映画情報どっとこむ mari イーサン・ホーク主演最新作、11月26日(土)~現在絶賛公開中の映画『ブルーに生まれついて』。

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チェット・ベイカーの魅力から、本作の恋愛映画としての見どころまで、お二人にたっぷり語るイベントとなりました。

日時:12月2日(金)
会場:Bunkamuraル・シネマ
登壇:菊地成孔(ジャズミュージシャン/文筆家)、湯山玲子(著述家、ディレクター)
司会:稲田浩(編集者・ライスプレス代表)

映画情報どっとこむ mari 稲田MC:それぞれ感想をいただけますでしょうか?

菊地さん:まずは劇場用パンフレットが豪華な執筆陣で、村上春樹さん、大谷能生さん、菊地成孔さん(笑)私が言いたいことはパンフレットの以上でも以下でもないので、今日はこれを読んでください(笑)そうだなあ…この作品は、自伝映画の体を取っているけれど、自伝映画ではない。とはいえフィクションでもない。チェットは若い頃は人気があったんだけど、バブリーな時期は途中から才能がダメになってきて、没落の人生で結婚生活も何もかも上手くいかずに、自伝映画の『レッツ・ゲット・ロスト』の公開直前に亡くなったという悲痛な人生で本当にダメな男で。でも、この映画は、チェットの人生は言われるほどひどい人生じゃない、このくらいだったら、母性本能をくすぐる男、位に無毒化している。

チェット・ベイカーの評伝「終わりなき闇」に、彼の葬式に参列した元彼女の「彼は死んでからも私たちを苦しめることができるのよ」というエピローグから始まるもの凄い分厚い、暗い本があって、読み終わった後にうつ病がになるくらいなんだけど(笑)その本をスタッフは熟知していますね。現実を素材にパッチワーキングしていて、その本の中のエピソードから自由に抜いてパッチワーキングしてチェット・ベイカー実像よりもいい人に映画いている。ただ素材ひとつひとつは実在で、だけど肝心かなめの奥さんは実在しない人。どこから取ってきたかというとウィリアム・クラクストンの「JAZZ SEEEN」という写真集で、チェットが女優さんと海辺にいるすごくいい写真があるんですが、その写真集の人に似た人が映画の奥さん役で出ていて。唯一の架空の人物の奥さんも似た人が出ているという。

湯山さん:私が感じたのは、物語の根幹は恋愛だなと。一般的に見ると、アーティストの男性は、表現をする身だからこそ現実の生活ができない、現実の生活ができないからこそ大きい才能、ギフトを天から与えられている。そういう人はある種、女性を惹き付けるものがありますよね。そして、女性が誰かに依存したい、誰かのために生きたいという気持ち、典型的な滅私奉公的な気持ち。でもそれだけでなく、自立しようとするいい女の生き方も描いている。でもこれはネタバレになるけど、最後の結論は苦い。愛ゆえに選ぶ結論。チェットもそれを分かって目で目を持ってある決断をする。最後は名シーンですよね。

映画情報どっとこむ mari 菊地さん:僕が気になったのは、どうして今更、監督とイーサンがチェットについて、言うほどはひどい人生じゃなかったよ、と作らざるを得なかったいうことにある種の病を感じます。わざわざやる必要性がないもん。

湯山さん:私もそう思う。

菊地さん:それは今いかにアメリカが疲弊しているか。そしてそこにイーサンのミドルエイジクライシスが乗っかっていると思う。病むことは全然悪いことじゃないんで、病むことは上等だと思うんで。じゃないと、こんなに脂がのってる演技ができないと思う。

菊地さん:これは変わった形の、インターネット時代のファンタジー。ソースはあるけど、年代飛んじゃったり。普通、そういうことをすると物語が破たんするけど、この奥さんの存在で成り立っている。いかにアメリカのミソジニーにやられていて女はおっかない、せめて映画の中ではいてくれよ、という叫びが聞こえてくるよう。

湯山さん:女の人もこんなダメ男に尽くしたいと思うしね。

映画情報どっとこむ mari 湯山さん:大きく映画に関わるのはドラッグの存在だよね。悪魔に魂を売るかどうかの岐路に立つんだよね。
菊地さん:5、60年代のジャズミュージシャンを描くには避けられないですからね、ドラッグの存在。

稲田MC:でも非常にロマンティックな映画ですよね。

菊地さん:非常にロマンティック。チェットという存在自体が、あまりにも美しすぎてあまりにグロテスクすぎて、人をもの凄い力で魅了させるんだけど、それはつまり尋常じゃなくさせるっていうことだから。チェットを冷静にリアルに見ることは誰もできないんじゃないかというのが僕の結論ですね。
ブルーに生まれついて

『ブルーに生まれついて』。

物語・・・
黒人アーティストが主流の1950年代モダン・ジャズ界において、その甘いマスクで女性を虜にし、ファンを熱狂させていたジャズ界の異端児、チェット・ベイカー。その後、麻薬に溺れどん底の日々を送っているが、自身の人生を描いた映画の出演で一人の女性と出会ったことをきっかけに、愛と償いの機会を模索する….。

Bunkamuraル・シネマほか全国公開中!

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監督・脚本:ロバート・バドロー(”The Death of Chet Baker”)<短編>

出演:
イーサン・ホーク『6才のボクが、大人になるまで。』
カルメン・イジョゴ『グローリー/明日への行進』
カラム・キース・レニー 

サウンドトラック:ワーナーミュージック・ジャパン 
配給:ポニーキャニオン 
©2015 BTB Blue Productions Ltd and BTBB Productions SPV Limited.ALL RIGHTS RESERVED.
    

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