綺麗、かわいい、きもい、こわい、が乱反射して踊り出す。その奇妙な質感は、もしかしたら遊びと学習に境目がないことを教えてくれているのかもしれません。 受賞コメント:シシさんから賞もらうのが一番嬉しいです。日本に来る前にアニメーションを始めた時にシシさんのアニメーションを見てたので、影響を受けた作家さんから賞をもらったのは嬉しいです。外国籍で日本で活動している人としては、もうちょっと外国籍、アウトサイダーの作家を日本で活動している人として認めてくれるといいなと思っていたり。作品で言いたいことは見ている人には伝わっているかなと思っています。賞をいただいたことに感謝を伝えたいです。 【観客賞(短編・アジアユース・日本依頼:3つの投票の中から1つ)】※審査員なし 作品名:ゲロゲロ・ショー(Croak Show) 監督:スレッシュ・エリヤット(Suresh Eriyat) 受賞コメント:この度は観客賞をいただきましてありがとうございます。この作品は映画祭出品は2つめなのですが、初めての受賞とても嬉しいです。そして観客賞で選んでいただけたことが本当に嬉しいです。ともにCGIを作ってくれたスタジオ、音楽を作ってくれた仲間、サウンドデザインをしてくれた仲間、本当に多くの方にご協力をいただきました。なにせ2年がかりのプロジェクトでしたので、ここですぐに名前を上げられない方もいるかと思いますが、本当にみんなに感謝の言葉を送りたいと思います。最後に、改めて観客の皆様にお礼申し上げます。この作品が上映されてからとてもポジティブな反応をたくさんいただきまして、本当に嬉しいです。 |
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【ひろしまアニメーションシーズン2024】概要
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