沖縄国際映画祭25日。コンペティションPeace部門として出品された『泣いたらアカンで通天閣』の上映が行われました。
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上映に先駆けて、総合演出の福田浩之氏、監督の位部将人氏、主演の木南晴夏さん、子役の首藤勇星くんに作品やそれにまつわるお話などをお話いただいています。
福田 もともとよみうりテレビの55周年記念のドラマを作るということで、そもそも僕の実家が新世界でして、かねがね大阪を舞台に、スタッフ&キャストもネイティヴな関西弁を使える人間で、現在の、ありのままの大阪を描いてみたいと思ったというのがスタートですね。そこに坂井希久子さんの原作小説と出会い、今回企画させてもらったという次第です。 ―― 本作は3月25日から3夜にわたってテレビでオンエアされますが、同時に劇場版も製作というのは、どのような理由から? 福田 ドラマの製作過程の中で、どうせなら劇場版も作って沖縄国際映画祭で上映してみたらどうかというありがたいお言葉をいただきまして「ぜひとも!」という流れになっていったんですね。そこで1時間枠のドラマ3本を2時間に再編集した劇場版を作ることになったんです。 ―― ドラマのほうは関西オンリーの放映ですが、関西出身で東京在住の人たちから「東京ではやらないのか!」みたいな声を聞きました。 位部 そこなんですよ。だから総合演出にもっと頑張っていただかなければ(笑)。 福田 頑張ります! |
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―― でも、だからこその劇場版なのかなとも。映画なら全国展開など今後の可能性も展開も可能になっていきますし。
位部 良いことおっしゃいますね!(笑) 僕自身、関西だけでなく全国にちゃんと通用するものを思いながら作りました。 ―― 1本の映画として2時間、編集にも淀みなく、笑いと涙に包まれた気持ちの良い仕上がりですが、演出のポイントとしましては、どのようなところに重点を置かれましたか? 位部 とにかく主人公の木南晴夏にどぎつい大阪弁をしゃべらせる(笑)。 木南(笑) 位部 もうガチガチいってもらおうというのが最初にありました。また大阪には漫才文化というものがありまして、即ち2ショットでわいわいガヤガヤと、どこか笑いでくるんでいるような、そんな2ショットを撮ろうと福田君とも相談していましたね。まあ、2ショットにもいろいろありまして、親でも兄弟でも恋人でも友達でも、それぞれが心に留めている誰かというのが必ずいることを思い起こしながら見ていただけると、より楽しめる映画ですし、大阪の人間のデタラメさや弱さだとか、世間的にはマイナス・イメージで言われることですけど、それらがすごく愛おしく思えるような映画に仕上がっていると自負しています。 ―― 木南さん扮する千子の元気っぷりが非常に魅力的でした。大阪を舞台にした大ヒット漫画『じゃりン子チエ』をリアルタイムで読んでいた世代としましては、大人になったチエちゃんを見ているような雰囲気もありましたね。 位部 (笑) |
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―― もともと木南さんは大阪で生まれ育ち、10代で上京されたということで、大阪に対する想いもまたひとしおではないかと思われます。
木南 やはり関西の作品で関西弁をしゃべれるというのは自分としても嬉しいです。 木南 そうですね(笑)。関西弁を使う役は今までにもあったんですけど、あそこまで声を張り上げてのバトルのある役は始めてでしたので、すごく楽しかったです。 ――演じてらっしゃる方々が楽しんでやっているというのが、ちゃんと画面から伝わってきて、見る側まで楽しくさせてくれます。これぞ映画の醍醐味ですね。 ―― 特にお父さん役の大杉漣さんとの掛け合いなんて、もうすさまじいのなんの! ―― すさまじく見えました(笑)。でも、そのすさまじさが非常に楽しく、最後には感動に結びつく。 ――一方で千子は今のリアルな女性像としても屹立しています。彼女のキャラクターに関しては、 木南 といいますか、私はいつも台本を最初に読ませていただいたときのファースト・インプレッシ |
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―― 原作と映画とでは、ストーリーの大きな相違とかあるのですか。
木南 原作はもっと事件がいっぱい起こりますね(笑)。 ―― まだまだ事件があるんですか!? 木南 10 話くらいのTVシリーズならできると思いますよ(笑)。 位部 どうなの?(と、福田総合演出の方を見る) 福田 ははは……(笑ってごまかす)。 ―― 首藤くんは、撮影現場はどうでしたか。 首藤 ヘンなポスターとかいっぱい貼ってあって、面白かったです(笑)。それと普段使わないよう 位部 使うよ! 首藤(笑) ―― 木南さんや大杉さんと一緒のシーンが多かったですけど、お二人と共演してみていかがで 首藤 木南さんも大杉さんも優しくて、いっぱい声をかけてもらえたり、お話してもらえたりして楽し ―― もともと大阪の出身なのですか? 首藤 大阪で生まれて、3歳で東京に引っ越したんですけど、毎年夏休みとか大阪のお婆ちゃんの家に遊びに行って、たこ焼き作ってもらったりしています(笑)。でも、大阪の撮影は久しぶりでした。
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―― 映画祭のこともお聞きしたいと思います。昨日レッドカーペットを歩いてみての印象など、いかがでしたか? では首藤くんから。
首藤 初めてあんなところを歩いて緊張しましたけど、いろんな人たちから声をかけてもらえて楽しかったし、歩けたのは良かったです! 木南 私はレッドカーペットを歩かせていただくのは2回目(2011年、『謝々OSAKA』で来祭)だったんですけど、やはり沖縄のみなさん、温かいですよね。こんなに触れあいながら歩けるレッドカーペットってあまりないと思います。 ―― みなさん観客と触れあいながら歩いているものだから、なかなかゴールに辿りつけない(笑)。 木南 それも名物なんでしょうね、きっと(笑)。 位部 良い経験させていただきました。長いなあとも思いましたけど(笑)、でも準備から脚本作り、撮影、編集と、ずっと長い間携わって来て、ようやく完成してお披露目というところでレッドカーペットみたいなイベントがあると、非常に製作者の一人として幸福だなと思いましたし、さらにこれが公開されて多くの方に見ていただくための出発地点として、また新たな気持ちになれたかなと思います。 福田 今までTVドラマを作って放送するということをずっとやってきたわけですが、今回こうして初めて映画を作り、その上レッドカーペットまで歩かせていただくという、まるで花火が打ちあがるようなことをさせていただいたのも初めてでしたので、改めて一本の作品が出来上がることの達成感みたいなものを感じております。 |
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―― では、最後にこの映画祭に留まらず、これからこの映画をご覧になる方へのメッセージを。
位部 とにかくどっぷりと大阪の世界を楽しんでいただきたいですね。 福田 いろんな人たちが出てきますが、どこかに必ず誰か共感出来る人がいるはずですので、そこも楽しんでいただければ。 首藤 揉め事や喧嘩がいっぱい起こって、荒っぽい大阪弁がどんどん出てきて面白いので、見てください! 木南 すごくアットホームと言いますか、育ってきた環境が全て見えてしまうくらい、人と人との繋がりがすごく深い大阪の下町を舞台に、今まで私自身もあまり感じたことのなかったような、また現代に欠けている懐かしい関係性みたいなものが描かれている作品です。そういったものを恥ずかしがらずに、人と関わることって素敵だなと、改めてこの映画を通して思っていただけたら嬉しいですね。 第5回沖縄国際映画祭は3月23日(土)~3月30日(土)まで開催! 第5回沖縄国際映画祭ホームページ:http://www.oimf.jp/ ©2013沖縄国際映画祭 よしもとラフ&ピース |