『かもめ食堂』(06)、『めがね』(07)の荻上直子監督がメガホンをとった『彼らが本気で編むときは、』。
セクシュアル・マイノリティの人たちへの対応が社会的にやや遅れている日本発の本作は、トランスジェンダーをテーマのひとつにしながらも、5組の「母と子」の多様な関係性をはじめとする「家族の枠組み」が更なる大きなテーマ。このテーマのきっかけとなったのは、「トランスジェンダーの息子に、“ニセ乳” を編んで与えたお母さん」の新聞記事を荻上監督が目にしたことがはじまっていることも注目される一因となっています。 LGBT(セクシュアル・マイノリティの人たち)にフレンドリーである欧米の中でも、同性婚も法律で認められているドイツ。その首都ベルリンで開催されるこのベルリン国際映画祭で、トランスジェンダーを主役に据えた『彼らが本気で編むときは、』が正式招待作品として上映されることに大きな意義を持ち、荻上直子監督、そして生田斗真、桐谷健太らキャスト陣がベルリン入りしました。 |
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12年の監督作「レンタネコ」以来、5年ぶり4度目のベルリン国際映画祭正式出品となる荻上直子監督。そして、世界三大映画祭(ベルリン、カンヌ、ヴェネツィア)に初参加した生田をはじめ、桐谷、柿原らはベルリン訪問に大興奮!
舞台挨拶の前に実施されたプレスカンファレンス(公式記者会見)では、多くの海外メディアから眩いばかりのフラッシュと質問が殺到する中、 荻上監督:この映画は、2年前に新聞に掲載されていた、『トランスジェンダーの息子に、“ニセ乳” を編んで与えたお母さん』という内容の記事を読んだことが映画作りのきっかけとなりました。 と流暢な英語で挨拶。脚本に対して質問が及ぶと 生田さん:脚本を読んでとても興味をひかれました。色々な要素が詰まっていて、りんかちゃんや桐谷さんに支えられて、とても楽しかったですね。この脚本と出会えて、とても嬉しかったです。 と回答。記者から「女性を演じるのは難しかったですか?」との質問が飛ぶと、 生田さん:女性を演じることは経験してこなかったことです。仕草や声の一つ一つにこだわり、女性の魂を自身に込める必要がありました。桐谷さんやりんかちゃんにとても助けられました。二人がいたから、真のリンコになれました。 と回答。リンコを心の底から支えるマキオを演じた桐谷さんは 桐谷さん:リンコは自身が思っていることを表に出す女性。マキオは、リンコと出会って世界が一変したのです。彼女を愛し、彼女と一緒に居たい、という気持ちを持っている。その気持ちは僕にもよくわかります。 と自身が演じたキャラクターを演じる上で自身を投影したことを語りました。母親に置き去りにされ、叔父であるマキオの家でリンコに出会うトモを演じた柿原りんかは、「オーディションを受けた200人の中で一番良かった」と荻上監督に絶賛されるほどの逸材。「オーディションでの合格が決まったその日から、撮影が始まるのがすごく楽しみだった」と語っており、本作でも堂々たる演技を見せています。 荻上監督:トランスジェンダーでもなんでも隣人になれるし、家族になれると思っています。 と作品のテーマを説明しました。 |
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同日18:30に行われたプレミア上映は、世界中から集まった観客で800席のシートは満席!
上映前に行われた舞台挨拶では、まずはプログラミングディレクターから 素晴らしい作品をパノラマ部門に招待することができました。 と観客に挨拶した後、荻上監督、生田さん、桐谷さん、柿原さんを舞台に呼び込みました。場内は割れんばかりの盛大な拍手が沸き起こり、偶然にも今日が誕生日の荻上監督に対し、 また彼女がこの映画祭に来てくれて光栄です。しかも誕生日というおめでたい日に! とディレクターが祝福。 荻上監督:今日はご来場ありがとうございます。またこの映画祭に参加できて、私のことを受け入れてくれて、とても嬉しいです。 と監督も英語で挨拶。続いて、 生田さん:皆さま、こんばんは。この作品でリンコ役を演じました、生田斗真です。67回を迎えるこの映画祭に呼んでいただいて本当に光栄です。今日は楽しんでいってください。ありがとうございます。 と英語で挨拶。二人が英語で挨拶する中、次にマイクを持った桐谷さんは、一歩前に出て、観客に投げキスを披露。会場が声援で答える中、 桐谷さん:こんばんは、桐谷健太です。皆さんが英語で挨拶をしているので、僕は日本語で話します!みなさんの前に立てて本当に嬉しいです。最高の作品となりましたので、今日は楽しんでください! と大きな声で宣言すると、万国共通のその親しみやすいキャラクターに、会場は大きな盛り上がりに。 最後の挨拶となった柿原りんかさんは、 柿原さん:こんばんは、柿原りんかです。12歳です。ベルリン映画祭に来れてとても嬉しいです。 とドイツ語で挨拶をし、観客から大きな拍手が巻き起こると、本人が一番驚いた表情を見せていました。 |
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上映後、本作に魅了された観客は総立ち。8分間のスタンディングオベーションが巻き起こり、4人は大興奮の観客に万感の表情で感謝の礼を示しながら、会場を後にしました。
「彼らが本気で編むときは、」 2月25日(土)、新宿ピカデリー・丸の内ピカデリーほか全国ロードショー! 公式ウェブサイト:http://kareamu.com |
出演:生田斗真、柿原りんか、ミムラ、小池栄子、門脇麦、柏原収史、込江海翔、りりィ、田中美佐子/桐谷健太 ほか
脚本・監督:荻上直子
配給:スールキートス
© 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会