映画情報どっとこむ ralph 是枝監督初の国際共同製作であり、フランス映画界の至宝カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュを主演に迎え、全編パリで撮影が行われた本作ですが、この度、11月1日(金)より、映画『真実』“特別編集版”として、新たな本編を劇場公開しております。
国民的大女優の母と、その陰で複雑な思いを抱えて生きてきた娘のドラマを描く本作ですが、“特別編集版”では、脇で彼女たちを支え、見守り、時にはさりげなく優しい的確なアドバイスを送る男性陣にも、よりスポットライトが当たります。イーサン・ホーク他の出演シーンも盛りだくさんとなりますので、ファンの皆様は必見です。

ますます熱い注目を集まる本作ですが、この度、この「特別編集版」にて是枝裕和監督登壇のティーチインイベントを実施。上映前には「日本語吹替版」で活躍してくれた佐々木みゆちゃんもお祝いに駆けつけ、是枝監督とミニ舞台挨拶を致しました。(特別編集版は字幕版のみの上映となります) 
みゆちゃんから質問『真実 特別編集版』是枝裕和監督へ

『真実』 ティーチインイベント
日時:11月6日(水)
場所:TOHOシネマズ シャンテ 
登壇:是枝裕和監督、佐々木みゆ
(ティーチインは是枝監督のみ)

映画情報どっとこむ ralph 是枝裕和監督最新作で、現在、絶賛公開中の映画『真実』ですが、イーサン・ホーク他、男性陣の出演シーンが盛りだくさんとなるファン待望の『真実』”特別編集版”も11月1日(金)より遂に公開となり、温かい拍手に迎え入れられながら是枝監督が舞台挨拶へ登壇。

「偶然ですが、今日はイーサン・ホークの誕生日なんです。この日がイーサンにフィーチャーした特別版の上映という、とても良いイベントになりました。ありがとうございます」とご挨拶。

「この“特別編集版”は、元々の脚本に一番近い形です。既に公開されたものをご覧になって、もう少しイーサンを含む男たちが観たかったな、という方のために作ったような作品です。ダメな男性陣の姿が多く描かれた緩やかな編集になっています」

と、すでに公開されているバージョとの違いを明かします。そして本日、特別ゲストとしてリュミ―ル(ジュリエット・ビノシュ)とハンク(イーサン・ホーク)の娘シャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)役の日本語吹替を担当した、佐々木みゆちゃんが舞台挨拶の応援に駆け付けました!

「こんばんは。シャルロット役の吹替版をやらせてもらった、佐々木みゆです。よろしくお願いします!」とご挨拶。吹替は今回が初めての挑戦でしたが周囲の反響を問われると、みゆちゃんは「学校の校長先生が、カトリーヌ・ドヌーヴさんのことを中学生の頃から憧れていたそうで、すごいねって言われて、嬉しかったです!」と、得意げな表情を浮かべます。
佐々木みゆ

是枝監督の作品に携わるのは『万引き家族』に続いて二作目でしたが、次はどんな映画に出てみたいですか?という質問には「万引き家族2、出させてください!」と夢を明かし、これには監督も、「クランクアップの日から、2を撮りたいと言われているんです。ちょっと考えてみようかな?」とみゆちゃんの想いに心を動かされた様子!?

みゆちゃんから質問『真実 特別編集版』是枝裕和監督へ
更に監督に一つ質問があるというみゆちゃんが「次に映画を撮るときは、どんな国で、どんな映画を撮るんですか?」と尋ねると、監督は「まだね、全然決めていないんだよ。多分、次は日本だと思うんだけどなあ。いつもだったら映画が公開される頃には新作の準備をしているんだけど、ちょっとお休みしていて、休憩中なの。だから一緒に遊ぼうね!」と次回作についての展望も見据えながら答え、みゆちゃんも「ふふふ、はい!」と二人の仲睦まじい姿が窺えます。本作で初めてフランス映画を観たというみゆちゃんは「(吹替えは)はじめてだったんですけど、すごく緊張して、ぶるぶる震えました。おススメポイントは(ネタバレになるのを心配して)ちょっと教えないほうがいいかなと思うんですけど…」と不安になり、監督に耳打ち。その和やかな二人の姿に会場も思わず笑みがこぼれながら、監督に「だいじょうぶだよ!」と背中を押されると、「映画の中で、おじいちゃんがおばあちゃん(ファビエンヌ/カトリーヌ・ドヌーヴ)に亀にされちゃってたんですけど、許してもらえて戻ってくるところです。皆が集まったパーティがあって、すごく賑やかなところがポイントです!」と、注目ポイントを語ります。

限られた時間ながらも監督とみゆちゃんの仲の良さが窺える息の合った舞台挨拶は、惜しまれつつ幕を閉じました。

映画情報どっとこむ ralph <ティーチイン>

『真実』“特別編集版”の上映後、会場に戻った是枝監督と共に、恒例のQ&Aがスタート。多くのお客様から質問の手があがります。

Q.イーサン・ホークさんの大ファンです。何でも良いので現場でのイーサン・ホークさんについて教えてください。

是枝裕和監督
A.チャーミングで色っぽいし、面白いし、演出サイドの役者なんです。画面の中にいてくれると、監督としてとても助かる。もちろん皆さん素敵な役者さんで作品第一に考えてくれていましたが、カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュが同じ現場にいるだけで緊張感が高まるんです。でも間にイーサンが一人いてくれるだけで、和むんです。良い男というのもあるんでしょうけど。自分がその場でどういう振る舞いを求められているのか、計算ではなく出来てしまうタイプ。イーサンがいると僕も安心して現場に入れました。

Q.作品の中でファビエンヌが三角形の白いものを持っていますが、あれはなんでしょうか?
A.なんだと思いますか?(笑) 具体はもう少し秘密にしておこうかと思いますが、お守りよりももう少し日常的なものです。そんなに意味がなくても、持っていると何か落ち着くものってあるじゃないですか。ぱっと見なんだか分からないけど、本読みでも寝室でも常にファビエンヌが持っているものを何か用意してください、と美術の方に頼んだら、見つけてきてくれたものです。リュミールがクランクアップのシーンで持っていたものも、同じものです。

Q.監督の著作「こんな雨の日に 映画『真実』をめぐるいくつかのこと」の中に、楽しかったと書いていた犬のオーディションについて教えてください。
A.色々な犬に会えるのが楽しかったです。オーディションではないんですが、ロケハンでファビエンヌが住む家を探していて、パリの郊外にある大きなお屋敷も回ったんですけど、だいたい放し飼いの汚い犬がいるんです。日本の犬みたいに毎日お風呂にも入らないし、臭いし、飛びかかってべろべろと舐められるのが、最初はすごくたまらなかったのですが、そのうち慣れてきて、それも楽しかったですね。オーディションに呼んだ犬は4匹くらいいたんですけど、あの家にいる男たちは、皆情けなくて頼りない人たちなので、犬もなんとなく一番情けない感じの犬を選びました。

Q.最終的にリュミールは、真実なんてどうでもいいわよねという境地に達したのかなと感じたのですが、どうなんでしょうか。
A.真実なんてどうでもいいかはともかく、この映画を通して一番変化するのがリュミールなんですよね、とビノシュさんと話していました。彼女にとっての自分史というか、母親像というのが少しだけ書き換えられていくお話で、上書きされていく中にはフィクションも入っているから、記憶も塗り替えられる話に着地できればいいなと思っていました。「これは真実?」とシャルロットに聞かれたときのビノシュさんの表情は素晴らしかったですね。

Q.真実のプロモーションでは、「本に何が書かれていなかったか」ということについてフィーチャーされていたと思いますが、本に書かれていたことが気になりました。
A.あの自伝には、こうだったら良かったな、ということも多分ファビエンヌは書いていたと思うんですね。それは真実ではないかもしれないけど、そうでありたかったという気持ち自体は本当なんじゃないか、ということを娘も感じたんじゃないでしょうか。だからリュミールも自分が子供のときに言いたかった気持ちを、娘であるシャルロットの言葉を借りて伝える、というお返しをしたのかなという風に思いながら書いていました。

Q.イーサン・ホークさん演じるハンクが「クレープは俺が発明した」というシーンが好きだったんですが、先に興行されていたバージョンでは父と娘のシーンや、家族の穏やかなシーンが主にカットされていたのはなぜですか?
A.初めから母と娘の話にフォーカスをした上で観ていただいたほうが、劇中劇も母と娘のお話ですし、その上層構造も含めて届きやすいのではないか、という判断をしました。なるべく母と娘のお話を中心に考えて、それ以外の物を削ぎましたが、個人的にはちょっともったいなかったなというところを戻したものが、特別編集版です。あのクレープのシーンはアドリブなんです!一発本番でイーサンから出てきた言葉ですね。

Q.この作品は超トップレベルの俳優さんたちが集まっていたと思いますが、彼らと仕事をしてみて、俳優に対しての価値観は変わりましたか?イーサン・ホークはプレミアなどの参加がありませんでしたが、この作品について何か仰っていましたか?
A.日本でもトップの方々とやらせていただく機会がありましたし、日本の役者さんもレベルが高いのであまり今回のことで大きく変わったということは正直ありません。ただオーディションで沢山の10代、20代の女の子と会ったんですが、みんな基礎訓練がしっかりできていて、役者のポテンシャルが基本的に高いと感じました。素養も教養もあって勉強しているな、という面は日本とはちょっと違います。イーサンは連絡も取り合っていて、ヴェネチアも呼んだんですけど、いま脚本を書いて主演もしている連ドラの撮影中で忙しいようなので、まだ観ていただけてないと思います。

Q.役者が発せられるセリフがどこまで用意していたものなのか、突発的に出たものなのか、引き出し方がお上手なのでいつも判断がつかないなと拝見していますが、役者さんと接する中でうまく引き出せたな、というような関係性はありましたか?
A.脚本を書く前に、ビノシュさんとドヌーヴさんに長いインタビューをさせていただきました。女優としての考え方や感じ方、生まれて初めてお芝居をしたときの記憶や、娘さんとの関係など、色々聞かせてもらったものを、形を変えながら役やセリフに反映しているので、もらってきたものを組み替えて使っている部分が今回は凄く多いです。実はアドリブはあまり多くなくて、イーサンぐらいです。僕がそれを求めているということを、彼も承知しているので。ストローの袋を使って子供たちを楽しませるシーンも、任せてくれ!子供たちとのうまくやるのは得意だから!という感じだったのでおまかせして、僕もそういう部分を期待していたし、とてもお上手でしたね。役者との関係も上手くいったんじゃないかなと思います。

Q.今回、どうして母子の関係にスポットを当てたんですか?
A.母子モノにするつもりは元々無くて、最初は楽屋で出番を待っている老女優のほぼワンシチュエーションのドラマを15年くらい前に書いていたんです。偏屈で友達のいない、ライバルで唯一の友達は事故で亡くなっているひとりぼっちの女優が、同性の友情を演じなければいけなくてイライラしているというお話を形を変えて膨らましていきました。女優にならなかった娘を母親と対峙する形でおいてみようかな、その娘は女優になろうとしている子にしようかな、ライバルは亡くなっているけどライバルの再来と言われている人を出して、皆はそこには存在していないもう一人のサラを向こう側に見ている、というこの四人の話にしようかなという発展のさせ方でした。結果的に家族の物語になりましたが、最初はこんなスタートでした。

Q.撮影前に、ジュリエット・ビノシュさんと監督がお話された際に、ファビエンヌだったら娘を産んだことすらも役として必要だったからかもしれない、ということをビノシュさんが仰っていたそうですが、監督の気持ちを教えてください。
A.ビノシュさんと演じることについてお話を聞かせていただくチャンスがあったんです。彼女は時間をかけて役を掴んでいくタイプだったのですが、母親との関係を話していく中で、「もしかするとファビエンヌは母親役を上手に演じるために私を産んだかもしれない」という一言がビノシュさんからぽろっとでました。それは娘にとっては非常に辛いけど、演じるためなら彼女はそのくらいのこともしそうですね、と裏設定として二人の中で押さえたうえで、どういう風にリュミールを作っていくか話をしました。セリフにはしていませんが、演じている背後にはそういう感情がビノシュさんの中にもあったと思います。

最後に監督は「ありがとうございました。別バージョンをこういうタイミングで観ていただくのはずるい気もするんですけど、どっちも自分としては気に入っている作品なので、またティーチインができて、満足です。もし気に入っていただけたらまた劇場に来て下さい。ありがとうございました。」とティーチインを締めくくりました。

映画情報どっとこむ ralph 映画『真実』

公式サイト:
gaga.ne.jp/shinjitsu/

是枝裕和監督映画 『真実』

【STORY】
全ての始まりは、国民的大女優が出した【真実】という名の自伝本。
出版祝いに集まった家族たちは、綴られなかった母と娘の<真実>をやがて知ることになる――。
国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)、テレビ俳優の娘婿ハンク(イーサン・ホーク)、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書……お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき。

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原案・監督・脚本・編集:是枝裕和 
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ『シェルブールの雨傘』/ジュリエット・ビノシュ『ポンヌフの恋人』/イーサン・ホーク『6才のボクが、大人になるまで。』/リュディヴィーヌ・サニエ『8人の女たち』 撮影:エリック・ゴーティエ『クリスマス・ストーリー』『夏時間の庭』『モーターサイクル・ダイアリーズ』
配給:ギャガ 
©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA
  
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