英国サンデー・タイムズ紙の“伝説の記者”メリー・コルヴィンの半生を描いた映画『プライベート・ウォー』が9月13日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショーいたします。
世界中の戦地に赴き、レバノン内戦や湾岸戦争、チェチェン紛争、東ティモール紛争などを取材してきた女性戦場記者、メリー・コルヴィン。2001年のスリランカ内戦取材中に左目を失明、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも、黒の眼帯をトレードマークに世間の関心を紛争地帯に向けようと努めた“生きる伝説”は、2012年、シリアで受けた砲撃で命を落とした――。 真実を伝える恐れ知らずのジャーナリストとして戦地を駆け抜け、女性としての豊かな感性で生き抜いた彼女の知られざる半生が今、語られる。 この度、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏、キャスター・ジャーナリストの堀潤氏を招いたトークイベント付き試写会を実施致しました。ぜひ貴媒体にてご掲載をお願い申し上げます。 日時:9/3(火) |
|
東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材をする安田氏は「メリー・コルヴィンさんは面識は無いが、記事も読んでいたし知っていた。ジャーナリストという存在を聖人として美化しなかったところが良かった、人間らしい一面もあったり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の部分もちゃんと描いていた。主役がジャーナリストではないという最後投げかけのところまで持って行けたのかなという感覚が観た後にありました」と映画の感想を語り、堀氏も「戦争が引き起こす不条理を描いていて、彼女を英雄視してみせようとはしないメッセージが観た後にあるので、非常に巧みな映画だなと思いました。」と同意した。
安田氏は取材に行く際の原則として「例えば普通はA地点があってそこに行くかは多数決で決めるけど、私たちは治安感覚が安定していないところに行くので少数決を原則としているんです」と明かし、取材時に重要視していることについて「身を守るヘルメットや防弾チョッキはもちろん大事だとしつつも、1番重要なのは“人間関係”だ」と断言した。 「メリーがどんなに止められても現場に駆り立てたもの、“600人以上の死体が埋められているんだ、2万人以上が取り残されているんだ、行ってみなきゃわからないじゃないか”そこの部分に対しては非常に共感を持っている、それはやっぱりメディアに関わる人々の使命であるということを伝えたかった監督のメッセージ」と堀氏。 イラクやシリアで様々な国のメディアやジャーナリストと情報交換してきたうえで、日本のメディアの印象について安田氏は「日本で起こっている自己責任論をうまく説明できないんです、ポカンとされる。」と明かし、「アメリカの記者と話したときは“ジャーナリストにバッシングするという概念が無い”と話していて、オランダの記者には“バッシングする時間があるなら、現地のことをもっと知る時間にしたらいいのに”」と言われ、日本にあるジャーナリストに対する自己責任論が、海外と日本のメディアとの一番の大きな違いだと指摘する。 堀氏は「“現場がこうであるというファクト”を伝えることは要なので、今言論の世界を見ると安直に“~に違いない”“~であろう”“~に決まっている”というものばっかり。そんな中で現場はこうだった、この人はこう言っていたという丁寧なファクトの積み重ねができるメディアをみんなで育んでいきたいし大事にしていきたい。日本がシリアがイラクが韓国がっていう大きな主語ではなく、この映画のようにそこに生きる人々やちいさな主語に対する取材への理解や価値っていうのをもっともっと共有していきたい」と強い想いを語った。 安田氏は「原点に立ち返りたいんですが、この映画で伝える仕事だったりジャーナリズムの意義っていうものももちろん考えて欲しいんですけれど、やっぱりそのジャーナリストっていうのはあくまでも主役ではないので彼女達が見ていた目線の先ファインダーの向こう側に皆さんに思いを馳せていただきたいなっていうふうに思うんですね。これは特にメリーさんが最後に取材をしたシリアの方々に私もよく同じような事言われますが。自分たちのことを本当に苦しめてきたのは何か知ってる?って、それは自分たちの上に爆弾落としてくるような勢力でもなくイスラム国みたいな過激派の勢力でもなくってこれだけのことが起こっているのに世界は自分たちに関心を寄せてない、世界を自分たちのことを無視してる、その感覚がじわじわと自分たちのことを追い詰めてきたって。じゃその無関心ではない道ってどういう風に選んでいったらいいんだろうかっていうことをこの映画は投げかけてきたと思うんです。 |
|
映画『プライベート・ウォー』
9月13日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー privatewar.jp |
監督・製作:マシュー・ハイネマン『カルテル・ランド』 脚本・製作:アラッシュ・アメル 製作:シャーリーズ・セロン
出演:ロザムンド・パイク ジェイミー・ドーナン トム・ホランダー スタンリー・トゥッチ
主題歌:アニー・レノックス「Requiem for A Private War」
2018年/イギリス・アメリカ/カラー/5.1ch/スコープサイズ/110分/英語/原題:A PRIVATE WAR/日本語字幕:松岡葉子 映倫区分:G
©2018 APW Film, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
提供:ポニーキャニオン/ハピネット
配給:ポニーキャニオン.