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『山女』公開記念舞台挨拶

『リベリアの白い血』『アイヌモシリ』の福永壮志監督の最新作『山女』が、6月30日(金)より全国順次公開を迎えました。柳田國男の名著「遠野物語」に着想を得た本作は、18世紀末の寒村を舞台に、過酷な運命に翻弄される17歳の凛(りん)の生き様を描いたオリジナルストーリー。昨年の東京国際映画祭コンペ部門での上映を皮切りに、香港国際映画祭、ドイツ・フランクリンで行われるニッポン・コネクション、ニューヨーク・アジアン映画祭、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭への出品も決定し、海外からも注目を集めています。

この度、主演・山田杏奈と出演・二ノ宮隆太郎、そして福永壮志監督が登壇する公開記念舞台挨拶が7月1日にユーロスペースで開催されました
『山女』公開記念舞台挨拶
映画『山女』公開記念舞台挨拶
日時:7月1日(水)
場所:ユーロスペース
登壇:山田杏奈、二ノ宮隆太郎、福永壮志監督

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山田杏奈、二ノ宮隆太郎、福永壮志監督

未曾有の大飢饉に襲われた18世紀後半の東北の村。先代の罪を負った家の娘・凛は、人々から蔑まれながらも逞しく生きている。ある日、凛の父親・伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こす。父の罪を被った凛は、自ら村を去り、禁じられた山奥へと足を踏み入れる。そこで、伝説の存在として恐れられる“山男”と出会い、凛の運命は大きく動き出す。福永壮志監督が「遠野物語」から着想を得た本作は、現代を生きる私たちに「本当の“人間らしさ”」を問いかける。主人公の凛を山田杏奈が演じ、驚くべき変貌で「山男」になりきった森山未來や、永瀬正敏、二ノ宮隆太郎、三浦透子ら実力派が集結し、村という共同体を形作る人々の姿を露わにしている。

上映後、大きな拍手に迎えられる形で登壇した山田杏奈、二ノ宮隆太郎、福永壮志監督。緊張した面持ちの二ノ宮と撮影以来2年ぶりの再会だという山田が「まつ毛が相変わらずチャームポイントですね!今日はゆったりコンビの舞台挨拶です。」と声をかけると、二ノ宮は恐縮した感じで「すみません、緊張しています。」と笑顔に。

柳田國男の「遠野物語」に着想を得た本作を今の時代に制作した背景を問われた福永監督は、「前作の『アイヌモシリ』を作ったときに、アイヌの昔話を通して、当時の人々の生活が伝わってきたんです。では、日本の民話、伝説からは何が見えてくるのか、という流れで「遠野物語」に行き着きました。そこで、人間と自然の関わり方や、社会の成り立ちなどについて感じた現代との共通点を映画にすることで、日本って、日本人ってなんだろう?ということを探求したいと思ったんです。その上で今制作する意味として、現代にも通じるものを脚本の中に織り込んでいきました。」と答えた。

自身が演じた主人公・凛(りん)に感じたことを聞かれた山田は、「今とは時代背景が違うんですけれど、自分の人生に翻弄されながらもとてもたくましく生きていて、強い人だなというのをまず最初に感じました。私だったら、あそこまでの環境に置かれたら諦めてしまうかもしれないようなことでも、凛は、自分が置かれた人生に屈しない人だなと思って、逞しさを感じました。」と語った。

その凛の人生にも大きく関わっていくことになる泰蔵(たいぞう)を演じたことについて二ノ宮は「自分は、凜にとっての役割を全うしようと思いました。はい。役割を全うしようと思いました。」と、まだ緊張した様子で同じことを2回言うと、会場からは大きな笑いが。山田がすかさず「2回言ってる!(笑)とにかく“役割”がキーワードになってますよね。」とつっこみつつ、二ノ宮をフォローしチームワークをみせた。

その二ノ宮のキャスティング理由について福永監督は、「二ノ宮さんの出演作や、監督作が好きで、とても人間臭くて、ちょっと昭和の雰囲気も感じる、良い意味で今はあんまり見ないタイプの役者さんだなと思って。」と、その魅力について語った。
一方で、山田杏奈のキャスティング理由について、凛のような逞しさと同時にどんな環境でも変わらない明るい雰囲気と目の輝きを挙げ、「希望を感じられる方じゃないと見ていて辛くなってしまうと思ったんです。山田さんなら何があっても地に足をつけて屈しない凛を演じてくれると期待しました。」と明かした。

そんな福永監督の現場について山田は、「そこに存在するっていうことがとても大事で、どうやって存在し続ければいいのかということと向き合う期間でした。でも、ロケーションや、周りにいる方々の雰囲気で、(自分が)凛として居ることが自然に感じられたので、そういう環境でお芝居をさせていただいたのは、福永監督がそういう雰囲気を作ってくださってたんだなって思いますし、とても充実した時間でした。」と振り返った。

自身も映画監督として活動する二ノ宮は「自分は不器用なんですけど、福永監督はとても寄り添っていただけましたし、山田さんは穏やかに見守ってくださって、とてもありがたかったです。」と緊張気味に答えると、山田は「現場ではこんなに緊張していなかったのにな(笑)でも、私も、二ノ宮さんの泰蔵としての姿を近くで見させていただいて、(会場の)みんなにも伝わっているであろう二ノ宮さんの素敵さが、泰蔵から溢れ出ていて、凛と泰蔵の関係も愛おしいなと想いながら演じていました。」と、改めて二ノ宮の唯一無二の存在感を絶賛した。

本作は、永瀬正敏、三浦透子など日本映画界を代表する役者陣が出演しているが、中でも異彩を放つ山男を演じた森山未來の印象について聞かれた山田は、「森山さんは、違う生物に会ってしまったみたいな、呼吸の仕方とかが動物で、そういう説得力を強く感じました。」と語り、加えて撮影の合間に木の上で寝ていたというエピソードも明かした。
これを受けて福永監督が、「実は後からその寝姿を写真で見て、これはいい画だなって思って、劇中の昼寝しているカットはそれをきっかけに足しました。元々の脚本には無かったんです。」と明かすと、山田や二ノ宮、そして場内からも驚きの声が上がった。

森山未來のもうひとつのエピソードとして二ノ宮は、「森山さんが先にオールアップされて先に帰られる日の朝、僕のホテルの部屋に紙が入ってまして「フロントに森山さんからお預りしているものがあります」と書かれていたんです。えっ?怖い・・と思ってフロントに確認しに行ったら、中身が残っているウイスキーの瓶だったんです。かっこいいなぁって思って!帰ってすぐに飲んじゃいまいた(笑)」と森山の粋な計らいを嬉しそうに明かした。

同世代の若い人達に本作の魅力をどう伝えたいかという問いかけに山田は、「私たちの世代は、物事を冷めて見ている人が多い世代でもあって、凛もそういう部分があるけれども、自分の幸せのために前に進んでいく姿は、現代の若い人にも届くんじゃないかなと思うので、そういう意味でも観てもらえたら嬉しいです。」と語った。

そして福永監督も「照明など、映像もリアリティを追求していますし、音も自然の畏怖を感じられるよう、こだわって作った作品ですので、家のテレビ画面では伝わりにくいですし、是非映画館で観ていただきたいです。」と付け加えそのこだわりを明かした。

最後にこれから本作を観る方へのメッセージを求められた山田は「いろんな視点で観ることができる映画だなと思いますし、今、外は暑いですけれど、どこか清々しい気分にもなって映画館を後にできる映画でもあります。ありがとうございました!」と作品アピールし、梅雨の湿気を吹き飛ばすような大きな拍手に包まれ、大盛況のうちにイベントは幕を閉じた。

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映画『山女』

全国順次公開中。

HP:
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Instagram
@yamaonna_movie
『山女』

STORY
この山でわたしは人間になれたーー
18世紀後半、東北。冷害による食糧難に苦しむ村で、人々から蔑まされながらも逞しく生きる凛。彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。ある日、凛の父親・伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こす。家を守るため、村人達から責められる父をかばい、凛は自ら村を去る。決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥深くへと進む凛。狼達から逃げる凛の前に現れたのは、化け物なのか人間なのかもわからぬ不思議な存在であった…。

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山田杏奈
森山未來 二ノ宮隆太郎 三浦透子 山中崇 川瀬陽太 赤堀雅秋 白川和子 品川徹 でんでん 永瀬正敏
監督:福永壮志 
プロデューサー:エリック・ニアリ 三宅はるえ 家冨未央|脚本:福永壮志 長田育恵
撮影:ダニエル・サティノフ|照明:宮西孝明|美術:寒河江陽子|録音:西山徹
整音:チェ・ソンロク|編集:クリストファー・マコト・ヨギ|音楽:アレックス・チャン・ハンタイ
装飾:柴田博英|衣装:宮本まさ江|メイク:金森恵|かつら:荒井孝治|特殊メイクデザイン:百武朋|VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
助監督:北川博康|制作担当:大村昌史|エグゼクティブプロデューサー:安田慎 中林千賀子 白田正樹|プロデューサー:白田尋晞
制作プロダクション:シネリック・クリエイティブ ブースタープロジェクト|国際共同制作:NHK|制作協力:CLIP PICTURES LA
製作:「山女」製作委員会|助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画)

配給:アニモプロデュース|配給協力:FLICKK
2022年/日本・アメリカ/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
©YAMAONNA FILM COMMITTEE

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