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選挙ドタバタコメディ『スイング・ステート』

大統領選でトランプに大敗した民主党選挙参謀が、起死回生を狙って田舎の町長選挙で大波乱を巻き起こすスティーヴ・カレル主演のドタバタコメディ『スイング・ステート』が9月17日(金)よりTOHOシネマズ日比谷・渋谷シネクイントほかにて公開中です。

映画はアメリカの田舎の町長選でライバルの選挙参謀が候補者を当選させるべく、なりふり構わずあの手この手を使って勝とうと大波乱を巻き起こす、爆笑必死のドタバタ選挙コメディ!

総裁選、衆院選を控えた選挙イヤーである今年、本作の公開を記念致しまして、時事芸人のプチ鹿島さんと、ラップで時事問題に斬り込むラッパーのダースレイダーさんによる、日米の選挙戦の裏側などを語る、公開記念トークイベントを行いました。

登壇したのは、ラッパーのダースレイダーと時事芸人のプチ鹿島。
映画のわかりやすい解説や、あのアメリカ大統領選の裏側で起きていたこと。今誰もが行方が気になっている総裁選の行方など、日米の選挙戦をテーマにユーモアを交えながら鋭く突っ込み、軽妙なトークを繰り広げました。
プチ鹿島・ダースレイダー『スイング・ステート』
日時:9月18日(土)
場所:TOHO シネマズ六本木
登壇:プチ鹿島、ダースレイダー

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ダースレイダーとプチ鹿島が軽快トーク

“スイング・ステート”とは、アメリカ大統領選挙において、共和党・民主党の支持率が拮抗し、勝利政党が選挙の度に変動する州のこと。揺れ動く州の意。接戦であるほど、激戦州のスイング・ステートが勝敗の鍵を握る。(ただし原題はIRRESISTIBLE)

ダースレイダーは本作を「アメリカの選挙制度の壮大な失敗を見事に描いている作品」と評し、鹿島も「選挙システム自体を茶化している」とコメディでありつつ、鋭い社会批判、政治批判を含んでいると称賛。

映画では小さな町の選挙が、民主党と共和党の“代理戦争”の場となり、地元有権者を無視した、過激なバトルが繰り広げられるさまがコミカルに描かれるが、ダースレイダーは「監督は実際にすごくリサーチをしてて、選挙アドバイザーにも話を聞いていて『いまのアメリカの選挙制度では、こういうことが起こることが否定できない』と言ってるんですね」と語る。

日本でも小選挙区制度が1990年代より導入されたが、ダースレイダーは「日本も(二大政党制を念頭に置いた)小選挙区制は良いことだという前提で進んでいるけど、本当にいいことなのか? 例えば(中選挙区制だった)昔は自民党の中にもいろんな考えがあったのに、いまはひとつになってしまっている。党の力が強くなって、幹事長のところにお金がいくようになって、(幹事長が候補者を)公認するかどうか?になっている」と小選挙区制、二大政党制の弊害を指摘し、鹿島はこの状況を、自民党の二階俊博幹事長と重ねて「二階ステート」と表現し「(日本が)二大政党制になっても(映画に描かれているような)こういう未来が待ってるかもしれない」と語る。

映画では、人々の心を打つ演説がYoutubeでバズり、田舎町の退役軍人が候補者に担ぎ上げられるさまが描かれるが、ダースレイダーは「菅さんもあの演説を見習ったらよかった。もうちょっと映画が早く公開されていたら…。菅さんは間に合わなかった(笑)」と語る。さらに「映画の中で共和党の選挙参謀が『私もここの生まれです』と(ニュース番組で親しみを感じてもらうためにウソを)言い、スティーヴ・カレルが『言ったもん勝ちだ…』と言うけど、その通りなんです。デマが広まるツイートのほうが、そのデマを否定するツイートよりもはるかに拡散が大きい。『ラグビー部にいた』と言ってしまえば一生、ラグビーキャラでやっていけるんです」と自他共に認める“ラグビー好き”である森喜朗元総理を念頭に語る。鹿島曰く「(森元総理は早大のラグビー部に)4か月だけいた(笑)」とのことだが、ダースレイダーは「(デマだと)突っ込んでも間に合わないで拡散されていく」と正誤にかかわらず、拡散された情報によるイメージで選挙の勝敗が決まっていく現状を嘆く。鹿島は「ああいう“半径5メートル”の範囲内で人気の政治家は昭和の頃からいました。最近でも名古屋にいましたね。気さくなひとが…(笑)」と“メダル噛み”で炎上した市長を皮肉り、会場は笑いに包まれた。

2人は、映画で描かれるような対立構造や代理戦争の構図が、まさにいま行われている自民党の総裁選と重なるとも指摘。鹿島は自民党の総裁選を「自民党の興行でありPRイベント。タイトルマッチで盛り上がって、前任者のことなんて忘れちゃう」と語り、ダースレイダーも「アメリカでは小さな町で共和党の民主党の代理戦争をやっているけど、自民党の総裁選もいろんな人が出ているように見えて、実は“安倍・麻生”陣営と“菅・二階”陣営の間でスイングしているだけ。映画でも『発信力があるから』『バズる』ということで(候補者に)選ばれるだけで、有権者がそこに関与できていない。総裁選も自民党の中でスイングしてるだけ」とうなずく。

さらに鹿島の口調は総裁選をめぐってヒートアップ! 「小泉進次郎は何で政局になると元気になるのか? 完全に昭和のオジサン」と“改革派”として人気の小泉進次郎をバッサリ斬ったかと思えば、「あの4人(※自民総裁候補の河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子)、どう思いますか? 僕はひとつの見方として『誰がブレていて、誰がブレていないのか?』『誰が1年後も3年後も同じことを言ってるのか?』ということがあると思う」と総裁選の論点を提示し「高市さんと野田さんはたぶん、1年後も3年後も同じことを言ってるはず。岸田さんは最初は良いこと言うけど、すぐフラフラするので1年後は怪しい。河野さんはずっとスイング・ステート。もうブレてる。“日替わり”河野ですから、来週には違うこと言ってるかもしれない。『いまは本音を隠しているけど、総理になったらやりたいことをやってくれるはず』ってただのファンタジー。権力を持ってから変わるって、こんなに怖いことはないですよ!」と各候補について鋭く切り込んでいく。

ダースレイダーも「自分が力を持ったら、やりたい政策を実現する」という政治家に対し「みなさん、既に政権与党で、安倍政権から8年間、ずっとやりたいことがやれるはずだったのに、なんでいま急に? いままでできたはずでしょ」と不信を口にし、臨時国会を開こうとしない自民党を「反ワクチン派」になぞらえて「反国会派」と舌鋒鋭く批判。鹿島も「やりたいことがあるなら、国会を開いて『こういうことをやります』と言えばいいのに、開かないで自分のところのイベントをやってる」とうなずいていた。

最後にダースレイダーはこの映画を「菅さんにこそ観てほしかった…」と繰り返し、鹿島はコメディとして笑いを交えて政治を描く本作を例に「選挙や政治について語るって堅苦しいことじゃない。もっとワイワイやればいいんです」と固く考え過ぎずに多くの人々が政治に興味を持つようにと訴えていた。

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『スイング・ステート』

原題:IRRESISTIBLE

TOHOシネマズ日比谷・渋谷シネクイントほか全国にて公開中!

swingstate-movie.com

ストーリー
この選挙、何かおかしい!? 大敗した民主党ヒラリー陣営の選挙参謀ゲイリー・ジマー(スティーヴ・カレル)は、農村部の票を取り戻す秘策として、Youtubeで話題の人物を田舎の町長選挙に立候補させる。すると共和党は、対立候補の元にゲイリーの宿敵=トランプの選挙参謀、フェイス・ブルースター(ローズ・バーン)を送り込んできた。その日から、町長選をめぐるゲイリーVSフェイスの戦い、否、民主党VS共和党の巨額を投じた「仁義なき代理戦争」の幕が切って落とされた―― 選挙資金の調達やテレビCMの応酬など、あの手この手で抗争はエスカレート!次期政権を懸けた”なりふり構わぬ選挙戦”に勝つのは、果たして誰なのか!?

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出演:スティーヴ・カレル/クリス・クーパー/マッケンジー・デイヴィス/トファー・グレイス/ナターシャ・リオン/ローズ・バーン 監督・脚本:ジョン・スチュワート
2020年/アメリカ/102分/カラー/ヴィスタ/配給:パルコ ユニバーサル映画 
©2020 Focus Features, LLC.  
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