バリアフリー・プレミア上映会世界選手権4連覇を成し遂げた視力を失ったクライマーとその相棒が、アメリカへ旅に出て、想像を超えるクライミングに挑むまでを描いたドキュメンタリー映画『ライフ・イズ・クライミング!』が、5月12日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国公開となります。 この度、視力を失ったクライマー・コバ(小林幸一郎)と、彼の視力となるサイトガイド・ナオヤ(鈴木直也)、そして、車いすテニスプレイヤー・国枝慎吾氏をスペシャルゲストにお迎えし、バリアフリー・プレミア試写会を実施しました! 『ライフ・イズ・クライミング!』バリアフリー・プレミア上映会日時:5月10日(水) |
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小林幸一郎、鈴木直也、国枝慎吾登壇パラクライミングの世界選手権4連覇を成し遂げた視力を失ったクライマー・小林幸一郎(コバ)と彼の相棒としてガイドを務める鈴木直也(ナオヤ)がアメリカ・ユタ州の砂岩“フィッシャー・タワーズ”に挑む旅路を追いかけたドキュメンタリー映画『ライフ・イズ・クライミング!』のバリアフリー・プレミア上映会が5月10日(水)、都内劇場で開催された。上映前のトークイベントにコバさんとナオヤさん、さらにゲストとして車いすテニスプレイヤーの国枝慎吾も来場。会場は大きな盛り上がりを見せた。 ナオヤさんから「コバちゃんを連れて行きたいところがある」と言われ、始まったという今回の旅路。コバさんは「ナオヤが誘ってくれる旅は、いつも何が待っているかわからないけど、確実なのは楽しいということ。今回もオンボロのキャンピングカーを借りて、そこを根城にいろんなところに行ったり、ナオヤを育ててくれた恩師に会ったり、大切な要素が散りばめられている旅でした」と振り返る。 ナオヤさんはフィッシャー・タワーズにこれまで何度も登っているが「何度登っても最高だなと思える場所で、そこにコバちゃんを立たせてみたら面白いだろうなって、それだけ(笑)」とコバさんを誘った理由を説明。「楽しかったです。僕らは、台本があってそれを読んでやっているわけじゃなく、ただ登っている目の前にカメラがあっただけ。こんな楽しい思いを毎日して、終始笑顔でした」としみじみと語る。 そんな2人の姿を追いかけた今回の映画の魅力を、国枝さんは「この2人の絆の眩しさ!」と指摘。「コバさんが(目が)見えないからこそ、ナオヤさんを信頼しているのが伝わってきました。でも、映画を見ながら『なんでこんなつらい岩を登るんだろう?』と思って、それは今日、一番聞きたかったことです」とコバさんに質問を投げかける。 コバさんは「何万回も壁打ちを続けて、僕からしたら『何が楽しいんですか?』とこっちが聞きたくなるようなことをやってる人にそんなことを聞かれるとは…」と笑いつつ「僕らにとってクライミングは、スポーツといっても、勝ったり負けたりというものだけでなく、岩を登るという達成感だけを目指していくもので、つらいように見えるかもしれないけど、その先にどんな達成感が得られるのかは、やっている人間だけがわかる感覚。それは、何万回も壁打ちして、その先に何が得られるかがわかる国枝さんだけが持っている感覚と同じだと思う」と説明する。 さらに国枝さんは、現役時代、時にコーチとケンカになってしまうことがあったと明かし「解決策として、僕らはボディランゲージなどがあります。お2人の場合、いかにナオヤさんがコバさんに理解しやすいように説明するかが大事だと思いますが、コバさんはそれに対して『何言ってるの?』と思うこともあるんじゃないですか?」といかに円滑なコミュニケーションを図るかについて質問! これについてナオヤさんは、大会中に時にコバさんが怒ったり、ナオヤさんが言い返すこともあると説明しつつ「大会は6分間しかないので、怒っているヒマがあったら先に行けという感じですね。(コバさんが)焦ってガーッと言ってくることもあるけど、たぶん、自分の中で解決しようとしているんだと思います。普段の生活では、ケンカすることは基本ないですね」と明かす。 コバさんはナオヤさんとの関係性について「国枝さんのテニスのたとえは、コーチとプレイヤーという関係でしたが、ダブルスのプレイヤーたちの立ち位置に近いかもしれません。ナオヤも僕も競技のステージに立って、僕は登ってナオヤは声で、2人で勝つことを目指していたのが大会だったと思います。それに対し、自然の岩を登るときは、登るのは僕で、ときどき、ナオヤが声をかけてくれるので、信頼関係の成り立ちが、またちょっと違うので、そのあたりも(映画の中で)気にして見てもらうと良いと思います」と補足する。 この日は、フリーアナウンサーの平井理央が司会を務めたが、平井アナは「ナオヤさんの声が、映画の中でも“背中を押してくれる声”と言われていましたけど、すごく印象的でした。私もしゃべって伝える職業ですが、声に魂を込めることができるのか? その秘訣を聞きたいと思いました」と感想を口にする。 ナオヤさんは、「(秘訣は)ないです(笑)」と即答だったが、コバさんは「僕にとって、ナオヤの声はとっても楽しい気持ちをさせてくれるし、僕の気持ちを鼓舞して『よし、やったるぞ!』という気持ちにさせてくれるもので、地面から背中をグイグイ押してくれます」とその“効能”を明かす。国枝さんはこの言葉に「羨ましいですね。熱々ですね(笑)」と笑みを浮かべていた。 競技は違えども、パラクライミング、車いすテニスの世界でトップを獲った2人だが、共に競技の第一線からの引退を今年、表明した。コバさんは引退について「よく“選手生活引退”という言葉で表現していただくのですが、心情としてあまり変化はありません。僕は16歳でこのクライミングというスポーツと出会い、28歳で目の病気と言われたんですが、ずっとやめずに続けている中で、パラクライミングという競技と出会い、今回、一区切りとなったので、クライミングを続けるクライマーとしての自分が変わるわけではないです。自然の岩を登り続けることも、旅を続けることも、友達と近くのジムで楽しむことも変わらないし、ただ競技という楽しみ方をお休みするだけ。自分は55歳になりましたけど、これからもずっと成長し続けると思います」と自身の心情を説明する。 そんなコバさんについて、ナオヤさんは「クライミングってエンドレスにチャレンジできるもの。地球上のいろんなところに行けるし、選手として終わっても、クライマーとして生涯ずっとやっていけるスポーツです。大会に出なくても岩はあるので、そこに挑戦し続けていくことはお互いに変わらない」と語る。 国枝さんは「クライマーの隣でこう言うのもおこがましいんですが…」と笑いつつ、自身の引退について「富士山を見て、『もう登りきった』と思ったのが引退を決意した瞬間でした」と明かし「これからは登りきった富士山を降りていく下山の時間にしようと。また違う山を見つけて、登れたらいいなと思っています」と語った。 そんな、“新しい山”を探している途中の国枝さんをコバさんは熱心にクライミングの世界に勧誘する。国枝さんが、コバさんについて「(目が)見える方は、登った先に何があるのか? その風景を想像して登っていると思うけど、コバさんは上に行って何が見えるのか?そのへんをすごく不思議に感じたし、最初、理解できないところもありました。あんな絶壁を登っていくというのは、とてつもないエネルギーがあるんじゃないかと思います。力の根源が何なのかお聞きしたい」と語ると、コバさんは「その謎を解くためにもクライミングをするしかないですね」とニヤリ。 一方、国枝さんは、2028年のロサンゼルスで開催されるパラリンピックで、パラクライミングが採用される可能性に触れつつ、コバさんに「(採用が)決まったらどうでしょう?」と選手としての現役復帰を持ちかける。 コバさんは「2028年って僕は60歳で還暦ですよ!」と笑いつつ「復帰できるなら頑張りたいし、必要な時に戻れる自分でい続けたいと思います。人生は一度しかないし、機会に恵まれるなら頑張りたいですね」と還暦でのパラリンピック出場に意欲をのぞかせていた。 映画では、コバさんが設立したNPO法人と同じ名前を持つ「MONKEY MAJIK(モンキーマジック)」が本作の主題歌を担当している。コバさんの法人名(NPO法人モンキーマジック)とバンド名が同じなのは全くの偶然だというが、様々な紆余曲折を経て、今回、MONKEY MAJIKが快諾し、主題歌「Amazing」を映画のために書き下ろした。コバさんは「あきらめずにやり続けたら、いつか形になるんだと思えたし、映画にドはまりな曲を書いてくださりました。映画が完成する前に、写真を1枚見ただけで、こんな素晴らしい曲を書いてくれて、感激しかないです」と感謝と喜びを口にしていた。 |
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Profile【コバ:小林幸一郎】1968年2月11日生まれ╱東京都出身 【ナオヤ:鈴木直也】1976年1月18日生まれ╱東京都出身 【スペシャルゲスト:国枝慎吾】1984年2月21日生まれ╱千葉県出身 パラクライミングとは 【視覚障害】 パラクライミングの対象となる障害 |
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『ライフ・イズ・クライミング!』5月12日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、YEBISUGARDENCINEMAほか全国公開 公式サイト: 公式Twitter: |
出演:小林幸一郎、鈴木直也、西山清文、エリック・ヴァイエンマイヤー
監督:中原想吉
音楽:ChiheiHatakeyama
主題歌:MONKEYMAJIK「Amazing」
製作:インタナシヨナル映画株式会社、NPO法人モンキーマジック、サンドストーン、シンカ
配給:シンカ
2023年/日本/本編89分/5.1ch/1.90:1/UDキャスト対応
(C)LifeIsClimbing製作委員会