2017年ベルリン映画祭銀熊賞(監督賞)受賞のフィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督最新作『希望のかなた』の公開直前先行試写会が11月27日(月)渋谷・ユーロスペースにて開催され、カウリスマ キ監督の大ファンであり、初期の作品からずっと見続けているというイラストレーターの石川三千花さんが上映後のトークイベントに登壇。 映画『希望のかなた』トークイベント付き先行試写会 |
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今回カウリスマキが大好きということで駆け付けたイラストレーターの石川三千花さんは劇中に登場する「大勉強の店」 帆前掛けをスタイリッシュに着こなし登場。 映画の感想を求められると開口一番、「ジミヘン!」と劇中でレストランの壁に かかっているジミ・ヘンドリックスの肖像画が気になってしかたなかった、と語った。初期のころからカウリスマキ監督の作品を見続けているという石川三千花さんは難民問題をテーマにした本作について、 石川さん:政治的なメッセージを秘めつつも相 変わらず寡黙でクスッとするような感じとか、カウリスマキの良いところがつまっている。 と本作を絶賛した。
石川さん:独身かって聞かれて『独身です、あえて』って言う。「あえて」ってつけるところがいいんですよね。 と独特の萌えポイントを語った。 本作で印象的なシーンとして、石川さんは、主人公カーリドが密航船から出てきてすぐに、路上のミュージシャンに投げ銭を入れるシーンをあげ、 石川さん:自分だってそんな場合じゃないのに。自分が苦しくても弱い人たちを見過ごせないっていうカ ウリスマキの優しさをすごく感じますね。驚いたのはネオナチがカウリスマキ作品に出てきたこと。だけ どホームレスみたいな人がネオナチをやっつけるのよね。カウリスマキにしたら今の状況って、『ヨーロッパ、お前もか』っ て感じなんでしょうね。ナショナリズムが台頭していて、さすがのカウリスマキもメッセージしたいっていうのがあったんで しょうね。それでも『希望のかなた』はいい塩梅でいつものカウリスマキ節が出ているからスゴイ好きなんです。観終わっ たときにほんわかした気持ちになるっていうのが良い所ですね。 と感想を述べた。 |
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続いて、石川さんはカウリスマキ作品の男性版ミューズであり、1995年に惜しまれつつ亡くなった故マッティ・ペロンパー を取材した貴重な思い出を披露。
石川さん:飲んでばっかり。共同記者会見で真っ赤な顔をして出てきて、一言もしゃべらず笑っ ているだけ。きっとシャイでお酒を飲まないとやってられないのね。 と分析。盟友カウリスマキ監督も酒が好きなことが よく知られており、司会から『白い花びら』来日キャンペーン時に 司会:空港に迎えに行ったら手ぶらで出てきた。荷物はポ ケットに入れたパスポートとパンツ1枚だけ。それが帰りにはファンからプレゼントされた一升瓶でトランクがいっぱいになった。実は恐妻家でフィンランドでは奥さんにお酒の量をセーブされてるんです。 と聞くと、 石川さん:まるで赤塚不二夫さんみたい! と会場の笑いを誘った。 |
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また石川さんは共通項の多い監督として80年代に時を同じくして登場したジム・ジャームッシュ監督の名前をあげ、
石川さん:二人ともポジティブな世の中に対してそこから外れてる人たちが映画に出てくる。アウトサイダーや貧しいんだけど清く正し く美しく生きてる人たち。決してメインストリームにはいかないんです。つつましやかだけど小さな幸せを描いていて見る とほっとするんです。ずっと見続けていたい。でもマーベルみたいなスーパーヒーローだけじゃなくて、たまにはこういう のも必要ですよね。 と述べた。 最後に今年還暦を迎えたカウリスマキ監督に 石川さん:60歳、まだまだ現役。これからもずっと撮り続けてほしい稀有な監督です。 とエールを送った。 映画『希望のかなた』 kibou-fllm.com |
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
出演:シェルワン・ハジ、サカリ・クオスマネン
2017年/フィンランド/98分/フィンランド語・英語・アラビ ア語/DCP・35㎜/カラー/字幕翻訳:石田泰子
提供:ユーロス ペース、松竹
配給:ユーロスペース
宣伝:テレザ
後援:フィンランド大使館
協力:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所、 特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
推薦:カトリック中央協議会広報
© SPUTNIK OY, 2017