映画情報どっとこむ ralph この度、2020年カンヌ国際映画祭など世界中の映画祭に正式出品され観客を感動で包んだニル・ベルグマン監督最新作『旅立つ息子へ』を3月26日(金)にTOHOシネマズ シャンテほか全国公開いたします。
『旅立つ息子へ』(c) 2020 SPIRO FILMS LTD (1)
自閉症スペクトラムを抱える息子を全力で守る父と、父の愛を受けとめて心優しい青年に成長した息子。世界中で共感と感動の涙がこぼれた、実話を基にした感動作。監督はイスラエルを代表する巨匠ニル・ベルグマン。東京国際映画祭史上初にして唯一の二度のグランプリ受賞の快挙を果たし、本作では国内で最も有名な映画評論家から、是枝裕和監督の作品と並べられるほど高い評価を得ている。このたび、本作の公開を記念し、子育ての専門家の育成や、子育て学講座など、子育てに関わる保護者や人の成長を支援する「NPO 法人子育て学協会」とコラボ座談会を企画。

前半は会員メンバーと一緒に映画を観て感じた子育てや家族についての感想の共有し、後半は山本直美会長の映画のテーマにしたミニセミナー(夫婦の対話、ファミリービルディング、青年期の子育て、等)を行いました。

「NPO 法人子育て学協会」コラボ オンライン座談会
映画から考える子育ての最前線と課題。そして、今こそ考える家族・夫婦のかたち
日時:3月20日(土)
登壇:
山本直美(NPO 法人子育て学協会会長) 
河本晃(子育て学協会) 
司会:平塚勇太(子育て学協会)
※全員リモート参加

映画情報どっとこむ ralph まず本作を鑑賞した会員の方たちの感想を集約し、山本さん、河本さん、平塚さんによる感想共有からスタート。感想では「毎年変わる施設のスタッフに息子の面倒は誰が見るのか、という父親のセリフから、障がい児を育てる自分にとっては刺さる言葉だった。」というコメント。

はじめのテーマは

「家族と個人の孤立化」

山本さんは「いろんな家族が孤立化している場面によく会う。特に障がいを持ったお子さんがいる家族で、映画の葛藤は本当にリアル。障がいもそれぞれで、この映画はそんな子供達について知るきっかけになり、それが社会への理解につながる。」と語る。
河本さんは「映画では父親が良かれと思ってやる行動で、どんどん世界が狭くなる。出来るだけ仲間を増やす、関係を増やすことが大切」と子育てをする父親の姿から学ぶことがあったと振り返る。
平塚さんも「父親は相談やさらけだすのが下手、アドバイスを避けて逃げていく印象を受けた」とコメント。河本さんは「父親がプライドを横におけるかが、子供の感情に気づくきっかけかも。父親が悲しいという気持ちをネガティブに捉えると、その気持ちを感じとることができない。」と語り、感情に向き合うことが子育てで大切だと語った。

映画情報どっとこむ ralph 次のテーマは

「子供との距離感や巣立つタイミング、巣立った後の夫婦関係」

あがった感想では、「子は所有物ではない」「今の時間を大切にしながら、親離れの後の夫婦の時間も大切と感じた」「旅立ちは家族ごとにタイミングがある」といった声が。

河本さんは「社会人になる娘の引越しに立ち会ったけど、こたえました。一生懸命もがいていた子供の姿をみて、声をそんなにかけられなかったけどグッとくる。子供の成長の喜びはすごく感じつつ、この後の夫婦の関係は考える」とご自身の体験と重ねて話す。

山本さんは「この映画でも良かれと思っていた父親の状態からラストの決断は、本当にグッときた。子供が巣立つのに、足を引っ張る親もいるけど、巣立ちは親が徐々に準備しながら迎えていくもの。」とコメント。

河本さんは「子供が巣立つ前は葛藤や喧嘩から避けていたけど、そうすると問題がさらにややこしくなる。途中から家族に向き合い、話し合うようにしていた。その積み重ねがあるからしっかり話せる関係にある。」と、この映画で感じ取った夫婦の対話の難しさについて話題にあがった。

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「映画をより楽しむために子育て学協会の映画のみかた」

後半では、会長の山本さんによる夫婦、家族をポイントに「映画をより楽しむために子育て学協会の映画のみかた」講座がスタート。

映画で夫婦が子育てを理由に衝突するシーンで、息子のウリが敏感に感じ取っていたことを事例にあげる。仲直りするところまでしっかり見せられれば、夫婦喧嘩はしてもいいが、意地をはりあうので見せない方がいいのではないか」と考えを語る。すれ違いを解消し、よりよい家族を支援する子育て学協会の取り組みについて紹介しながら、「子供のらしさを引き出して、親も育つ根を育むことを映画からも感じて欲しい」と話す。

より映画を楽しむ視点として、まず「家族の発達課題」をあげる。

「子育てのゴールは社会に返すこと、自立させること。そこを起点に、映画で描いてる子育ての時期は、子供の成長、すだちの準備であり、家族なりの形態の見直しが必要なタイミング。この時期は仕事などですれ違いが起きやすく、熟年離婚の可能性も。劇中の家族も幼児期に『家族は創るもの』 と言う意識で対話ができていたら違っていたかもしれない」と分析。「夫婦が立ち止まり、一緒に子供をみて対話すること、役割をわけることが大切。すれ違いがあるなかで折り合いのつけ方を夫婦で考えることが大事」と語った。次は「子供も大人も『人間関係のパイプ』が鍵」と語る。その中でも基盤として、「心の安定」「快動」「自律」をあげる。心の安定がないと、劇中での父親が孤立して追い詰められたときに行動をあげて、まさにこの心の安定がキーだと話す。その安定を知るために、夫婦関係や父、母、兄弟姉妹といった7つのパイプを指標にお父さんの状態を分析。他にも子供との対話のシーンをあげ、「父親は息子とのコミュニケーションが体全身を使って上手。お父さんと息子がどんなコミュニケーションをとっているかも着目してこの映画を見ると面白い。」と話す。

子育ての最先端のエキスパートならではの視点で、本作の父親の行動や夫婦関係が息子へ影響する側面などを語っていただきました。

映画をきっかけに夫婦関係や子育ての悩みのヒントが学べる本座談会は、アーカイブ視聴可能ですので、ぜひ映画鑑賞とあわせてチェックしてください!

映画情報どっとこむ ralph 【NPO法人子育て学協会】
NPO法人子育て学協会は、設立母体である㈱アイ・エス・シーとともに、 「子育てに関わる保護者や人の成長」と 「豊かな心と言葉を持つ子どもたちの育成」 を実現し、 人を大切にする社会を目指す。 というビジョンを掲げています。 また、 「幼児期の子どもたちが心身ともに健康に育つために必要な、 子育てに関わる人々の意識改革・成育環境の向上」 をミッションとして活動しています。
http://kosodategaku.jp/
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『旅立つ息子へ』

英題:Here We Are

公式サイト:
https://longride.jp/musukoe

STORY
かつて売れっ子グラフィックデザイナーとして活躍していたアハロン(シャイ・アヴィヴィ)は、自閉症スペクトラムの息子ウリ(ノアム・インベル)を育てることにすべてを捧げ、田舎町で2人で暮らしている。ある日、別居中の妻タマラ(スマダル・ヴォルフマン)は将来を心配して、全寮制の特別支援施設への入所を決める。定収入のないアハロンは養育不適合と判断され、裁判所の決定に従うしかなかった。入所の日。ウリは大好きな父との別れにパニックを起こしてしまう。アハロンは決意した。「息子は自分が守る」こうして2人の逃避行が始まった。
旅立つ息子へ

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監督:ニル・ベルグマン(『僕の心の奥の文法』 第23回東京国際映画祭グランプリ受賞)
脚本:ダナ・イディシス
出演:シャイ・アヴィヴィ、ノアム・インベル、スマダル・ヴォルフマン
©︎ 2020 Spiro Films LTD.
2020年/イスラエル・イタリア/ヘブライ語/94分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch
日本語字幕:原田りえ PG12
配給:ロングライド
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