是枝裕和もその才能に惚れ込んだ、新進気鋭の監督佐藤快磨(さとう・たくま)の劇場デビュー作で、第68回サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞した、仲野太賀主演の映画『泣く子はいねぇが』が11月20日(金)に公開初日を迎え、本日公開記念舞台挨拶を行ないました。 本作は、佐藤監督が、秋田県・男鹿半島の伝統行事「男鹿のナマハゲ」から、“父親としての責任”、“人としての道徳”というテーマを見出し、親になることからも、大人になることからも逃げてしまった主人公が、過去の過ちと向き合い、不器用ながらも青年から大人へ成長する姿を描いた完全オリジナル作品。監督の出身地・秋田県で全国的にも有名な伝統行事の「男鹿のナマハゲ」を題材にしたことにちなみ、登壇キャストが地元愛あふれる”ふるさと自慢対決“を行いました。 『泣く子はいねぇが』公開記念舞台挨拶 |
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主人公たすく役・仲野太賀の「公開を迎えて誇らしい気持ちでいっぱいです。どんな風にみなさん受け取ってもらえるのかワクワクしている」という挨拶からスタート。
これに、たすくの妻・ことねを演じた吉岡里帆、たすくを支える地元の親友、志波を演じた寛一郎、「なまはげ存続の会」会長・夏井役でたすくにとって父のような存在を演じた柳葉敏郎、監督・脚本・編集をつとめた佐藤快磨監督が続き、それぞれ感謝の言葉を述べた後に質疑応答に入った。 自身の父親と長年の友人である柳葉を幼い頃から良く知っている仲野は「毎年、正月は柳葉詣でというか、新年の挨拶で会っては泣かされていました(笑)。秋田にとってのナマハゲは、僕にとっての柳葉さん。対面するだけで震えるような身近な存在」と笑いを交えながらも、「夏井がたすくの父親代わりという役であったことも、感慨深いものがあった」と俳優として、そして人生の大先輩である柳葉との共演について心の内を明かした。それを聞いた柳葉は、感涙の仕草で会場から笑みを誘いつつも、「彼の主演作で共にできたこと。両親も喜んでいるとは思うけれど、自分も胸がいっぱいだったし、役でもその気持ちを表現できる間柄の設定だったので、現場で温かい空間の中で過ごすことができた」と喜びをかみしめつつ、主演作が公開された仲野に「太賀、おめでとう!」と力強く呼びかけた。 吉岡は、初の母親役を演じるにあたり「実際には母親の経験がないので本当のところは分からないことばかりでしたが、SNSの育児日記などをたくさん読みました。また、娘の凪役が子役ではなく現地の一般の子だったため、どうやったら喜んでもらえるのかすごく考え、いろんな事を試しました。そういう点では母親になる事に戸惑う役を演じる上で、その子の存在が大きかった」と役作りを語った。 一方、本作でいつまでも子供っぽい男同士の友情も描かかれていることに関連して、自分の「大人と子ども」の割合を尋ねられた寛一郎は、「けっこう難しい。子供らしい利己的な部分と、協調性を半々で持っていたいので、理想は5:5です」と答えた。これに対して「大人」歴の長い柳葉は、「男性は女性には敵わない部分がいっぱいあるし、それに支えられて好き勝手に生きているから、男はやっぱり子供。けれど、色々なことを経験していくと子供っぽさがそれぞれ形を変えていくんじゃないか」と男としての生き方を語った。 また、監督は「単に男鹿の良いところばかりを描くような、ご当地映画にはしたくなかった。でもそのことを男鹿の人たちが受け入れた上で、協力をくれたから完成した」と感謝を示した。 |
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その後、監督が劇場デビュー作は故郷の秋田を舞台にしたかったとして生まれた本作にちなみ、登壇者それぞれの「ふるさと自慢」トークに移った。
東京出身の仲野は、たくさんの人との出会いや別れを体験することができる「出会い」、 そして柳葉のふるさと自慢はなんと、「柳葉敏郎」。 |
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『泣く子はいねぇが』
ストーリー 全国公開中!! 公式ホームページ: Twitter: <ストーリー> |
監督・脚本・編集:佐藤快磨
出演:仲野太賀 吉岡里帆 寛 一 郎 山中 崇 / 余 貴美子 柳葉敏郎
企画:是枝裕和
エクゼクティブ・プロデューサー:河村光庸 プロデューサー:大日向隼、伴瀬萌、古市秀人
企画協力:分福 制作プロダクション:AOI Pro.
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
製作:『泣く子はいねぇが』製作委員会
©2020「泣く子はいねぇが」製作委員会