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いとうあさこ主演ディストピア映画『鈴木さん』

映画『鈴木さん』を2022年2月4日(金)より全国公開となります。
本作は、第25回ブチョン国際ファンタスティック映画祭や第11回北京国際映画祭などの海外の国際映画祭で映画賞を受賞し、一昨年の第33回東京国際映画祭でも上映され、大きな反響を呼んだ、日本映画としては稀有なディストピア映画。
鈴木さん
主演はお笑いタレントのいとうあさこ。共演に、佃典彦、大方斐紗子、保永奈緒、宍戸開など、個性的な俳優陣が顔を揃えている。

本作は、多くの人がタイトルから想像/予想しえるいかなる作品世界をも裏切る、かつてない日本映画です。
現人神である「カミサマ」を国家元首にいただき、清く、美しく輝けるとある国のとある街。
少子化にあえぐこの街では、45歳以上の未婚者は市民権を失うという条例が制定されており、市民権を剥奪されると、街を出て行かなければならない。あるいは、軍に入隊し、強制的にお国の為に働く道を選ばなければならない。
この街で介護施設を営んでいる未婚のよしこは、45歳を目前に控え、この街から排除される不安を抱えながら、日々暮らしていた。市民権を得ることを諦め、街を出るという選択もあるが、彼女は施設に入居している老人たちを見捨てることはできない。そんな中、老後施設に一人の身元不明の中年男性が突如として迷い込んでくるのであった・・・。
鈴木さん
本作のメガホンをとったのは、佐々木想。自主制作映画『ぴゅーりたん』が、2009年、第31回ぴあフィルムフェスティバルに入選するほか、第28回バンクーバー交際映画際にて、ドラゴン&タイガー・ヤングシネマ・アワード(アジア新人監督賞)にノミネートするなど、海外でも評価を得ている新進の監督。大胆な発想と鋭敏な感性で唯一無二の世界観を構築し、おそらく賛否を巻き起こすであろう比類なき映画を作り上げた。

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著名人からコメントが到着

この度、本作を鑑賞した、瀬々敬久、せやろがいおじさん、中島岳志など各界の著名人のほか、海外映画祭プログラマーらからコメントが到着しました。

■瀬々敬久(映画監督)

寓話的な物語なのに、自分たちが今生きている時代のリアルなものをものすごく感じさせられた。
映画で描かれる戯画化された国家体制、制度、それらはブラックユーモア的な虚構であるはずなのに、もはや笑うことができない。なぜなら、それが僕らの現実そのものだからだ。そのリアルさは偶然なんかでないことは、いとうあさこさんと佃典彦さんの二人が演じる男女の芝居の間、表情、ショットの時間の長さ、それらが紛れもなく生きている人の間であり顔であり、時間であることからも十分に伝わってくる。刈られた草を二人で片付けるだけの引きのカットで幸福を感じることができた。不幸なのはこの映画の出来事が現実そのものの日本に僕たちが今、生きていることかも知れない。そして生半可な「希望」を語ってきた自分に対して反省してしまったのだ。年甲斐もなく、この映画を見てしまったことで、自分や自分たちが今いる国に対して向き合ってしまったのだ。

■せやろがいおじさん(お笑い芸人)

今の日本が抱える「愛国」による狂気と歪みを、やり過ぎなほど誇張したディストピアな国が舞台。
日本のようで日本じゃない、ありえないようであり得る、現実と地続きの非現実的な世界観に、笑いつつ心底ゾッとさせられた。

■中島岳志(政治学者)

権力が個人の美意識や価値観、生き方に介入するとき、多くの大衆は抵抗するのではなく、同調する。そこに「凡庸な悪」が蔓延する。
一見すると荒唐無稽なストーリーは、現実以上の現実を浮かび上がらせる。

■近藤ようこ(漫画家)

どこかにあるような町、いつか見たような悪夢。
いとうあさこの怒りや悲しみを噛み締めている演技が、あちらの世界とこちらの世界をリアルに繋いでいる。あちらには行きたくない。

■永井玲衣(哲学者)

絶望は笑顔でやってくる。扉を開ければ、すぐそこに立っている。過剰なまでに「希望」が満ち溢れた「美しすぎる国」。「まとも」が狂ってしまったとき、わたしたちはどうしたらいいのだろうか。だが、呆然とするしかないわたしにこの映画は問いかける。「それでは、あなたの生きるその世界はどう?」と。

■中島京子(作家)

独裁国家の元首なのに、鈴木さんは、なぜ逃げてるんだろう。。。これはたいへんな『ローマの休日』だ!

■望月優大(「ニッポン複雑紀行」編集長)

「一人はみんなのために」をドロドロに煮詰めるとこうなるのかもしれない。「みんな」は常に誰かを飲み込んだり爪弾いたりしながら、小さな輪郭を溶かして大きな境界をでっち上げていく。それでも「一人」でここに居続けようとする人はどれぐらいいるだろう。固有であり無名でもある一人ひとりとして。

■蔡剣平(北京映画祭プログラマー)

虚構の国と物語なのに、今の日本にとっても、隣国の中国にとってもまさに「現実」で、ある種の「リアリズム」といっても過言ではない。
「自由」に見える「不自由」な日本で、躊躇なくこのような社会風刺映画を撮った監督のユーモアのセンス、想像力、勇気に感動してしまった。北京国際映画祭で上映させていただけたことと作品の受賞に嬉しい限りだ。

■洪相鉉((ファンタスティック国際映画祭)

「宇宙から飛んでくる奇抜さ」でカンヌを驚かせた映像作家・佐々木想。
富川で彼の驚くべき新作に出会い、爆笑と感嘆を連発する観客を見ながら「もしかしたら日本のジャン=ピエールㆍジュネになるかも知れない」ということが、自分の短見に過ぎなかったことに気づいた。 寓話のメスで世界を解剖する彼は、既に私の認識の限界を遥かに超えていた。

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クラウドファンディング中

さらに、本作の支援を募るクラウドファンディングがMotionGalleryで2022年1月24日まで行われています。
httpvh://motion-gallery.net/projects/suzukisan

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『鈴木さん』

2022年2月4日(金)より、K2、池袋シネマ・ロサ他全国ロードショー
 

STORY 
国家元首 “カミサマ” のもと、美しく輝く某島国の某町。
少子化にあえぐその町では市民投票により、未婚者は市民権を失うという条例が制定される。
廃ラブホテルで介護施設を営むよしこは、迷い込んできた中年男性と結婚しようとするが・・・。
鈴木さん

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監督・脚本・編集:佐々木想
出演:いとうあさこ、佃典彦、大方斐紗子、保永奈緒、宍戸開
配給:Incline
配給協力:アークエンタテインメント 

(C)映画「鈴木さん」製作委員会
2020年製作/90分/日本/カラー/5.1ch

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