映画情報どっとこむ TJ 映画『ある戦争』が10月8日(土)より新宿シネマカリテ他にて全国順次公開中です。

アフガニスタンの平和維持のために駐留するデンマーク軍。市民の平和のための派遣で誤爆してしまう。正義の決断が、許されない罪を生んだ戦場と法廷を舞台に、正義と命の尊さを問う、心揺さぶる映画。

ということで、国内外において、様々なニュース現場の最前線で活躍されているジャーナリスト・キャスターの堀潤氏と、中東をはじめ11カ国の国際支援をしている特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)のアフガニスタン事業統括者である小野山亮氏の2名が熱く、現地の今、そして日本について語りました。
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映画『ある戦争』公開記念2週目トークイベント
日付:10月15日(土)
会場:新宿シネマカリテ
登壇:堀潤(ジャーナリスト・キャスター)、小野山亮(JVC)

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映画の感想から

堀さん:ちょうど先週監督にインタビューをしました。日本がPKO、海外に自衛隊を派遣する任務を負うことになる政治的な岐路にあるわけですが。ハンガリー軍も国連への貢献ということがあり、この映画のようにPKOに派遣したわけです。そして、ハンガリー国民と海外に映画監督として、心を痛みを感じながら発信したわけですとおっしゃっていました。

小野山さん:この映画を拝見して、アフガンの現状をリアルに表しているなと思いました。私の周りでも、まず誤爆えの市民の犠牲。そして、もう一つはタリバンに関係があると殺害されてしまう点などは実際におきています。現地スタッフのいとこの結婚式で更新しているところを米軍の誤爆を受けてしまったんですね。亡くなった市民の後日談にも思いを寄せていただきたいんです。彼の年頭の言葉に寄せたのが「私たちの進行を侮辱した米国は去ってほしい」と書かれていて、私はショックを受けました。憤っている方たちが多いことも知ってほしいですね。戦争の現実です。。この映画を見て苦しい思いになりました。

と、映画と現材のアフガニスタンとを重ねて感想を述べました。

映画情報どっとこむ TJ 強い思いを伝えた小野山さんは、アフガニスタンの現状に話を移し、

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小野山さん:軍事力によってアフガニスタンに平和をもたらそうとした外国軍の計画は失敗したと言わざるを得ません。デンマーク含め、各国もかなりの死傷者を出した。米軍は未だ約1万人の規模で残っているが、その他の外国軍が撤退したことでタリバンは勢力を復活させています。タリバンは国土の7割を占めているのではという分析もあるくらいです。人口にするとおよそ3割ですが、それでもすごい数です。市民の死傷者はアフガニスタンの対テロ戦争が終わった後で最悪の数。それもシリア、イラク情勢の報道の中でかき消されることが多いですが、とにかく最悪の状況です。

と、現状を話す。また、タリバンに加え新たな勢力としてISISが台頭していることを明かし・・・

小野山さん:現在、アフガニスタンにもISIS――イスラム国を名乗る勢力がたくさん現れています。彼らはマスメディアに積極的にPRをします。外国軍が撤退したギャップを縫って勢力を拡大していきました。ISISとタリバンも血みどろの戦争をしていて、アフガニスタンの状況は、想像を絶するほどにひどいものです。ある時、彼らの勢力に抗っていた村の長老たちが、政府や外国軍を支援したという疑いによって捕えられました。ISISは穴を掘ってそこに爆弾を埋めると、その上に彼らを座らせて、一人一人を爆発で殺していったのです。あまりにもむごく、信じがたい現実。しかし、それが戦争の現実なのです。『ある戦争』を観て、戦争によって苦しむのは市民だということを分かってほしいです。

こうした小野山の言葉を受け、堀さんは『ある戦争』のような、社会問題を提起し、それについて考えさせる種類の映画を観ることの重要性を説き、

堀さん:監督は、インタビューの時に“世界の状況に希望を見出せない”と話していました。この先世界は良くなるかと聞かれると、逆に悪くなるのではないかと思うと話されていました。

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続けて、

堀さん:米国の大統領選や、欧州で極右政党が民主主義的手続きによって議員数を増やしている世界情勢の現状を見ても、溶け合うよりも、断絶、排斥の方向へ進んでいます。そうした勢力が、何かのはずみで弾けると、極端な方向に転びかねない。だからこそ、『ある戦争』のような映画が大事なのです。この映画は徹底的に抑制的に描かれていて、派手な戦闘シーンも、ヒロイズムもありません。さらに、敵の兵器、むしろ敵の姿そのものがほとんど見えないんです。監督に、なぜこういう撮影にしたのかと聞くと、“アフガニスタンに駐留していた元デンマーク兵に取材をする中で、戦闘では敵の姿が見えないと言われた”、と答えました。第二次世界大戦の時代とは違う。国家が宣戦布告しあう形態じゃない。敵なのか敵ではないのかが分からない。国なのか、武装集団なのか、ただの集団なのか、それとも個人なのか、それが分からないんです。

と、戦争の不条理を指摘。

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小野山さん:軍が安易に市民を助けるのは非常に危険。それで逆に狙われることがあるということを学ぶべきです。かなりのNGOスタッフがそれによって殺害されている。それが日本でどのくらい伝わっているでしょうか?それを知って、色んな人に伝えていくこと、そしてそうした平和活動を行う現地の人を支援するということが何よりも大事です。『ある戦争』のような映画を通じて、現場のことを感じてほしい。

と、アフガニスタンの現場を肌で知るからこその強い願いを訴えました。

堀さん:個人が簡単に発信できる時代だからこそ、伝えていってほしい。僕は、世の中を変えるのは政治家や企業家など特定の人ではないと思うんです。一人一人のアクションが連鎖しないと、何も変わらない。アクションの積み重ねがあって初めて、大きな一歩が踏み出せます

と、行動することの意義を説き、トークを締めくくりました。

映画情報どっとこむ TJ トビアス・リンホルム監督インタビュー映像+予告をいただきましたのでご紹介。

物語・・・・
正義の決断が、許されない罪を生んだ
戦場と法廷を舞台に、正義と命の尊さを問う、心揺さぶるヒューマンドラマ

ある戦争posterアフガニスタンの平和維持のために駐留するデンマーク軍の部隊長、クラウス(ピルー・アスベック)。ある日、パトロール中にタリバンの襲撃を受け、部下を守るた
めに、敵が攻撃していると思われる地区の空爆命令を行う。だがその結果、彼は、子どもを含む11名の罪のない民間人の命を奪ってしまう。軍法会議の為に帰国したクラウスは愛する家族に支えられながらも、罪の意識と部下を守るために「不可欠」だった決断との間で苦悩する。

そして、運命の結審が訪れようとしていた…。

『偽りなき者』『光のほうへ』といったトマス・ヴィンターベア作品の脚本家として知られ、監督作『シージャック』で世界を席巻したトビアス・リンホルムによる本作は、過酷な戦場の様子をリアルに描きながら、極限状態で問われる人間の正義や家族の愛を、戦地と法廷、2つの場所を舞台に問いかけ、見事、第88回アカデミー賞R外国語映画賞にノミネートを果たす。主演は『LUCY/ルーシー』や、ハリウッド実写版<攻殻機動隊>の『GHOST IN THE SHELL (原題)』でバトー役を演じることでも話題の、デンマークを代表する俳優ピルー・アスベック。

『ある戦争』
原題:KRIGEN 英題:A WAR
新宿シネマカリテ他にて全国順次公開中!

原題:KRIGEN
英題:A WAR

HP:arusensou
TW:@aru_sensou

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製作:ルネ・エズラ『シージャック』/トマス・ラドアー『シージャック』

監督・脚本:トビアス・リンホルム『シージャック』『偽りなき者(脚本)』『光りのほうへ(脚本)』

撮影:マウヌス・ノアンホフ・ヨンク『シージャック』
編集:アダム・ニールセン『シージャック』
音楽:スネ・ローゼ・ワグナー

出演:ピルー・アスベック『LUCY/ルーシー』『シージャック』/ツヴァ・ノヴォトニー『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』/ソーレン・マリン『シー
ジャック』「コペンハーゲン/首相の決断」/シャルロット・ムンク/ダール・サリム『エクソダス:神と王』

2015年 / デンマーク / デンマーク語、アラビア語 / 115分 / 原題:KRIGEN英題:AWAR / 日本語字幕:ブレインウッズ /DCP / カラー / シネスコ /5.1ch / G / 後援:デンマーク大使館
配給:トランスフォーマー
(c) 2015 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

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