構想25年を経て結実したモノクロームのSF作品である監督最新作『ひそひそ星』が、5月14日より新宿シネマカリテほかにてロードショーとなります。
その公開を記念して、5月7日(土)より監督自身のセレクト作品も含む7作品を日替わりで上映する特集上映『ひそひそ星』公開記念!シネマカリテセレクション園子温監督作品上映がスタートしました! 特集初日となった5月7日(土)、『ひそひそ星』の表現を彷彿とさせる特異なセリフ回しの美しいモノクローム作品『部屋 THE ROOM』(’93)の上映に合わせ、『部屋 THE ROOM』のプロデューサーを務め、園監督を捉えたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』に出演もしている映画プロデューサーの安岡卓治さんと、園監督を最も知る映画人のひとりといっても過言ではないモルモット吉田(映画評論家)さんによるトークショーが行われました。『ひそひそ星』にも通じる園監督の徹底的なまでの映画作りへのこだわりなど『部屋』の制作秘話も飛び出し、映画作りの裏側に迫る貴重な機会となりました。 日付:5月7日(土) |
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モルモット吉田さん:園監督の最近の作品に馴染みのある人からすると不思議な映画に見えるんじゃないかと思います。
とが切りだすと、1993年に製作された『部屋 THE ROOM』のプロデューサーを務めた安岡卓治さん 安岡さん:園くんの映画は躁鬱の波が激しいとずっと思っていて、“躁”の時は皆さんご存じの通りとんでもないことをやらかすじゃないですか。でも、8ミリ時代から考えてみるとそういう抑揚が彼の中にはあって、『部屋』はどちらかというと“鬱”期にあたる。躁鬱を繰り返すんだろうなと思っていたら、その後ずっと飛ばしっぱなしだからちょっと心配してたんです。このままこの人は壊れてしまうんじゃないかと・・・。だけど、『ひそひそ星』が久しぶりに静ひつなものに仕上がっているみたいで、とても楽しみにしてるんです。 と説明し、監督最新作への期待を寄せていました。関係者を通じて『部屋』の製作にあたりスタッフの斡旋を頼まれた安岡は、シナリオ代わりに見せられた28シーンからなる独特なスタイルで作られた“詩集”を読んだ時の衝撃を熱っぽく語り、 安岡さん:読んだ上で30分ぐらいの作品になるのだろうとイメージして園監督と実際話をしてみると、「90分ぐらいです。僕は時間が撮りたいんです」と言われ 「俺、プロデューサーやるわ!」と。 続いて、撮影時のアクシデントももろともしないポジティブさや、天候を理由に撮影終了日を死守しようとしたらキレてしまったり、公開後でさえ編集に強いこだわりを見せたといった当時の園監督にまつわる驚きの裏話を次々に熱っぽく振り返る。さらに、 安岡さん:作ることって遊びの精神がないと面白いものになっていかないじゃないですか。ルーティーンの工作物を作っている訳じゃないから、お互いにいかにインスピレーションを感じ合えるか、そこに驚きと喜びがあることが大事。最初に僕が30分尺かなと思っていた作品が90分でと言われた時の“えっ?”というね。でもその裏側には“それ面白い。しかも詩なのに、これで映画を作ったらどうなるんだろう?”という僕自身ときめきから始まって、それが周りに伝染していったことは間違えないんです。 と、ミニマムな世界から豊かなものを作り上げていく『ひそひそ星』に通じる作品の魅力について語りました。 |
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安岡さんは監督を捉えたドキュメンタリー『園子温という生きもの』にも出演。なかなか都合が合わず、久しぶりにお酒を飲む機会があった時にたまたまドキュメンタリーのカメラが入っていて、お酒が入りリラックスして語り合うふたりの様子を確認することができますが、その時の感想として、
安岡さん:創造するってことは何かを破壊することでもあるから、その表裏の中を生き続けているすごい人なんだなと改めて実感しましたね。 と振り返り・・・ 吉田さん:レンタルでも観られる『部屋』と『ひそひそ星』、『園子温という生きもの』の3本を観ると全てが一巡して楽しめるんじゃないかと思います。 とまとめました。 |
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『ひそひそ星』公開記念! シネマカリテセレクション園子温監督作品上映 は、13日まで開催中!連日18:30より上映です。 劇場:新宿シネマカリテ 上映作品: 5月8日(日) 『愛のむきだし』(’09) 5月9日(月)『冷たい熱帯魚』(’10) 5月10日(火)『恋の罪』(’11) 5月11日(水)『桂子ですけど』 ※上映後にモルモット吉田(映画評論家)、田野邊尚人(映画秘宝)によるトークイベント(約45分) 5月12日(木)『地獄でなぜ悪い』(’13) 5月13日(金)『自殺サークル』(’02) 入場料金:1,300円均一 ※インターネットからのチケット購入ではご利用いただけません。 |
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『ひそひそ星』物語・・・
主人公はアンドロイドの女性。鈴木洋子“マシンナンバー722”は、昭和風のレトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、静寂に包まれた宇宙を何年も旅している。いくつもの寂しい星に降り立っては、すでに滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに日用品などの荷物を届けるために……。 映画「ひそひそ星」 5月14日(土)新宿シネマカリテほかにてロードショー 公式HP:hisohisoboshi.jp 大島新監督ドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』と同時期ロードショー 園子温 展「ひそひそ星」開催 |
監督・脚本・プロデュース:園子温
プロデューサー:鈴木剛、園いづみ
企画・制作:シオンプロダクション
出演:神楽坂恵、遠藤賢司、池田優斗、森康子、福島県双葉郡浪江町の皆様、福島県双葉郡富岡町の皆様、福島県南相馬市の皆様
撮影:山本英夫 照明:小野晃
美術:清水剛 整音:小宮元 編集:伊藤潤一
衣装:澤田石和寛 制作:山内遊
助監督:綾部真弥 キャスティング:杉山麻衣
ラインプロデューサー:船木光
配給:日活 宣伝:ミラクルヴォイス
© SION PRODUCTION 2016/日本/モノクロ(パートカラー)/ビスタ/100分