『英雄の証明』第74回カンヌ国際映画祭にてグランプリ&フランソワ・シャレ賞、第93回ナショナル・ボード・オブ・レビュー脚本賞、外国語映画賞などを受賞し、第79回ゴールデングローブ賞非英語映画賞にノミネート、本年度米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストに選出された『英雄の証明』が、4月1日(金)より公開致します。 本日、ジャーナリスト堀潤が東京都立西高等学校にて現役高校生との特別授業を行いました。 |
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堀潤が東京都立西高等学校にて特別授業マスコミに「英雄」と大々的に取り上げられ、その後 SNS で広まった噂によって、状況が一変する事態に陥いる主人公の姿を描く『英雄の証明』を通して、東京都西高等学校の現役高校生21人とソーシャルメディア、マスコミ報道のあり方についてディスカッションを行った。 続いて、堀が大学で学んでいたプロバガンダについて説明。「人々の心の中にあるメッセージを、知らず知らずのうちに一つの方向に誘導する。これは戦争の時はすごく利用されています。自分達は「正義」で、相手が「悪」なんだと思い込ませるためにいろいろな方法をとる。映画も音楽も使う、今だったらSNSも使う。人々の心をいかに揺さぶって自分の思い通りにするのかなんです。」と話し、「今はSNSがあります。本作の中でも主人公が「金貨を返した」と聞くといい人と思い、しかし違う情報で「本当は返していないんじゃないか」という噂が広がると急にそれを疑いはじめる。でもそれは人間の本当の姿を描いていると思います。」と、メディアによって拡散された主人公のささやかな善行が、SNSで広まったある噂をきっかけに疑惑に変わるという本作で描かれている人間の心理を語る。 生徒から「主人公の息子が吃音症なのに矢面に立たされて状況を説明させられたり、チャリティ協会の方に、主人公の婚約者が主人公の名誉のために「そういうことにしておいて下さい」と頼んだら承認されたて、その後SNSで発信されるというシーンがありました。事実は事実なんですが、演出が入っているとも言えます。そういう演出が入った事実とどう向き合っていくべきなのかということを、この映画で考えさせられました。」と、本作の感想を言われると、堀はとても感激した様子で、「本当そうですね。僕も同感です。そういう社会のあり方をどうやって変えていけるかなと思いながら、日々取材をしています。人々はこういった複雑で淡々とした事実よりも、感動するとか、もしくは納得がいくというストーリーに引き寄せられていく。」と、情報の広がりかたで人々の感情が変わっていくと話し、「事実じゃなくてもそこに重きを置かれていない場合もある。こんなに怖いことはないですよね。」と立ち止まって考えていくことが大事だと語る。 「僕は事実を時間をかけて伝える必要があると思ってテレビ局をやめたんです。ニュース番組は時間が決まっているから、全部のニュースを伝えることができない。だから見てもらうために過激なストーリーを作ることが目的となってしまう。どういうシーンが一番共感を得るのかと考えるようになってしまう。だから被災地に行くと涙を流している人にたくさんのカメラが集まってしまうんです。」と、知らず知らずのうちに備わってしまっている固定観念の罠を自覚することが大事なことだと忠告し、今のマスコミの情報の伝え方に言及する。 さらに、「取材でいろんな現場を訪ね歩いてみると、そこに100人いれば、100通りのものの見方や考え方ある。だからどこかだけを切り取って、これが正しい、これを選択しようというのは非常に偏ったことだと思います。だから個々の参加が必要だと思います。今までのメディアの時代とSNSのある時代の大きな違いは、その参加ということです。SNSなら個人も参加できる。そうなった時に初めて伝える側も、自分が見ているのは非常に偏った世界観だったのかもしれないと考えると思います。」と語り、「怖いから、面倒臭いから、対立したくないから自分で声をあげるのを諦めてしまう。 |
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『英雄の証明』原題:GHAHREMAN 4月1日(金)Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテにて公開 ストーリー |
監督・脚本・製作:アスガー・ファルハディ
出演:アミル・ジャディディ、モーセン・タナバンデ、サハル・ゴルデュースト、サリナ・ファルハディ
2021年/イラン・フランス/ペルシア語/2.39:1/5.1ch/127分
日本語字幕:金井厚樹/字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン/後援:イラン・イスラム共和国大使館イラン文化センター、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
配給:シンカ/提供:シンカ、スカーレット、シャ・ラ・ラ・カンパニー、Filmarks
文部科学省選定 一般劇映画(青年・成人向き)令和3年12月21日
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